ライアン・ゴズリング『ブレードランナー2049』脚本を完全に信頼 ― 監督も脱帽した、その説得力とは

映画『ブレードランナー 2049』は、映画史に残るSF映画『ブレードランナー』(1982)の35年ぶりの続編だ。それゆえだろう、新たに携わったキャスト・スタッフはプロジェクトへの敬意と畏怖を隠すことなく表明している。科学者ウォレス役のジャレッド・レトは、『ブレードランナー』が「僕にとっての『スター・ウォーズ』」だと発言しているほどだ。
ハリソン・フォードとのダブル主演を務めたライアン・ゴズリング、そして監督のドゥニ・ヴィルヌーヴは、もともと本作へ参加することに恐れを抱いていたという。彼らが覚悟を決めるに至ったきっかけ、それは本作の脚本だったのである。
主演&監督、脚本の説得力を語る
マレーシアのラジオ局「BFM Radio」の取材に応じたゴズリングは、前作の監督を務め、本作で製作総指揮を担当したリドリー・スコットと初めて面会した際の思い出と、脚本への思いを振り返っている。
「リドリーが(脚本を)執筆している時に、話し合いのために初めて会うことができたんです。とても幸運でしたね。そこで(『ブレードランナー 2049』を)彼が認めていることだけでなく、積極的に関わっていることもわかった。前作の脚本家であるハンプトン・ファンチャーが一緒に作業をしていたのも良い兆候でしたし、書き終わった脚本をハリソン(・フォード)が気に入ったので、僕の恐怖はすべて消えましたね。だって、この映画がどうなるべきかなんて、僕に言えるわけがないでしょう? 彼らがみんなストーリーに納得していて、その一部になれるのがすごく楽しみになったんです。」
またヴィルヌーヴ監督も、オファーがあった当時を思い出して「最初は本当に怖かった」と語っている。英Den of Geekのインタビューにて、彼は本作の企画を「最高に最悪なアイデア」だと形容しているのである。
「脚本を読む前、最初の反応は、リドリーが求めてくれていることにすごく喜んだんですよ。でも同時に、“これは史上最高に最悪のアイデアじゃないか?”とも思いましたね。名作をもう一度やるというトレンドがありますが、脚本を読むまでは(どうなるのか)わからなかったんです。」

こう述べているように、その考えが一変したのは届いた脚本を読んだ時だった。監督は「(不安な)考えが消えて、素晴らしい映画を作れる可能性に気づいたんです」と話している。
「脚本にはとても力強いアイデアがあった。“よし、分かった”と言いましたよ。やり直すわけでも、何かの使い回しでもない。(前作と)同じ美しさに違う角度から近づいていたんです。そこで、やらなきゃいけないと思いましたね。大きな責任が生じますから、(オファーに)イエスと答えるまでには少し時間がかかりました。でも同時に、芸術家として、リスクを取る意義があると思ったんです。」
ちなみに製作中の2017年2月、ヴィルヌーヴ監督は米バラエティ誌でこのようなことを話してもいた。
「毎日プレッシャーを感じています。でも、ここまで刺激を受けて興奮していることもありませんね。リスクを取るのは大好きなんです。これまで僕のプロジェクトには、すべて芸術的なリスクがある程度ともなっていました。学校での大量殺人を描いた映画(編注:2009年『静かなる叫び』)では事件の被害者に対して大きな責任がありましたし、レバノンの戦争についての作品(編注:2010年『灼熱の魂』)でも再び現実への責任が生じたんです。『ボーダーライン』(2015)ではメキシコ社会をいかに描くかという責任を感じました。だからプレッシャーには慣れているんです。『ブレードランナー 2049』ではアーティストとしての責任を、かつてないほど大きく感じていますよ。」
主演のゴズリングに信頼を抱かせ、ヴィルヌーヴ監督に大きな責任を厭わせなかった『ブレードランナー 2049』の脚本には何が描かれているのか、そして二人はその世界をいかに描き出したのか。その全貌は劇場でぜひとも確かめてほしい。
映画『ブレードランナー 2049』は2017年10月27日より全国の映画館にて公開中。
Sources: https://screenrant.com/blade-runner-2049-script-ryan-gosling/
http://variety.com/2017/film/news/blade-runner-2049-denis-villeneuve-dune-details-1201984308/
http://www.denofgeek.com/us/movies/blade-runner-2049/267989/blade-runner-2049-director-says-he-was-frightened-to-make-the-movie