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ベネディクト・カンバーバッチ主演、英国のEU離脱をドラマ化「ブレグジット」米予告編公開 ─ 国民投票再実施の可能性も報じられる

https://www.youtube.com/watch?v=E5S1EMmCWAE スクリーンショット

2016年、全世界に衝撃を与えたイギリスの欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票をドラマ化した「ブレグジット(邦題未定、原題:Brexit)」の米国版予告編が公開された。
英国の公共放送Channel 4、米HBOが共同製作し、主演はベネディクト・カンバーバッチが務めている。

映画『ドクター・ストレンジ』(2016)や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2017)、ドラマ「パトリック・メルローズ」(2018)など、メディアやジャンルを問わず活躍を続けるベネディクトが本作で演じるのは、イギリスのEU離脱を後押ししたキャンペーン「ボート・リーヴ(Vote Leave)」の主導者であるドミニク・カミングス。公開された予告編は、ドミニクが「誰が勝ったかはみんなが知っている。でも、どうやって勝ったかをみんなは知らない」と言い放つ場面から始まる。

「Brexit」の裏側描くポリティカル・スリラー

ドラマ「ブレグジット」は、イギリスのEU離脱を決定した歴史的国民投票の舞台裏に迫り、「離脱派」「残留派」双方の関係者や戦略、そして激突を描き出すポリティカル・スリラーだ。ドミニクは「有権者を理解し、彼らの心に訴えるんだ。人々は怒り、無視されていると感じてる」と述べ、人々には「正直になっていいんだ。移民のせいか?人種のせいか?好きじゃない国はどこ?」とたたみかける。

「自分たちの国のことがわかっていた頃に戻したいんだ。物事の筋道が通っていた頃に。それが現実かどうかはさておき。」
「歴史の針路を変えるには、政治のシステムをハックしなきゃいけない。政治の土台を変えてやるってことだ。」

そこに登場するのが、カナダの政治コンサルタント企業、アグリゲートIQのザック・マッシンガムである。

「ソーシャルメディアは同じ考えを持った人々を見つけられるように作られているんです。僕たちのソフトウェアは、これまでの政治キャンペーンが狙ったことのない人々を発見し、ターゲットにする。投票しない人たち、投票したことのない人たちですよ。向こうの陣営は、この300万票が存在するとは思ってません。」

ドミニクは「これは秩序に対する反乱なんだよ」と話し、「何を望んでるんですか?」と問われると「ベルリンの壁崩壊以来、最大の政治的転覆だ」と言い放つ。残留派代表のクレイグ・オリヴァーは、ドミニクに「君は恐怖と憎しみの文化を作り出してる。一度開いた箱は閉じられないんだぞ」と迫るが、ドミニクは「これがこの国の新しい政治だ。君が操れるものじゃない」と反論するのだった。

ドラマ「ブレグジット」はシリーズ作品ではなく、1回限りで完結するテレビ映画として製作されるもの。デービッド・キャメロン首相の側近で残留派代表のクレイグ・オリヴァー役を『007 スカイフォール』(2012)や『007 スペクター』(2015)、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)のロリー・キニアが演じるほか、『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』(2015)のジョン・ヘファーナンをはじめとする英国俳優たちが顔を揃えている。

監督を務めるのは、ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」シーズン2第3話「ライヘンバッハ・ヒーロー」(2012)、「ブラック・ミラー」シーズン4第1話「宇宙船カリスター号」(2017)のトビー・ヘインズ。脚本は『僕と世界の方程式』(2014)を手がけた劇作家ジェームズ・グレアムが執筆した。

なお本作の概要には、「2016年の夏、“ブレグジット”国民投票は、正常で安定していたイギリスの基盤を破壊する政治的激震をもたらし、世界中にその余波を与えた」と記されている。この一文から、制作サイドの政治的スタンスは十分にうかがえるだろう。

イギリスのEU離脱は2019年3月29日午後11時に予定されているが、いまだEU離脱案は議会の承認を得られていない。事態を打開する唯一の方法として国民投票の再実施も検討されているというが、メイ首相は「再びの国民投票は有権者への裏切り」だとして反対している状況だ。

ドラマ「ブレグジット(邦題未定、原題:Brexit)」は2019年1月19日に米国放送予定。きわめて時事性の高い内容ゆえ、早期の日本放送・配信に期待したい。

Source: HBO, Collider, CNN, Reuter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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