我らがリアルヒロイン、ブリジットが勝ち組女になっていた『ブリジットジョーンズ ダメな私の最後のモテ期』解説レビュー

今から15年前、異色ヒロインが誕生した。ブリジットだ。

世界一リアルな“等身大ヒロイン”

彼女が主人公である『ブリジット・ジョーンズの日記』では“独身女が家でどういう風に過ごしているか”という事を赤裸裸に描いたという事だけでヒットしたわけではない。「普通、ぽっちゃり、ドジ」なブリジットは勇敢にも「綺麗で、スタイル抜群で、完璧」という従来のヒロイン像を覆し、世界中の女性に勇気と笑顔を与えた。世界一リアルな“等身大ヒロイン”の誕生こそが大ヒットの理由である。

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http://variety.com/

良い歳いった彼女が家で子供の頃から着ているようなパジャマをきて、髪はくしゃくしゃで、頭の中でフランス映画並みの答えの出ない不毛な自問自答を繰り返し、それを日記に書く。世の男性よ、信じて、これこそが昨夜あなたがデートを楽しんだ相手の、帰った後の姿だ。(何故なら私がまさにその通りの容姿でネットフリックスを見ながら、ブツブツ頭の中で自問自答を繰り返し、記事を書いているからである)

さて、今回そんな愛すべきブリジットが『ブリジットジョーンズ ダメな私の最後のモテ期』という11年ぶりの新作をひっさげて帰ってきた、

とんでもなく、勝ち組な女として。

(以下話の流れには沿っていますが、物語の結末に関するネタバレはしていません。

普通に良い女になっているブリジット 

誰もが疑う余地もなかっただろう。あのブリジットが40代になったら、酷い有様になるだろうと。しかし、彼女は我々の期待を多いに裏切ってくれた。

映画の冒頭シーンでは相変わらず一人で誕生日をカップケーキに火をともしているものの、BGMはもうあの彼女のテーマソング「All By Myself」ではない。90年代HIP HOPの名曲「Jump Around」なのだ。イカしてる! 

容姿面での変化 

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http://www.popsugar.com/

何を隠そう、変化は歴然としている。ブリジットはついに痩せたのだ!永遠とダイエットを続けていた彼女が、もういちいちお酒を飲んだことをくよくよせず、なんと禁煙にも成功していた。

彼女は今や、親友のゲイがコーチをしているフィールサイクル(暗闇の中でイケイケの音楽に乗って激しく身体を動かしながら自転車をこぎまくるエクササイズ)に通い、「もう少しだけ太ももスッキリさせよっと!」なんて言ってる。

年齢を感じさせる皺さえあるが、誰がどう見ても彼女は綺麗になったと言えるだろう。

しかも、痩せた事もあって心なしかファッションがお洒落になった気がする。まさに「大人カワイイ」という奴だ。

仕事面での変化

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https://www.theguardian.com/

以前のブリジットはドジだった。浮気者のダニエルに堪え兼ねてリポーターとして転職するものの、生放送でお尻をドアップに映したほどだ。そんな彼女が今やエグゼクティブディレクターとして、部下に指示を下したりバリバリ働いている。

元彼マークと再会し、夜を共にした後も「だめよ、同じミスは繰り返してはいけないわ。作るなら、新しい人とよ。仕事に集中しなきゃ!」と、悩みのネガティブパワーを仕事に向けるほど立派になった。

 …と思ったら、彼女らしいヘマをするシーンもあり、どこか安心できる。

遊び面での変化 

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http://timer-odessa.net/

ブリジットはよく、ともに働いているミランダ(Tinderに夢中な美人キャスター)と遊びに行っている。女二人で音楽フェスに向かい、「最初に会った男と寝る」ごっこをしたり、ショットを飲みまくって、Ed Sheelanのライブ中にダイブをし、週末を最高に楽しんで過ごしている。

また、昔の恋人マークとの二度目の再会を果たしたパーティーでは、あのカンナムスタイルを踊りこなすほどイケイケになったのだ。

恋愛面での変化

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http://www.news.com.au/

ブリジットは前作まで、それこそダニエルとマークの間に挟まれてはいたものの、彼らとの出会いは職場や親戚とのホームパーティーだ。つまり、外を歩いていたりとか、見ず知らずの人に声をかけられるような、所謂モテ女ではなかった。だからこそ、彼女の中の選択肢は常にダニエルかマークしかなかったのだ。そんなブリジットが劇的にこの点で劇的な変化を遂げたのである。

まず、もともとチャーミングだったブリジットは痩せたことで、より魅力的に、そして自信がついた。それ故に、音楽フェスでスーパーイケメンに声をかけられる。しかも、偶然その後そのイケメンの泊まるテントに誤って入ってしまった事で彼と再会し、ミランダ考案の「最初に会った男と寝る」ルールに乗っ取って素晴らしい一夜をともにする。

し か も !翌朝、イケメンに何も伝えることなく、その場を逃げるのだ。あの、翌朝ベッドから男に逃げられていたブリジットがついにそれをやってのけたのだ。ブラボー!!!

そしてなんと、全く同じ事をマークにもしたのだ。あっぱれ!!!

もし彼女が未だに補正デカパンを履いていたら、フェスでイケメンとの間におきたミラクルはあり得なかっただろう。

 

ここまでこの11年間の間におきた彼女の変化をザッと説明したが、ダイエットしなきゃといいながらヤケ食いをしていたあのブリジットが、今やフィールサイクルに通い、週末は音楽フェスで最高に楽しんで、会ったばかりのイケメンをひっかけている

どう考えても、彼女はもうすでに勝ち組女だ。 

妊娠という女性として新たなライフステージに直面したブリジット

二人の男と直近で寝たブリジットが使っていたのは、賞味期限切れのゴム。そして彼女は妊娠をしたのだ。父親候補は、IT企業の社長であるスーパーリッチでホットなイケメンアメリカ人ジャックと、弁護士で自分の元彼であり別の女性と結婚したものの現在離婚調停中のイギリス人マーク。

このジャックが、とんでもなく容姿以外でも完璧なのだ。ユーモアもあり、自分の身も守ってくれる、まさに王子様。まあ、完璧な男なんてこの世には存在しないのだが。 

40代での出産は、現在晩婚化が進む中では珍しいことではなくなってきていることだろう。しかも、1作目である『ブリジット・ジョーンズの日記』を見ていた時彼女と一緒の30代だった女性は、ともに歳を重ね現在は40代。ブリジットと同じように、結婚や出産を経験している人も少なくないのではないだろうか。だからこそ、今作は現代の女性をよりリアルに描いている作品といえる。

日記は卒業!? 2016ver.の『ブリジット・ジョーンズ』がより笑えて愛おしい!

前作は11年も前ということもあり、映画の中で比較して楽しめるのはブリジットの変化だけではない。例えば、劇中でマークが弁護をしているのが、フェミニスト団体という点や、同僚のキャスターミランダがマッチング系SNSアプリTinderにハマっていること。そして、ブリジットとジャック&マークがマタニティスクールに通った際、先生がてっきりジャックとマークがカップルで、ブリジットを出産代理人と受け取ったシーンがある。

つまり、フェミニズムやマッチングアプリの使用が一般的になったこと、LGBTカップルが子供をもつ事を不思議に思わないようになった事が、時代の変化をも表している。それが一層、彼女の世界観がリアルだと感じさせ、「あるある」と共感できて、大爆笑してしまうのだ。

もちろん、男性も楽しめる作品となっている。何より、この『ブリジット・ジョーンズ』シリーズでは、女が口に出していないだけで、頭の中では瞬間的にあれやこれやの大論争が繰り広げられているという事実を知ることができるだろう。またもや言うが、信じてほしい、本当にあんな感じなのだ。男性にとっては、女心を知る良いきっかけとなるだろう。

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http://www.aceshowbiz.com/

そしてなにより、ブリジットのあの日記が今やタブレットに変化を遂げたのだ! (ん?この履いてるパジャマの柄、15年前のパジャマと同じじゃ……)

私にとって、そして同種の女性(恐らく世界中に腐る程いる)にとってのまさにスター的なブリジットが、今作で母親になり、妻になり念願のゴールインを果たす。それは、彼女と15年もの付き合いのある我々からすると、まるで旧友におきた出来事のように思え、感動して泣けてしまうのだ。あのブリジットが、幸せに……嬉しくてこちらこそ胸が幸せでいっぱいになる。

さあ、皆の諸君、ブリジットの後に進むのだ!!

さようならブリジット!どうかお幸せに!『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』レビュー

About the author

ライター/編集者/Ellegirlオフィシャルキュレーター、たまにモデル。ヌーヴェルヴァーグと恐竜をこよなく愛するナード系ハーフです。

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