『バットマン』ティム・バートン監督、『ザ・フラッシュ』に苦言 ─ 「彼らはやりたい放題している」

DC映画『ザ・フラッシュ』に、マイケル・キートン主演『バットマン』シリーズのティム・バートン監督が苦言を呈した。本作はマルチバースのコンセプトを本格導入し、キートン版バットマンのみならず、バートンに縁の深い仕掛けも用意されていたのだ。
もっともバートンの苦言は、この映画を手がけたアンディ・ムスキエティ監督やクリエイターではなく、むしろワーナー・ブラザース側に向けられているようで……。
この記事には、映画『ザ・フラッシュ』のネタバレが含まれています。

幻のニコラス・ケイジ版スーパーマン、監督はどう見たか
『ザ・フラッシュ』には、ティム・バートンによるDC映画から2人のキャラクターが登場していた。マイケル・キートン演じるバットマン/ブルース・ウェインと、終盤にサプライズ登場する“幻の”ニコラス・ケイジ版スーパーマンである。1996年、バートンはニコラス・ケイジ主演のスーパーマン映画『Superman Lives(原題)』に監督として就任。2年間の準備期間を経て、コスチュームまで製作されたが、撮影直前にワーナーが製作中止を決めていたのだ。
英国映画協会(BFI)によるインタビューで、聞き手はバートンに対し、『ザ・フラッシュ』にケイジ演じるスーパーマンが登場したことに言及。『Superman Lives』に携わったことについて「後悔はありませんか?」と直球で問いかけた。すると、バートンは「後悔はありません」と回答。その胸中をこう語った。
「言えるのは、あれだけ長い間ひとつの企画に携わり、それが実現しなければ、その後の人生に影響を与えるということです。私たちが熱中するものは、そのひとつひとつが未知の旅だから。ゴールにたどり着けなかった旅であっても、その経験は決して忘れられないものになるんです。」
もっとも、『ザ・フラッシュ』にケイジ版スーパーマンが登場したことについては──その口ぶりからするに、おそらくキートン版バットマンも指しているのだろう──決して肯定的ではないようだ。
「これはAI(人工知能)の問題にもつながっていますし、だから私はスタジオとの仕事を終えたように思います。バットマンであれ何であれ、彼らは我々の仕事を文化的に流用というか──好きなように呼べばいいですが、そうすることができる。私たちがディズニーやワーナー・ブラザースの奴隷だとしても、彼らはやりたい放題しているんですよ。だから私は近年、こういうことには静かに反抗しています。」

ディズニーによる実写映画版『ダンボ』(2019)ののち、バートンはNetflixドラマ「ウェンズデー」(2022-)を手がけ、現在は『ビートルジュース』(1988)の続編『ビートルジュース2(原題)』を製作中。現在、バートンはワーナーに対して批判的であり、「スタジオとの仕事を終えた」とまで言っているが、『ビートルジュース2』はワーナーの製作・配給作品である。これをもってスタジオ作品には関わらない意向なのか、あるいはバートンの納得する条件でのコラボレーションが実現したのか……。
ちなみに今回、バートンはキャリア初期にディズニーから契約を切られたことは事実だと認め、キートンとの『バットマン』シリーズが第2作『バットマン リターンズ』(1992)で打ち止めとなったことについても「ディズニーの状況とよく似ています。(ワーナーは)私にうんざりしたんでしょう。きっと、私がマクドナルドか何かを怒らせたんだと思いますよ」とだけ答えた。
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Source: BFI