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ジェームズ・キャメロン、『デューン』監督を無視するアカデミー賞に怒り ─ 「映画が勝手に出来上がっているよう」

映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』来日記者会見

『アバター』シリーズの巨匠ジェームズ・キャメロンが、『デューン 砂の惑星』シリーズのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督を“無視”しつづけているアカデミー賞を批判した。

過去には『タイタニック』(1997)でアカデミー賞を席巻したキャメロンだが、The Globe and Mailの記者バリー・ハーツ氏のインタビューにて、「アカデミー賞の影響についてはあまり考えたことがありません」と語った。

「アカデミー賞については意識的に考えないようにしています。ああいう感性に訴える映画を作ろうとは思っていません」──いささか辛辣なコメントだが、その真意にはアカデミー賞のSF映画に対する冷遇があった。

「彼ら(アカデミー賞)は『アバター』のような映画やSF映画をあまり評価してくれません。SFは適正な評価をあまり受けていない。ドゥニ・ヴィルヌーヴは素晴らしい『デューン』を2本作りましたが、どうやらこれらの映画は勝手に出来上がったようです。なぜなら、彼は監督賞の候補に入っていなかったし、(全米)監督協会からも認められなかったから。」

キャメロンの言葉は皮肉たっぷりだ。第1作『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)は作品賞・脚色賞など10部門の候補となり、作曲・撮影・編集など6部門に輝いたが、ヴィルヌーヴは監督賞にノミネートさえされなかった。『デューン 砂の惑星 PART2』(2024)でも5部門の候補になり2部門で受賞したが、ヴィルヌーヴはやはり候補にも選ばれていない。全米監督協会賞でも、ヴィルヌーヴは第1作での受賞を逃し、第2作では候補にも入らなかった。

こうした経緯を受けたものが、「どうやらこれらの映画は勝手に出来上がったよう」という発言だ。クリエイティブの指揮を執っているはずの監督が無視されている、というわけである。

さらに、キャメロンはこうも付け加えている。「つまり、(映画製作は)賞狙いのゲームをしてもいいし、自分がやりたいゲームをしてもいい。観客が足を運んでくれる映画を作るためならね」。

『デューン』シリーズにおけるヴィルヌーヴの仕事ぶりはクリエイターの間で高く評価されており、キャメロンのみならず、盟友クリストファー・ノーランも『PART2』を「奇跡の映画化」と絶賛。シリーズでガーニー・ハレック役を演じているジョシュ・ブローリンは、ヴィルヌーヴがアカデミー賞で無視されていることを「意味不明」と批判し、『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズのプロデューサーであるクリス・ミラーは「素晴らしい演出の映画はたくさんあったけれど、ドゥニの仕事はあらゆる角度で見事だった」と称えていた。

現在、ヴィルヌーヴは『デューン 砂の惑星 PART3(原題)』を製作しており、2026年12月に米国公開予定。いよいよ三度目の正直となるか。

Source: Barry Hertz, Variety

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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