Menu
(0)

Search

【インタビュー】『キャッシュトラック』がガイ・リッチー史上最もダークでヘヴィな理由 ─ ジェイソン・ステイサムとは「馬が合う」

キャッシュトラック ガイ・リッチー監督
©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

鬼才ガイ・リッチー監督が盟友ジェイソン・ステイサムとの黄金タッグを復活させた映画キャッシュトラックが2021年10月8日より日本公開となる。

ガイ・リッチーとステイサムといえば、2人の最初期作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)で頭角を現し、続く『スナッチ』(2000)で確たる評判を築いた関係。その後『リボルバー』(2005)を共にした2人が、本作『キャッシュトラック』まで別々の道を歩んでいたというのは、少し意外な気もする。その間、ステイサムは『エクスペンダブルズ』や『ワイルド・スピード』といった巨大シリーズの主要キャストを飾るようになり、ガイ・リッチーもディズニーから名作『アラジン』のリメイクを任されるようになるほど、互いに大物となった。

そんな2人が、16年ぶりに再び手を組んだ『キャッシュトラック』は、警備会社に入社する謎の男“H”が、類まれなる戦闘スキルで強盗相手に大立ち回りを見せるクライムアクション。ガイ・リッチー作品の中でも特に激しいアクションが繰り広げられる、大胆不敵な作品だ。

この作品のため、THE RIVERではガイ・リッチー監督に単独インタビューを敢行。本作の製作経緯や、ステイサムとの仕事についてを聞いた。

キャッシュトラック ガイ・リッチー監督
©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

『キャッシュトラック』ガイ・リッチー監督 単独インタビュー

──本作『キャッシュトラック』は、あなたの映画の中でも最もダークでヘヴィな作品になっているのではないでしょうか。

はじめに攻撃的な映画を作ろうということに決定したので、ひたすら攻撃的にしました(笑)。物語やジャンルの性質上、ダークで攻撃的な映画になっています。ダークで攻撃的にやるなら、とことんそうしたい。それに、(ダークで攻撃的というのが)本作で最もシリアスな主題なので、そこは尖らせたいと思った。だから、ダークにせざるを得なかったんです。

──本作では、ジェイソン・ステイサムが怒れる男を演じています。彼が撮影現場で激しい感情をコントロールする姿はいかがでしたか?

監督や役者にとっては、普段からやっている当たり前のことなので、(感情のコントロールは)彼らにとってそんなに難しいことじゃないんですよ。私は役者との仕事に慣れていますが、彼らはジョークを話して笑いながらも、いざテイクが始まったら、ものの10秒で涙を流すんです。それで、カットがかかったら、またジョークを話し始める。

実は本作でも同じで、シリアスな題材を演じながらも、カットがかかった瞬間にまたジョークを話し始めるような感じでした。私たちにとっては、コメディを作っているような感覚でしたね。ジェイソンの価値観も私の価値観も、現場で楽しい時間を過ごすことが先決なんです。これまであまりシリアスな作品を作ってこなかったのは、それは二の次だったからです。

──ジェイソン・ステイサムとは『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』以来の長い付き合いですよね。彼と仕事する上で、素晴らしいと思うことは何ですか?

付き合いが長いので、お互いのことがよく分かっているということです。それから、馬が合う。価値観も似ているんです。彼も仕事は楽しくやりたいタイプで、私も仕事は楽しくやりたい。見ている方向が同じなんです。だからうまくやれています。

キャッシュトラック ガイ・リッチー監督
©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

──“ガイ・リッチー作品”といえば、時系列を前後させながら、何が起こっているのかが少しずつ明かされていくようなスタイルが魅力的だと思います。これはどうやって組み立てているのでしょうか?

良い質問ですね。まず頭の中で考えて、それを考えたままに書き出します。そこから編集段階になって、自分のオリジナルアイデアよりもエディターが出してきた案のほうが優れていれば、それを採用します。なので、最初に自分が考えていた通りにはならないのが常です。

──ストーリー構成を考える時は、壁にふせんを貼ってあれこれ動かしたりするのですか?

最初の2作ではストーリーボードと撮影リストを作っていましたが、今はどちらも使いません。時々ボードにふせんを貼ることもありますが、私には抽象的すぎて分かりづらい。だから、ただ混ぜて、通しで観てみて、それで自分の感情がどう動くかを試すほうがいいです。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly