「映画は悪い方向に進んでいる、マーベルやDCも原因だ」とブライアン・コックス ─ 「ヒュー・ジャックマンとライアン・レイノルズはもっとやれる」

映画・テレビ界のご意見番、HBOドラマ「メディア王~華麗なる一族~」(2018-2023)でローガン・ロイ役を演じた名優ブライアン・コックスの勢いが止まらない。過去にはジョニー・デップやホアキン・フェニックスに辛口のコメントを浴びせてきたコックスが、次に狙いを定めたのはスーパーヒーロー映画だった。
2024年8月17日、スコットランドのエディンバラ国際映画祭に登場したコックスは、映画とテレビの現状を比較し、「かつては映画がやっていたことを今はテレビがやっている」と指摘。アメリカのテレビシリーズが世界的に高い評価を得ていることについて、スーパーヒーロー映画の悪影響に関する持論を述べた。
「映画はとても悪い方向に進んでいると思いますよ。マーベルやDCなどの壮大な要素のせいもあって、居場所を失ってしまった。事実として崩壊は始まっていると思います。筋書きを失っているようなところがある。」
一時は“スーパーヒーロー映画疲れ”がささやかれたハリウッドだが、奇しくも現在は『デッドプール&ウルヴァリン』が歴史的ヒットの真っただなか。「(スーパーヒーロー映画は)大金を稼いでみんなを幸せにするが、作品という意味ではどんどん薄まる。いつもどおりのことを繰り返すだけで……僕もそういうプロジェクトに参加したことがあるから」とコックスは語った。
何を隠そう、コックスは『X-MEN2』(2003)で悪役ウィリアム・ストライカーを演じたことがある。ストライカーといえば、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンを創ったキーパーソンだ。「デッドプールが出会うのは……僕が創ったウルヴァリンだけど、そのことはもう忘れちゃったな。これらの映画にはいつも僕が少しだけ出てくるけど、それでお金をもらったことはないから」とジョークを口にした。

ひとりの役者として、スーパーヒーロー映画における俳優仲間の仕事にも思うところはあるようだ。コックスは「一部の俳優にとって、この手の映画はパーティーのようなもの」だといい、「ヒュー・ジャックマンにはもう少しやれることがある。ライアン・レイノルズもそうだ」と強調した。「それでも彼らはそちらの方向で映画をヒットさせ、大金を稼ぐ。それは非難できることではありません」。
コックスは「メディア王~華麗なる一族~」やNetflix「リプリー」などのテレビシリーズを称え、「(現在は)たくさんの番組があり、一定期間にわたって物語を語るという名誉を得られる」とも述べた。一方、子どものころに観て「俳優になりたいと思わせてくれた」という『波止場』(1954)のような映画は、今では部分的に失われてしまっているという。
▼ マーベル映画の批判論争 の記事
マーベル『サンダーボルツ*』、A24風映像で「まさしくシネマ」 ─ スコセッシ「マーベルはシネマじゃない」論争に一撃 インディー映画風 『アベンジャーズ/エンドゲーム』監督、マーベル映画批判スコセッシへの「アンサー動画」が痛烈すぎる 強すぎる マーティン・スコセッシ、スーパーヒーロー映画が「映画文化にもたらす危険性」を指摘 ─ 「我々は抵抗しなければ」発言の真意を読み解く 大きな問題を考えるきっかけに クリス・エヴァンス、タランティーノのマーベル批判に「彼は正しい」と同意 ─ ケヴィン・ファイギは「言い聞かせているだけ」と真意汲み取る 「真ん中を取ってはいけない」 マーベル映画によるコメディ映画衰退コメント、アダム・ディヴァインが補足訂正 ─ 「中規模コメディが作られなくなった」 「ミスリードだ」
Source: The Hollywood Reporter