「誰でも一度は、映画によって、世界や自分自身の見方が組み替えられたことがあるはずだ」ディカプリオ熱弁「「映画は最も決定的な芸術だ」

「映画は最も決定的な芸術形式だ」──俳優レオナルド・ディカプリオが、いま改めて“映画”への思いを語った。
ポール・トーマス・アンダーソン監督『ワン・バトル・アフター・アナザー』で第97回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の主演男優賞に輝いたディカプリオは、授賞式のスピーチにて、「少しだけ映画の話をさせてください」と切り出した。
「父は、僕が4歳のときに初めて映画館へ連れて行ってくれました。近所の映画館で、1933年のオリジナル版『キング・コング』を観たんです。家から4ブロックのところにある、ロサンゼルスのヴィスタ・シアターです。[中略]さまざまな顔を持ってきたこの劇場は、僕が子どもの頃はリバイバルの上映館でした。アメリカの多くの映画館と同じく、数年前に閉館しかかりましたが、(開館から)1世紀が経った今も残り続けています。」
ディカプリオは自身の愛するこの劇場を、「単館上映の歴史的な宮殿として、本来の役割を果たしている」場所だという。「暗闇に人々を集め、意図されたかたちでその瞬間を体験させる」場所だと。
4歳で『キング・コング』のラストに号泣し、8歳でフェデリコ・フェリーニ『道』(1954)の悲しみに打ちのめされ、14歳で『グラン・ブルー』(1988)の海に囚われ、16歳で黒澤明『夢』(1990)の世界に迷い込んだというディカプリオ。「映画を観ているうちに、僕の中で何かが変わっていった」という。
「映画は自分の置かれた環境からの逃避になりました。もはや単なる娯楽ではなく、近所から抜け出し、自分の人生よりも大きなことができると感じられる場所だったのです。映画館を出るときは大興奮で、自分が生まれた世界を超えるものがある、そこに加わる方法を見つけなければと思っていました。誰でも一度は、映画館の座席に座り、照明が落ち、スクリーンに映し出されたものによって、世界や自分自身の見方が組み替えられたことがあるはずです。」
ディカプリオが「映画は最も決定的な芸術形式」だと語るのはこのためだ。映画とは「協働的で、共同体的で、人間とは何か、人間であるとはどういうことかを、比類なき形で表現できる」ものだと確信したという。そして、『ワン・バトル・アフター・アナザー』のポール・トーマス・アンダーソン監督を「この理想に応えつづけているフィルムメイカー」だと称えた。
先日、ディカプリオは英The Timesのインタビューで、映画界が「すさまじい早さで変化している」と述べ、「私たちは大きな転換期にあります」と話したばかりだ。映画館からストリーミングに人々の興味が移っていることを指摘し、自身の問題意識を明かしていた。
「人々はまだ映画館に関心を抱いているのでしょうか。それとも、映画館はジャズバーのように孤立してしまうのでしょうか。僕は、本物のビジョンを持つ人々が作るユニークな作品を、将来的にも映画館で見られることを願っています。それが叶うかどうかはまだわかりませんが。」
今回のスピーチで、ディカプリオはアンダーソンに「あなたの独創的な映画的ストーリーテリングは、私たちが暗い劇場に集まり、素晴らしい物語に全身全霊で集中することが今でも大切であることを思い出させてくれます」とも語りかけた。
「25年間、僕はこの瞬間を待っていました。[中略]過激主義や分断という、今こそ切実な、私たちの暮らす世界を映し出す作品に関われたことは、僕にとって心からの名誉であり、喜びです。ありがとうございます、ポール。また一緒に何かをやれる日が待ちきれません。」
最後にディカプリオは、キャストやスタッフへの謝意につづき、母親への感謝を述べている。「何の理由もなかった頃から、彼女は僕を信じ、放課後には毎日オーディションへ連れて行ってくれました。映画館から始まった夢を支えてくれた。この瞬間があるのは、あなたのおかげです」。
なお、第97回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞において、『ワン・バトル・アフター・アナザー』は作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞(ベニチオ・デル・トロ)・ブレイクスルー演技賞(チェイス・インフィニティ)を受賞した。
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Source: Deadline(1, 2), The Times



























