『ワン・バトル・アフター・アナザー』カーチェイスは道路封鎖、プロ結集で10分で撮った ─ カメラは地上5センチ

レオナルド・ディカプリオ主演&ポール・トーマス・アンダーソン監督『ワン・バトル・アフター・アナザー』(2025)のカーチェイスシーンは、いかにして撮影されたのか? 撮影監督のマイケル・バウマンが製作の舞台裏を明かした。
『ザ・マスター』(2012)からアンダーソン作品に参加しているバウマンにとって、本作は3度目のコラボレーションにして、撮影監督として単独でクレジットされた初の作品。全編ビスタビジョン、しかも固定ではなくカメラを動かし続ける撮影にこだわったアンダーソンのもと、『フレンチ・コネクション』(1971)のような70年代風のルックに仕上げることが目標だったという。
クライマックスのカーチェイスで、ディカプリオ演じるボブの娘ウィラ(チェイス・インフィニティ)は、ロックジョー大佐(ショーン・ペン)の手を逃れ、車で疾走する。しかし、ウィラを狙う殺し屋がその後を追っていた……。
この名シーンを撮影するうえでの課題は、「2台の車が走り回るなかに、どうやって緊張感を生み出すか」だった。ロケ地に選ばれたのは、カリフォルニア州ボレゴ・スプリングス郊外の、急勾配ゆえに“テキサス・ディップ”と呼ばれる道路。アンダーソンやバウマンらは、別のシーンのロケハン帰りに偶然この場所を通りかかったという。
テストを繰り返すなかでわかったのは、「広角レンズを地面すれすれ、ほんの数センチ浮かせることで、ダイナミックなスピード感をうまく演出することができる」ということ。バウマンは「そのときに使っていた小さなモニターでも、とてもパワフルな映像になることは明らかでした」と語る。
カギを握ったのは、数々の映画・ドラマでカースタントを手がけるアラン・パデルフォード率いる「アラン・パデルフォード・カメラカーズ」。撮影用カメラを搭載する特殊車両の設計・製造で知られ、バウマンは撮影スタッフとして参加した『フォードvsフェラーリ』(2019)でも協働した。
「彼らは何十年にわたり、ハイスピードのカメラカーを製造してきました。カメラを地面から5センチくらいの位置に浮かせて、時速130キロで走らせたいとしたら、アランとロバート・ネイグル(スタント・ドライバー)こそが適任です。[中略]また、太陽の光をありのままに表現することも重要でした。車に取り付けたカメラがぐらついたり揺れたりしても、それはエラーではなく特徴だと考えたのです。」
ネイグルは『ワイルド・スピード』シリーズや『フォードvsフェラーリ』『グランツーリスモ』(2023)『フェラーリ』(2023)など数々のアクション映画・レース映画に参加してきた名手。交通量が多い実際の道路を封鎖し、チェイスを撮影できる時間はわずか10分間。業界屈指の実力者たちが力を結集し、見せ場となるカーチェイスを撮りきったのだ。
さらにバウマンは、このシーンにはさまざまなスタッフの仕事が融合していることを強調する。「編集作業で緊張感が高まり、ジョニー・グリーンウッドによる力強い音楽のおかげで、まるでヒッチコック映画のような緊迫感が出ました。車やエンジンのサウンドデザインも格別でした」。
撮影を振り返り、バウマンは「最高の瞬間がたくさんあった」と話す。「屋上のシーンや暴動シーンは大好きだし、スケートボーダーたちとの撮影にも力を尽くしました。エルパソのコミュニティは寛大で、街中で自由に撮影できたのもよかった。ロケーションが作品に深みを与えてくれたんです。毎日の撮影がひとつになって、映画の魔法とエネルギーが生まれたのだと思います」
映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』は2026年2月4日、ブルーレイ&DVDリリース。
▼アカデミー賞 の記事

「映画賭博」ハリウッドで禁止に ─ キャスティングや映画公開日、賞レースなどの出来事に賭ける「予測市場」が問題化 そんな取引があるのか 
ロッキーがアカデミー助演男優賞候補に?『プロジェクト・ヘイル・メアリー』人形遣いがノミネート方針 驚き!驚き!驚き! 
2026年アカデミー賞授賞式、過去4年で最低の視聴者数 ─ SNSでは好調、2029年からはYouTube配信へ 依然として高水準ながら 
アカデミー賞受賞後そのままオスカー像持ってハンバーガー食べに行ったマイケル・B・ジョーダン 推せる 
『ワン・バトル・アフター・アナザー』凱旋上映が決定 ─ アカデミー賞最多6部門受賞記念、全国50の劇場にて 劇場リスト載せてます
Source: The Hollywood Reporter, Variety, Business Insider























