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【大満足】『シビルウォー』のキャプテン・アメリカは頑固一徹キャラな原作と違って超いい奴【ネタバレ無しレビュー】

先週金曜日にとうとう公開された『キャプテンアメリカ:シビルウォー』。広告代理店が大々的に行った事前のキャンペーンやらCMやらで、筆者の期待値はMCU映画観測史上最大まで上がっており、さすがにもうこうなると、実際の作品は期待のハードルを超えてくることはないだろうと、できたら『ウィンターソルジャー』くらいの完成度がいいけど、お話も登場人物も絞ってある前作とは異なり、今回は両陣営12人以上のヒーローを登場させることが判っており、もう一本の映画として成立させることすら至難の業にみえたので、公開当日はなるべくショックを受けないよう、ガッカリしすぎないよう心の準備をして映画館に向かった程でした。
ところが、この『シビルウォー』、冒頭のアクションシーケンスから心をがっちり鷲掴み、もう楽しくて楽しくて、筆者は途中からずっと泣き笑いのような間抜けな顔をして鑑賞、中盤、スパイダーマンがバトル中の作戦を、ある有名な映画になぞらえるのですが、そのあたりから幸福すぎて意識が遠くなり、エンディングまで夢見心地のまま、初回の鑑賞は終わりを迎えました。
翌日、気を取り直して、もう一度鑑賞し直したのですが、『最高だ!』という印象は変わることなく、むしろ確信した次第です。

そもそもシビルウォーとは何か

原作のマーベルコミックスの人気コンテンツ『アベンジャーズ』、もともとはそれ自体全員集合のスポットイベント的な存在でしたが、人気のせいか、やがて『アベンジャーズ』というチームのお話がマーベルコミックの主流になり、2006年の『ニューアベンジャーズ:ブレイクアウト』で仕切りなおして以降、『SIEGE』まで続く長大なニューアベンジャーズサーガの中で3回行われたクロスオーバーイベントの中のひとつが、『シビルウォー』です。筆者の私見ですが、この『シビルウォー』は、色々テーマ性とか、後付けの理由を耳にしますが、結局のところ、長いマーベルの歴史の中で、世界を揺るがすようなヴィランとの対決をやりつくしてしまい、ちょっと目先を変えた対決図式が必要とされ、『ヒーロー同士の内戦』という形に行きついたのではないかと考えます。
ちょうど同じく長い歴史を持つ日本の特撮ヒーロー『仮面ライダー』が毎年3本づつ新作映画を公開するために、同じくヒーロー同士が戦うという『ヒーロー大戦』なるものをやり出したのと似ているのではないでしょうか。


アメリカンコミックの性格

原作といってもアメコミの世界では、シリーズや作品ごとにライターと呼ばれる『お話を考える人』が変わります。わかりやすく例えると、たとえば鳥山明先生の『ドラゴンボール』ありますよね?あの作品をアメコミの制作システムにのっとって作るとすると、まず鳥山先生がざっくり、『天下一武闘会編』『ラディッツ編』『ベジータ編』などのストーリーの展開を考えます。そして、その章ごとに、信頼する『ライター』と『絵描き』に任せてしまいます。
『ライター』には大きな権限が与えられており、『俺の考える天下一武闘会』の中で『俺の考える悟空』を展開することができるのです。(もちろん著作権者の細かい監修は入りますが)
それでは、お話の辻褄とかキャラの性格とか整合性に問題が生じるんじゃないか?と日本の漫画を読みなれた我々は当然疑問に思いますよね?実際辻褄はよく合わなくなっています。しかし、そこは読者も、この章ごとにライターが異なる、と言うシステムを『当然の事』として理解しているので、『これはこのライターのドラゴンボール』として、章をまたいでの整合性は大きな問題にならないのです。

原作シビルウォーでのキャプテンアメリカは『頑固一徹』

そこで原作『シビルウォー』でのキャプテン・アメリカですが、はっきり言って『ただの頑固親父』に描かれています。当サイトTHE RIVERでも、たくさん特集してきたので、超人登録法(映画ではソコヴィア協定)を巡るキャプテンとアイアンマンの主張の違いからくる対立はご存じの方が多いと思いますが、原作のキャップはもう、なんつうか取りつく島がありません。
対するトニー・スタークはなんとかキャップ側との妥協点を見出そうと、必死で画策し、時には懇願し、もうほんとになんだか可愛そうになるくらい対決を避けようとするのですが、キャプテンときたら、我が道を行く、邪魔するならぶっとばす、の一点張り。そのくせ、対決で犠牲者が出ると、トニーに「お前が悪いんだ」と責任をおっかぶせてきます。「いやいや、お前話聞けよ!」と盛大に突っ込みを入れたくなるのが、原作におけるキャップです。
主張には、確かにキャプテンの言うことにも一理あるのですが、とにかく傲岸だし、手加減しようとしてる社長側に比べて、なんか本気でアイアンマン殺しかけたりしてるし、ついこないだまで一緒に戦ってきた仲間への態度とは思えません。はっきり言って『どうかしてる奴』です。
そもそも、キャプテンアメリカは、他の原作『ウィンターソルジャー』や『ニューディール』では、他者を思いやり、いつも悩みながら、それでも戦う時は一番危険なところに自ら身を置く、優しくて強いヒーローの見本のような姿を見せてくれることが多いので、『シビルウォー』では何か、このヒーロー同士の対決を成立させるために無理やりキャプテンの性格を『頑固一徹』に補正されてしまったような気がしました。

映画シビルウォーではどう描かれているか

それでは映画での『キャプテンアメリカ』はどうだったでしょう。結論から言うと、『これが僕の中のキャプテンアメリカ』です。超いいやつ。
ちゃんと相手の話に聞く耳を持ち、納得したわけではなくとも、事態の深刻化を防ぐために自らの主義信条を変えることも考慮し、幼馴染バッキーとの『死ぬまで一緒だ』という約束を守ろうとし、この絆ゆえ、アイアンマンとの間で苦悩する。優しくて強い男キャプテンアメリカとして、描き切っていたと思います。

この映画『シビルウォー』、個人的にはキャプテンアメリカ側に肩入れした形で見ると後味すっきり、社長側で見ると少々もやもや、な仕上がりになっていて、実際レビューを見るとそんな感じの感想が多いのですが、皆さん、この映画は『シビルウォー:キャプテンアメリカ』です。キャプテンアメリカ3なのです。まず事前に『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー 』と『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を観て、どっぷりキャプテンに肩入れしてから観るのがお薦めの鑑賞方法です。

個人的に好きな場面は、中盤の空港のバトル中、あるヒーローと出身地を言い合うところがあります。爽やかな風のようなキャプテンの人柄がわかる名シーンだと思います。

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Writer

アクトンボーイ
アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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