「カウボーイビバップ」渡辺信一郎監督、Netflix実写版は「『カウボーイビバップ』ではなかった」 ─ 第1話の冒頭しか見ていない

Netflixによる実写ドラマ版「カウボーイビバップ」(2021)について、オリジナル版のテレビアニメを手がけた渡辺信一郎監督が率直な思いを明かした。
ドラマ版「カウボーイビバップ」は、2021年11月19日に配信が開始されたが、批評家・視聴者の両方から厳しい評価が寄せられ、視聴数も伸び悩むなど苦戦を強いられた。これを受けて、Netflixは約3週間後の12月10日に打ち切りを決定している。
作品の創造主である渡辺監督は、ドラマ版にも“監修(コンサルタント)”としてクレジットされた。しかし米Forbesのロングインタビューでは、実際には第1話の冒頭しか観ていなかったことが明かされている。
「Netflixの実写版では、検査とチェックのために映像が送られてきました。カジノのシーンから始まりましたが、見続けるのは大変つらかったですね。そこで止めてしまったので、オープニングしか見ていません。明らかに『カウボーイビバップ』ではなかったし、その時、僕が関わらなければ『カウボーイビバップ』にはならないんだとわかったんです。(実写版も)僕がやるべきだったのかもしれないな、と思いました。ただしどういうわけか、オリジナルのアニメの価値はずっと上がったんですよ。」
渡辺監督が言及しているのは、第1話『カウボーイ・ゴスペル』のオープニングで主人公のスパイク・スピーゲルがカジノを訪れ、アクションを繰り広げるシーンのこと。渡辺監督に敬意を払ってのことだろう、このカジノには「ワタナベ・カジノ」という名が付けられているが、残念ながら監督自身はこの場面しか観ていなかったようだ。
ドラマ版と渡辺監督の関係については、2020年1月に、スパイク役のジョン・チョーが、米IGNにて「監督からのアドバイスはありましたか?」との質問に「僕たちは(監督と)やり取りをしていないんです」と答えていた。
また2019年11月には、渡辺監督もOtaquestの取材にて、ドラマ版「カウボーイビバップ」について「最初のコンセプトを読んで意見を伝えました。完成品に反映されるかはわかりません」と語っている。これは総監督を務めていた「キャロル&チューズデイ」(2019)の製作で多忙だったためで、監督は当時「漫画をアニメにする時も、原作者があれこれ言ったからといって良い作品になるとは限りません。だから、僕には良い作品になることを祈ることしかできないんです(笑)。それに『カウボーイビバップ』を止める権利は僕にはありません。権利はサンライズのものだから、文句があれば彼らに言ってください(笑)」と話していた。
もっとも、ドラマ版「カウボーイビバップ」もまたファンの間で愛されたことは間違いない。打ち切りが決まったのち、ファンや製作陣からは落胆の声が上がり、シリーズ継続を求める運動も開始された。この運動には、本記事時点で15万人以上の署名が集まっている。
Netflixシリーズ「カウボーイビバップ」は独占配信中。
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Sources: Forbes, IGN, Otaquest