『クロール -凶暴領域-』ワニが泳ぐホラーの水域 ─ 「ずっと怖い」慄然の感想レポート

「人喰いワニとハリケーンの組み合わせ。怖すぎませんか。あらゆるところからワニ出て来てほんとやめて欲しい…(笑)」(”Yosuke”さん)
地上でも水中でも、一体どこから襲いかかってくるかわからないワニの恐怖を臨場感たっぷりに味わえる映画『クロール -凶暴領域-』が、2019年10月11日より日本公開となる。最大級のハリケーンに襲われた避難区域を舞台に、我が家に勝手に上がりこんで凶暴すぎる習性を顕にするワニ。THE RIVERが公開に先駆けて試写会を開催すると、参加した読者も恐怖に縮み上がった。
「『ワニ映画』という珍しいジャンルでしたが、『サメ映画』に劣らない最凶のホラーパニックムービーでした!」(”かすみ”さん)と大評判の『クロール -凶暴領域-』、一体どんな映画なのだろう。この記事で、一足先に鑑賞した皆さんの生の声と共にご紹介しよう。

ワニの最凶すぎる戦闘能力
まず初めに、ワニのヤバさをお伝えしておきたい。何となく水辺でボーっとしていそうな印象もあるワニだが、本作に登場するアリゲーターの水中での移動速度はなんと時速32.18キロ、原付バイク並である。このスピード、実は一般的なホオジロザメと同等の速度なのだ。加えてアリゲーターは、地上でも時速18キロで移動可能。水から離れても逃げ場なし、地上さえもヤツらのテリトリーだ。
その視力は、暗闇の中でも獲物を捉える殺人サーチライト。大きな口にびっしり生えた歯は80本。もはや80枚刃の地獄カミソリでガブリと噛み付けば、動物史上最強の1,342キロの力で確実に噛み砕く。これはゴリラの握力の約3倍だ。
そのまま必殺デスロール。獲物の手足を引きちぎるため、獲物を咥えたままゴウンゴウンと水中回転する殺戮洗濯機である。これぞ、アリゲーターの闘争DNAが進化の歴史の中で編み出した逃避不可の必殺技だ。必ず殺すと書いて必殺である。
『ドント・ブリーズ』のサム・ライミ、「水×恐怖」のアレクサンドル・アジャ監督が描く
水陸両用、殺戮の捕食者の逃げ場なき本作で製作を手掛けたのは、盲目の殺人ジジイ宅で音を立てたらゲームオーバーのスリルを描いた『ドント・ブリーズ』(2016)製作も記憶に新しいサム・ライミ。かつて『死霊のはらわた』(1981)で登場人物の身に迫る恐怖を臨場感たっぷりに映像化したサム・ライミが、最初から最後まで全く気の抜けない驚きと衝撃を、ワニの歯のごとくビッシリと用意している。
監督はフランス出身のアレクサンドル・アジャ。『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006)で戦慄のハリウッドデビューを果たしたアジャ監督は、『P2』(2007)『ピラニア3D』(2010)で「水×恐怖」の演出ノウハウは会得済み。サム・ライミとの強力タッグは、まさにワニの恐ろしさを描くのにうってつけだ。
サメ映画は数あれど、意外にもワニ映画はさほど多くない。また、『ジョーズ』(1975)のような誰もが知る代表作もない。サム・ライミは「一番好きなワニ映画?」と聞かれて、『ジュラシック・パーク』(1993)と答えているほどだ。製作陣が目指したのは、主席不在のワニ映画界における代表作となること。そのためには、単なるキワモノ映画ではなく、スリラー/ホラー/パニック映画として良質な作品に仕上げることが重要だった。
映画の舞台は、危険度最大クラスであるカテゴリー5の巨大ハリケーンに見舞われたフロリダ。主人公のヘイリーは両親の離婚以来疎遠になっていた父デイヴの連絡が取れなくなったことを知る。避難勧告が出る極度の暴風雨の中、ヘイリーはかつての家族との思い出が詰まった実家に戻るが、そこで大量発生したワニに襲われる。これまでのワニ映画では主にジャングルの沼地が舞台となることが多かったが、今作では日常の場でワニに侵略される異物感が他作品との違いだ。

ヘイリーは、まるでお化け屋敷のような地下で父を発見、ワニとの死闘の第1ラウンドはここで展開される。もちろん電力もなく、頼りになるのは手巻き式懐中電灯のみ。このあたりはサム・ライミとアレクサンドル・アジャ監督ならではのホラー演出が存分に活かされている。
「とにかく怖かったです…」と、本作に呑み込まれた”アンティ”さんの感想。「ワニがこのタイミングで来そうだなと予想したら来なくて、その後に来たりと怖さのタイミングが絶妙でした。」”ゆかりん”さんからは、「想像以上の恐怖・ドキドキ・面白さでした。ワニの動きがリアルで、拍手!恐怖を一層強くしていたと思います」との絶賛コメントも。
アジャ監督のファンだという”じぇれ”さんも、「『ピラニア3D』時代の凶暴性はそのままに、語り口がちょっぴり大人になったアジャ節が最高!徹底的に主人公を追いつめてくれるので、ドキドキが止まらない!」と大満足だ。命がけワニワニパニックの恐怖については、他にも絶賛のコメントが多数寄せられている。
「サム・ライミの鬼!ワニ!悪魔!ずっと怖くてアゴと腕が痛くなりました。」(”しのぶ”さん)
「サメも恐いけどワニも超恐い!ずっと何かが起きてて飽きない!楽しい!主人公達が可哀想になるくらい次々追い込まれる!」(”ほんじょう”さん)
「地下での、いつやってくるか分からない恐怖は凄かった。」(”REN”さん)

ワニと浸水の恐怖から逃れる、ホラー映画級の没入感
『クロール ―凶暴領域―』の恐怖はワニだけでなく、街を呑み込むカテゴリー5のハリケーンの非常事態ぶりも見どころだ。ワニから逃げている間にも、家の中を徐々に満たしていく浸水。もちろん水中はワニが本領発揮できるテリトリーであり、ゆえに人間側の行動エリアは刻一刻と狭まっていく。言わば、家の中はパニック映画とシチュエーションスリラー映画状態、そして家の外はディザスター映画状態だ。さあ、どうする?

ここで活きてくるのが、主人公のヘイリーが競泳選手という設定だ。脱出の糸口を掴むため、カメラがヘイリーと共に水中へ潜っていくと、観客も息が詰まるような没入感を味わうことが出来る。地上でも大口開けて襲いかかって来たワニが、目の前をスイーッと泳いでいる恐怖……。

「重量感があって、恐怖の象徴として申し分ない」と”じぇれ”さんが評する本作のワニは、徹底的なリサーチを経てほぼCGで製作された。暗闇から、そして水中でこちらに向かって一直線に襲いかかってくれるワニの存在感は脳裏に歯型を焼き付けるレベル。どこから飛び出してくるか分からない恐怖のワニ描写については、「クソでかくてめちゃ怖かったです。今日寝れるかな(笑)」(”Yosuke”さん)、「怖い、大きい、目が光る。サメ映画より怖い」(”ほいむ”さん)、「容赦ない!怪獣!」(”廣井優仁”さん)、「素早いので恐い」(”町田健次”さん)と慄然の声多数。

“廣井優仁”さんが「さすがサム・ライミ監督を始めとする布陣で、良質なパニック映画に仕上がっていた」と勧めてくれるように、本作では良質なスリラー/ホラー/パニック映画として恐怖を体感できる。事実、THE RIVERが観客に行ったアンケートでは、「スリラー/ホラー/パニック映画が好きな人」にオススメしたいとの声が圧倒的多数だったのだ。さすがは『ドント・ブリーズ』のサム・ライミである。
「リアルすぎて正統なパニック映画だと思いました。」(”アキ”さん)
「新しいジャンルの恐怖。」(”ほいむ”さん)
「普通のホラー映画よりもよっぽど怖い。」(”吉岡充”さん)
「ワニメインのホラーの可能性を見た!」(”ほんじょう”さん)
主演は『メイズ・ランナー』シリーズ(2014-2018)のヒロイン役で人気を博し、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)で新ヒロインに抜擢されて注目を集めたカヤ・スコデラリオ。父親デイブ役には、『プライベート・ライアン』(1998)などのバリー・ペッパー。アレクサンドル・アジャ監督は今後、寺沢武一の人気漫画「コブラ」ハリウッド実写映画版の監督にも内定しているほか、伊藤潤二の漫画『富江』短編ドラマシリーズ化の大役も任されている気鋭の映画監督だ。
観終えた後には、「『クロール』というタイトルの意味が分かって、なるほどという印象です」と”みゆ”さん。その納得の理由を是非劇場でお確かめ頂きたい。水没していく思い出の我が家を侵略するワニによる、水陸両用の恐怖が存分に味わえる映画『クロール -凶暴領域- 』は、2019年10月11日(金)より公開。迫りくる最凶生物ワニと浸水。もう、あなたの逃げ場はない……。