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Netflixはスマホいじりながら鑑賞されるから、最初に派手なアクションを作り、セリフでプロットを何度も説明する? ─ マット・デイモンとベン・アフレック談義

マット・デイモン ベン・アフレック
[左]Photo by NASA/Bill Ingalls https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Matt_Damon_TIFF_2015.jpg [右]Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/35813529230/ Remixed by THE RIVER

最近のNetflix映画は、自宅でスマホをいじりながら鑑賞する視聴者から集中力を獲得するため、映画の冒頭から派手なアクションシーンを挿入したり、セリフの中でプロットを繰り返し説明させている?マット・デイモンとベン・アフレックが米番組PowerfulJREで興味深い考察を語り合っている。

ストリーミング配信の台頭と劇場文化の衰退が叫ばれるようになってから久しい。名作『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)以来の名コンビであるデイモンとアフレックは、最新作『Rip/リップ』(2026)の配信プラットフォームとしてNetflixを選んだ。二人は同作でプロデューサーも務めているが、デイモンはネトフリ流のアクション映画の製作手法に思うところがあったようだ。

デイモンは、映画館での鑑賞体験について、時間を予約して教会に出かけるようなものになりつつあると説き、対して自宅鑑賞は作品に集中できる環境になりにくいとした。「自室で観るときは、部屋の電気も付いているし、周囲で他のことも起こっている。子どもが走り回ったり、犬が走り回ったり。つまり、作品に向かう注意力のレベルが全然違うんです」。

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このことが、作品制作そのものにも影響を与え始めているという。Netflixと協業したデイモンは、彼らの要望が伝統的なスタジオのものと異なっていたことを話している。

「僕たちが学んできたようなアクション映画の一般的な作り方は、たいてい3つのアクションシーンがある。第一幕にひとつ、第二幕にひとつ、第三幕にひとつ。規模が大きくなっていて、大爆発があったり、一番お金がかかっているのは第三幕のアクションシーン。それがフィナーレなわけです。

でも今では、映画序盤の5分で大きなアクションシーンを入れたい、と言われるんです。視聴者に観続けてもらうために。

それに、視聴者はスマホをいじりながら観ているから、セリフの中で3〜4回ストーリー説明を繰り返しても問題ないよね、と言われている(笑)。そういうふうに、ストーリーテリングにも侵食が及びつつあるんです。」

やや悲観気味なデイモンに対して、アフレックは別の角度から私見。少年犯罪や社会問題を各話ワンカットで撮影し、エミー賞で8部門に輝いた野心作「アドレセンス」(2025)を例に挙げ、「『アドレセンス』は、そういうことをしていないんですよね。あれはヤバい。暗いし、悲劇的だし、激しい。我が子に殺人容疑がかけられていると知った男の話で、車に乗り込んで、何もしゃべらない後ろ姿を映すだけのロングショットもある」と讃える。

「あれは本当に良く出来ている。ちょっと例外的。そうならないといいですけど」とデイモンが反応するのを聞いたアフレックは、こう続ける。

「僕としては、そういう手法をしなくていいんだという実例だと思いますね。実際、『ザ・タウン』(アフレックの2010年の主演作)だって最初の5分でアクションシーンがあるし(笑)。よくある手段なんですよ。最初で惹きつけて、夢中にさせるんです。崖っぷちから始めて、どうしてこうなったのかフラッシュバックさせるヒーロー映画みたいに。」

さらにアフレックは、「こういうことを文句っぽく言うと、自分が子供の頃によくいた、“俺が子どもの頃は〜”とかいう人みたいになっちゃうんだよね。自分が一番良かった頃の文化で凍結させようとしちゃう人、いるじゃん」と自戒的に続ける。鑑賞中のスマホ問題は「確かに事実としてある」としながらも、アフレックに言わせれば、「結局は需要と供給」なのだ。

「みんなスマホを見たいなら見るし、TikTokを見たいなら見る。そりゃ、そうなる。じゃあ何ができるかというと、できる範囲でベストを作ること。とにかく、めちゃくちゃいいものを作る。そうすれば、人は今でも映画館に行くんですよ。

それなのに僕らは、何か新しいものが出てくるたびに、“これは存在を脅かす脅威だ”と考えがちだよね。何もかもが破壊される、みたいに。

でも歴史が示しているのは、むしろ“じわじわと侵食される”ということなんですよ。少しずつ移り変わっていく。テレビが登場した時だって、映画館に出かける人は減少した。そういうことは起こる。」

「でも、人は今も映画館に出かけるんですよ」とアフレックは希望を続ける。「だって、映画館に行くのはクールなことだから。僕も『オデュッセイア』は劇場に観に行くつもりです。それは絶対行く」。『オデュッセイア』は、まさにデイモンが主演する2026年最大の注目映画だ。

アフレックは、劇場映画に対する配信映画の利点についても話している。“今すぐ劇場に観に行かないと成立しない”というような緊急性が高いタイプの作品ではなく、もう少し実験的でリスクを取った作品にも挑戦しやすくなるというメリットがあるのだ、と前向きに語っている。

視聴者がNetflix作品をスマートフォンやラップトップで鑑賞することについて、アフレックが「ひどい話だ」と苦笑すると、デイモンはこんな冗談を返している。

「僕は、一緒に仕事をする映画監督みんなに、こんなジョークを言っています。監督がショットについて本気で頭を抱えたり、細部を必死に詰めているときに、僕はこう言うんです。

“そんなの、スマホで観たらよくわかんないですよ”って。めっちゃ怒られるんですけどね(笑)。」

Source:PowerfulJRE

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者、運営代表。執筆・編集から企画制作・取材・出演まで。数多くのハリウッドスターに直接インタビューを行なっています。お問い合わせは nakataniアットriverch.jp まで。

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