新DCユニバース、『アベンジャーズ』のような大型作品を準備中 ─ ただしマーベルとは異なるスタイルで

2025年、映画『スーパーマン』で新DCユニバースが本格的に開幕する。先行してスタートしたアニメシリーズ「クリーチャー・コマンドーズ」もファンの人気をつかんで幸先は上々、ここからいっそう加速する構えだ。
2月21日、DCスタジオ代表のジェームズ・ガン&ピーター・サフランは、第1弾ラインナップの発表から2年を経て再び記者会見を実施した。米国メディアに対し、ガン&サフランは当面の目標と現在の指針を語り、そしてマーベル『アベンジャーズ』のような大型企画の存在を示唆している。
サフランによると、現在のDCスタジオは「劇場公開する映画5本、実写テレビシリーズ3本にゴーサインを出し、さらにアニメシリーズ5本をプロデュースしている」状態。記者会見ではそれぞれの作品に言及したうえ、スタジオとしては「1年に実写映画2本とアニメーション映画1本、ドラマシリーズ2本とアニメシリーズ2本のリリースを目指している」と語った。
“DCユニバース”と冠されているだけあって、それぞれの映画とテレビシリーズにはつながりがある。もっともガン&サフランが強くこだわるのは、それぞれのプロジェクトをきちんと独立させ、「巨大な物語の一章にすぎない」とは感じない作品を届けることだ。「『スーパーマン』も『ランタンズ(原題)』も両方観ていなくても楽しめます。ただ、両方を観てくださった方には特別なものを用意しています」とガンは言う。
かねてガンが強調してきたように、この方針を支えるのは“脚本家主導”のアプローチだ。ガン&サフランが脚本に満足するまでは企画にゴーサインが出ず、2人の要求に応えられないと優先順位が下がる。逆に、優れた脚本ゆえにいきなり優先順位の上位に入るプロジェクトもある。事実として、2年前に発表されたラインナップの一部はほとんど動きがなく、代わりに『クレイフェイス(原題)』や『サージェント・ロック(原題)』が急ピッチで進行中なのだ。
プロジェクトの独立性を確保しながら、それでもユニバースとしてあらゆる企画をまとめる構想を立てているのは、「アイコニックなキャラクターの共演を見たいというファンの思いがあるから」だとサフランは語る。計画には一定の柔軟性があり、進行中の作品次第では変化もいとわないようだ。
「今後6年間の基本的な計画はあります」とガンは豪語する。詳細は明かされなかったが、ガン&サフランが示唆したのは、マーベル・シネマティック・ユニバースでいうところの『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)に匹敵するような大型企画だ。しかし、それでもガンは「それぞれのプロジェクトは独立しており、物語の一章にはなりません。(作品ではなく)キャラクターが大きな物語の一部なのです」と改めて強調した。
ガンの意志は固い。もしも今後、DCユニバースが有機的な物語を生む場所ではなく、作品を送り出す機械のようになってしまったら「私は辞める」というのだ。「本当にいいもの、うまくいくものができていると思えなければ続けるつもりはありません」。また、サフランも「慎重に取り組んでいます。語りたいストーリーを最高の形でお届けすることに注力しており、(DCスタジオの外部からは)一切のプレッシャーを受けていません」と語った。
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Source: Deadline(1, 2), Variety, The Hollywood Reporter