ギレルモ・デル・トロ「死の大ファン、死ぬのが楽しみ」

『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)『フランケンシュタイン』(2025)のギレルモ・デル・トロ監督は、ユニークなキャラクターや設定に満ちた作品を数多く輩出してきた。そんなデル・トロは「死」の捉え方も随分ユニークだ。
米Varietyによると、モロッコで開催されたマラケシュ映画祭(2025年11月28日-12月6日)にてデル・トロは、映画祭の参加者やジャーナリスト、映画学生らに対して「なぜ皆さん長生きしたいのですか?」と問いかけたという。そして、「私は死の大ファンなんです。死は実に素晴らしいものだと思います。(死ぬことを)実に楽しみにしていますよ。だって死ぬということは、“ああ、明日はもう何の問題もない”と言える日が来るってことですから」とコメントしている。
この度の発言は『ナイトメア・アリー』の脚本をともに執筆した、デル・トロの妻キム・モーガンの司会進行によるディスカッションでの一言だ。1931年の映画『フランケンシュタイン』でボリス・カーロフが演じた怪物を初めて見た7歳の頃を振り返り、「あれは宗教だったし、私の教会でした。「祖母がイエスに対して抱いていた感情を、今や私がボリスに対して感じていると直感しました。そして彼の中に自分自身を見出したのです」と、いかに影響を受けたか強調している。
監督最新作『フランケンシュタイン』は50年間にわたり思い描き、20年、25年前から作ろうとしてきた作品であり、「人生の全てを捧げた」とも、デル・トロはかねてから公言している。一世一代の作品を完成させたことが、「死ぬのが楽しみ」発言に関連しているのかどうかは定かではないが、映画が世に出た今は「産後うつ」のような状態だという。
しかし、『フランケンシュタイン』の撮影で宿泊していたスコットランドのホテルで怪奇現象に遭遇するほどに、デル・トロは“引き”の強い人物だ。そして、これまでも作中で生と死の狭間や、目には見えない不思議な存在を表現してきただけに、死の世界に惹かれ、関心を抱くのは分からないでもない。
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Source:Variety


























