黒澤明『天国と地獄』デンゼル・ワシントン主演&スパイク・リー監督で米リメイク ─ 製作はA24&Apple

黒澤明監督の名作映画『天国と地獄』(1963)が、『イコライザー』シリーズのデンゼル・ワシントン主演、名匠スパイク・リー監督によってハリウッドでリメイクされることがわかった。製作はA24&Appleが担当する。米Varietyなどが報じた。
『天国と地獄』は、エド・マクベインのミステリ小説『キングの身代金』を原作としたサスペンス映画の金字塔。製靴会社の常務・権藤(三船敏郎)に仕える運転手・青木の息子が、権藤の息子と間違われて誘拐された。犯人の要求通り、権藤は現金3,000万円を持って特急こだまに乗るが、果たして犯人の狙いとは……。
ハリウッドリメイク版は、『キングの身代金』ではなく『天国と地獄』のリメイクというから、黒澤明・菊島隆三・久坂栄二郎・小国英雄による脚色をベースにしたものになるとみられる。脚本はリー監督と、新鋭の劇作家アラン・フォックスが共同執筆し、撮影は2024年3月にも始まる見込みだ。
デンゼル・ワシントン&スパイク・リー監督のタッグは、『モ’・ベター・ブルース』(1990)『マルコムX』(1992)『ラストゲーム』(1998)『インサイド・マン』(2006)以来5度目。意外にも18年ぶりの顔合わせとなる今回の企画は、2023年春ごろから共同で準備が進められていたものの、全米脚本家組合・全米映画俳優組合のWストライキにより棚上げされていた。ストライキの終結、およびワシントン出演の『グラディエーター2(原題)』撮影終了を受け、いよいよ実現に動き出したという。
プロデューサーは『イコライザー』シリーズなどでワシントンの出演作を手がけてきたトッド・ブラックと、『AIR/エア』(2023)のジェイソン・マイケル・バーマン。監督のリーも製作総指揮に名を連ねた。米国ではA24による劇場公開後、Apple TV+にて世界配信される予定だ。
ワシントンとA24、Appleのコラボレーションといえば、同じく劇場公開後の配信となった、ジョエル・コーエン監督の『マクベス』(2021)が記憶に新しい。本作はその流れを汲む、三者が共同で名作を新解釈する取り組みのひとつと言えるかもしれない。
なお、A24はMaxと複数年の契約を結んでいるが、本作はその契約外にあたるという。