「デッドプールは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で影響あった?」マーベル製作社長はどう答えたか

ある意味、取材術の基本である。まずは他愛もない質問から相手の懐に入り込み、徐々に核心に迫っていく…。
米Varietyのレポーターはとある授賞式の場で、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギから特ダネを掴もうと試みていた。かねてより注目のディズニーと20世紀フォックス統合にかかるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)への影響だ。この統合が完了すれば、『アベンジャーズ』などMCUの物語に、『デッドプール』や『X-MEN』など20世紀フォックスのマーベル・キャラクターが事実上の合流可能となる。
マーベル・スタジオや20世紀フォックスの関係者らは、この将来についての質問をこれまでも度々尋ねられている。もちろん、現時点では何も明らかになっていないため、せいぜい「分かりません、でも楽しみですね」程度の回答が関の山だ。
米Varietyは、現地時間2018年10月26日開催の英国アカデミー賞ロサンゼルス支部によるブリタニア賞授賞式に姿を見せたケヴィン・ファイギを捕まえた。限られた時間、限られた質問数の中で、この重鎮から少しでも意義あるコメントを引き出そうとするレポーターと、のらりくらりとかわしてみせるケヴィンのやりとりを見てみよう。
この記事には、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレ内容が含まれています。
Did Deadpool survive “Infinity War”? Marvel Studios chief Kevin Feige weighs in https://t.co/e1uhd6kWaS #Britannias pic.twitter.com/RBV1MjNVZp
— Variety (@Variety) 2018年10月27日
絶対に特ダネを引き出したい男 VS 絶対に何も答えられない男
「クロスオーバーの話をしましょうよ!」まず、レポーターが繰り出した一問はこんな具合だ。「FOXとディズニーの統合はまだ完了していないのは分かっているんですが、デッドプール!デッドプールは、『インフィニティ・ウォー』で生き延びたのでしょうか?」
ケヴィンにとっても答えようのない質問だが、アイスブレイクとしてはまずまずだ。ケヴィンも「良い質問じゃないですか!」と声を上げて笑う。
「厳密に言うと、彼はMCUじゃないので、あのシネマティック・ユニバースにはいないんです。だから影響なかったと思いますよ。多分。」
“デッドプール、サノスの指パッチンを生き延びる!”そんな見出しも脳裏にチラついたかもしれない。もちろん、このレポーターが聞きたかったのは、どう考えても大して実のない回答しか得られないこの質問ではなかったはずだ。マイクを握ったVarietyレポーターは、続けてこう尋ねる。
「『デッドプール』を(MCUに)引き入れたいですか?」
「えっと…、今おっしゃったように事業統合はまだ完了していないので。今言えることといえば、ここ何年にもわたって、たくさんのキャラクター(の権利)が戻ってくるという夢が実現してきました。それで、マーベル・スタジオから様々な物語をお届けできたというわけです。だから、もしそうなれば凄く興奮しますよね。」
きっと彼らには、事情により答えられない質問を尋ねられた時、予め定型化された回答を渡すメソッドでもあるのだろう。ここでもファイギは、何か答えているようで何も答えていない。めげずにレポーターは、間髪入れずに次の質問を差し込む。「もうアイデアがあったりするんですか?」ケヴィンは一瞬だけたじろいだ。
「あっ…。アイデアというのは、18年前からあったわけですけれども、具体的なものではないです。」
結局のところ、ケヴィンから得られた新情報などは皆無に等しかった。挑んだレポーターもきっと質問のプロだが、ケヴィンはさらに上手(うわて)、「質問をかわすプロ」なのだ。それもワールド・マスター・クラスの。