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ディズニー、FOX 2000を終了へ ─ 20世紀フォックス幹部が続々解雇、スタジオ大規模再編はじまる

米ディズニーとフォックスの事業統合

ウォルト・ディズニー・カンパニーによる21世紀フォックスの事業買収によって、スタジオの大規模再編が始まった。

ディズニー、FOX 2000を終了へ

2019年3月21日(米国時間)、ディズニーはフォックスの映画部門のひとつ「FOX 2000」を終了する方針だと報じられている。事業統合の実施当初、ディズニーは20世紀フォックスのほか、フォックス・サーチライト・ピクチャーズやFOX 2000など全部門を継続する予定だと発表していた。思わぬ展開となったが、事実上の機能がフォックス・サーチライトに移されるかどうかはわからない。

報道によれば、ディズニーはFOX 2000が現在取り組んでいる企画の完了まではFOX 2000を存続させるとのこと。米Deadlineによれば、最後の作品はジョー・ライト監督による『ウーマン・イン・ザ・ウインドウ(邦題未定、原題:The Woman in the Window)』。エイミー・アダムス、ジュリアン・ムーア、ゲイリー・オールドマンらの出演するスリラー映画で、2019年10月に米国公開予定だ。全企画の完了までは、同部門代表のエリザベス・ガブラー氏が指揮を執る。

これまでFOX 2000では、『ドリーム』(2016)や『きっと、星のせいじゃない。』(2014)、『プラダを着た悪魔』(2006)といった作品が製作されてきた。日本では劇場未公開となったが、『Love, サイモン 17歳の告白』(2018)や『ヘイト・ユー・ギブ』(2018)といった高評価の作品を送り出してきた部門でもある。

20世紀フォックスの幹部解雇相次ぐ

今回の事業統合にあたっては、20世紀フォックスの幹部や、これまで重要なポジションにあった職員が相次いで解雇されている。米Varietyによれば、事業統合によって最終的に約4,000人が失職する見込みとのこと。20世紀フォックスをはじめとするスタジオ関係において、その第一波は比較的小規模で、対象を絞り込んだ形で行われるという。

解雇を受けたスタジオ幹部のうち、大きく名前が報じられているのは、フォックス作品の国内配給を統括してきたクリス・アロンソン氏、同じく海外配給を担ってきたアンドリュー・クリップス氏、20世紀フォックステレビジョンの一部門である「20テレビジョン」の会長であるグレッグ・メイデル氏だ。

このほか解雇が報じられたのは、クリス・アロンソン氏の右腕だったスペンサー・クレイン氏や国内広報を担当していたヘザー・フィリップス氏、製品戦略などを担当していたマイク・ダン氏ら総勢13名(2019年3月22日12時現在)。もちろん報道に名前が載る人物は、実際に解雇された人間のうちごく一握りだろう。

映画界を揺るがす大規模な事業統合は、ハリウッドにおけるビジネスの残酷さ、シビアさを思わせずにはいられないスタートを切った。しかしこれこそが企業買収なのであり、こうした展開を迎えることは、ディズニー側はもとより、フォックス側もじゅうぶんに予測していたことだろう。

いずれにせよFOX 2000が終了し、20世紀フォックスの幹部が続々と解雇されることによって、20世紀フォックスの体制が従来から大きく変わることはすでに確実なものとなりつつある。こうした動きがスタジオのありかたや作品のクリエイティビティにいかなる影響を与えるかは、おそらく今のところ誰にもわからない。しかし『SPY/スパイ』(2015)や『デンジャラス・バディ』(2013)などフォックスのもとで大人向けのコメディ映画を手がけてきたポール・フェイグ監督は、フォックスとの契約が失効したことで、新たな契約相手としてユニバーサル・ピクチャーズを選んだことが明らかになっている。事業統合によるクリエイターの動きにも、しばらくは注意が必要だ。

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Source: Variety, Deadline(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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