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ディズニー投資家、『ブラック・ウィドウ』の配信リリースを要求 ─ 「配信最優先」発表直前に投資家の申し入れがあった

ブラック・ウィドウ
(c)Marvel Studios 2021

“『ブラック・ウィドウ』のような作品を配信リリースすべき”。ウォルト・ディズニー・カンパニーの投資家は、2021年に公開延期となったマーベル・シネマティック・ユニバース最新作『ブラック・ウィドウ』を含む大作にも大幅な路線変更を求めているらしい。ディズニーが配信サービスを最優先すると発表する直前、著名投資家のダニエル・ローブ氏が、今後はストリーミングに軸足を置くようディズニーに要求していたことがわかった。

「私の知るかぎり、保守的な幹部たちは大作映画で思い切ったことをやりたがっていない。だから『ブラック・ウィドウ』などの作品を2021年に延期すると発表したわけです」。ローブ氏は米Varietyにて、NetflixやAmazon、HBO MaxやApple TV+など群雄割拠のストリーミング戦国時代において、ディズニーにはさらなる勝算があると述べていた。「彼らは自分たちが成功しかけていることに気づいていない。サブスクリプション・モデルに切り替えることで動かせる価値があるのです」

ローブ氏がディズニーのボブ・チャペックCEO氏に連絡し、Disney+の独自コンテンツに2倍の投資を行うべきだと求めたのは2020年10月7日(米国時間)のこと。その5日後の10月12日に、ウォルト・ディズニー・カンパニーはストリーミング・サービスを最優先する戦略を発表した。自社サービスの指揮、配信コンテンツの流通・広報を一元化する新部門「メディア&エンターテインメント・ディストリビューション」を発足し、プレスリリースには「配信サービスを最優先し、劇場やテレビ、配信用のコンテンツを製作・発信する」との文言がある。

すでにローブ氏は、いずれコロナ禍が落ち着いたのちも、エンターテイメント業界における映画館の重要性は落ちると予測している。米国の映画館が経営危機に立たされている今、映画館での映画体験は失われないにせよ、その意味は大きく変わるだろうと。「幸いにも、ディズニーとNetflixの関係性はYahooとGoogleほどのものではありません。YahooがGoogleに追いつくことは絶対になかったわけですから」。

ディズニーがストリーミングの世界で覇権を握るため、ローブ氏が重要視しているのは、マーベル・シネマティック・ユニバース作品や『スター・ウォーズ』、そしてピクサー作品だ。すでに大多数から愛されているシリーズを活かして、さらに配信サービスの会員数を伸ばせると見ている。「Netflixには厚い会員層があり、それがコンテンツへの巨額の投資を可能にし、さらなる会員の獲得につながっている。ディズニーはその次元には達していないが、なるべく早く到達する必要がある」という主張だ。もしもここで機会を逸せば、「ディズニーはNetflixに永遠の後れを取ることになる」とローブ氏は語る。

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Source: Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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