最近のディズニーは続編モノばかり? ─ ウォルト・ディズニー「続編はやらない」意向にディズニーCEOは何と答えたか

最近のハリウッド映画は続編ものばかりでオリジナリティがない?よく聞かれる論調だが、ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOは米ニューヨークで行われたサミットに登壇すると、「続編を作ることについて、謝りたくない」とスタジオの姿勢を擁護している。米Deadlineが伝えた。
ディズニーの続編タイトルといえば、直近では『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)があった。ディズニー&ピクサー作品としては『トイ・ストーリー』の続編、ディズニー・アニメーションからは『アナと雪の女王』『ズートピア』の続編が企画中だ。傘下のマーベルやスター・ウォーズでもシリーズの続編制作を続けている。
確かに続編タイトルの数は決して少なくないわけだが、ボブ・アイガーはこれらの製作について「謝るつもりはない」とコメント。「(続編映画の)いくつかの作品は、並外れてうまくいくこともあります。それに、良い映画でもある。商業的な理由だけでなく、製作されるべき理由が必要なのです。良いストーリーが必要です」と、良い物語は継続されて然るべしといった姿勢を示した。「我々はあまりにも多くの映画を作りすぎました。だからといって、今後はもう作り続けないというわけではありませんよ」。
この会場ではアイガーに向けて、かつてウォルト・ディズニーが1966年に株主に贈った手紙の内容が読み上げられたという。「私は生まれながらの実験者である。今日に至るまで、私は続編というものを信じていない。人気サイクルを追うのでなく、新しい物事に進まなくてはならない」というものだ。
続編企画の多発は、いわばウォルトの意志に反する方針となるわけだが、これに対しアイガーは「今現在『メリー・ポピンズ』の新作を作ろうとは思いませんし、今後もないでしょう」と応答した。「おそらく、批評面でも興収面でも同じように成功を収めるベンチャーが他にも出てくるでしょう。でも、満塁ホームランを毎回打てるわけではないことを、我々はわかっています。一塁に進むのだって一苦労で、とにかくスイングを続けるのみだということもわかっています」と、映画ビジネスの難しさを野球に例えている。
さらにアイガーは、今も当時のまま保存されているウォルトのオフィスに時折「彼の存在を感じに」訪れることがあるとも話している。「変な風に聞こえるかもしれませんが、いい具合にリラックスできて、会社のレガシーに感謝できるんです」。
アイガーはウォルトについて、「変化に対応するのが上手だった」「テクノロジーを愛していて、それを使うことも愛していた」と分析。「そして、この世界は静的な場所ではないということも、彼はわかっていた」と続けているから、ウォルトの時代から世界は変わり、続編製作も今の時代の潮流なのではないかということを、アイガーは暗に答えたのだろう。
しかし、満を持しての大型続編映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は1億ドル近い赤字と伝えられる苦戦作となった。直近では、「ディズニーは2019年以来、10億ドルヒット映画が一つもない」との批評が飛び出したことも話題に。スタジオは苦境にあるが、アイガーは「我々が打ち立てた数字を、他のスタジオが達成することはないでしょう」と強気だ。「つまり、世界興行収入が10億ドルに達しなければ、我々は落胆する、そういうところまで来たのです。そもそも、それは非常に高い水準ですからね」。
ディズニーの新作は、スタジオ創立100周年を謳うオリジナル作『ウィッシュ』だ。11月22日に全米デビューを果たしたが、初週末ではシリーズものである『ハンガー・ゲーム0』とリドリー・スコットの『ナポレオン』に阻まれ3位デビューとなっている。
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