『スター・ウォーズ』ドゥークー伯爵のライトセーバーはなぜ湾曲しているのか?

『スター・ウォーズ』には印象的な悪役キャラクターが多いが、2002年に公開された『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』で初登場したドゥークー伯爵もその内の一人だ。直近では、アニメシリーズの「テイルズ・オブ・ザ・ジェダイ」(2022)や「バッド・バッチ」(2021-)でも様々な形で登場し、再び彼に焦点が当たる機会が多くなっている。

『エピソード2』公開20周年を記念して実施されているStarWars.comのインタビュー企画において、ドゥークーのライトセーバーがどのようにデザインされたか、発案の経緯が明かされた。
ドゥークー伯爵は、最も優雅だといわれる“マカシ”という型でライトセーバーを扱う。マカシには正確な剣捌きが必要とされるが、それを可能にしているのが、あの持ち手が湾曲したライトセーバーだ。
そんな独特な持ち手のコンセプトを生み出した発案者は、本作の特殊効果を手掛けたインダストリアル・ライト&マジック(ILM)で当時、アート部門のアシスタントを務めていたルール・ロブレスだったという。ロブレスは「他とは違ったライトセーバーのデザインを考える必要があった」として、製作当時をこう語る。
「私は、様々な棒やナイフを用いて戦闘を行うフィリピン武術を嗜んでいたので、フィリピンや他のアジアの国の剣をコレクションしていました。そこで、ドゥークー伯爵のライトセーバーの参考として、その武器コレクションをみんなに見せようと思い、職場に持っていくことにしたのです。」
様々な東洋の武器をILMの同僚たちに披露することになったわけだが、なんとジョージ・ルーカス監督本人もコレクションを見にやって来たという。
「ジョージが選んだのは、私が選んでほしいと思っていたバロンという剣だったんです。偶然、(キャラクターや小道具のデザインを担当していた)ダーモット・パワーが既に湾曲したライトセーバーのコンセプト作りを行っていたので、ジョージの意図に沿う見た目とするために、デザインを洗練させ、調整する作業を一緒に行いました。」
バロンはフィリピンの伝統的な武器で、刃は短くもずっしりと重く、木製の持ち手は湾曲した形状をしていた。ロブレスのお気に入りの武器だったというバロンが、着想の一つとなって、あのユニークなライトセーバーの持ち手が誕生したのだ。ちなみにその際に出たアイディアの中には、アニメ「クローン・ウォーズ」(2008-2020)に登場したドゥークー伯爵の弟子、アサージ・ヴェントレスのライトセーバーに転用されたものもあったそうだ。
ロブレスは4歳の時に親に連れられてフィリピンから渡米した。絵を描くのが大好きで、映画関連の就業経験や正式な芸術の訓練もないままであったが、ルーカスフィルムに直接電話してメール室の職を得たそうだ。届いた郵便物の仕分けや社内配達を行う傍ら、会社開催のパーティーの告知ポスターを描くなどしていたところ、見事アート部門のアシスタントとして採用されたという。
彼が自力で切り拓いた人生の先に、あのドゥークー伯爵のライトセーバーがあったのだ。ストーリー自体だけでなく、製作の背景も知りながら『スター・ウォーズ』シリーズを楽しんでみてはどうだろうか。
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Source:StarWars.com