ジェームズ・キャメロン、スマホでの映画鑑賞に持論 ─「劇場では泣くけど、家で映画観てもそんなに泣かない」
ジェームズ・キャメロン監督による巨編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)は圧倒的な世界観が観客を没入させる、まさに「体験型」の作品だ。キャメロンは劇場や大きなスクリーンでこそ堪能できる映画の楽しみについて米NPRのインタビューについて語っている。
3D映画を世に送り出したパイオニアであり、独自のこだわりを貫くキャメロンだけに、映画は必ず劇場で観てほしいというスタンスかと思いきや、「もし『ウェイ・オブ・ウォーター』を家庭で、適度に大きいフラットスクリーンTVと、相当な音響システムを用意して、部屋で十分な距離を取って座って観られるのならば、素晴らしい体験になるでしょう」と、一定の条件つきでの家庭鑑賞にも寛容な姿勢を見せている。一方で、「スマートフォンで鑑賞しようとしたら、何かを見落とすと思いますよ」と、近年ポピュラーになっている鑑賞スタイルについては警鐘を鳴らしている。
「劇場に行くっていうのは、スクリーンのサイズとか音響システムの精度というよりは、マルチタスクしないための決断なんですよ。それが人々が見落としている致命的なポイントだと思います。自分自身と、芸術作品との間で、全神経を集中させると言う契約を結んでいるのです。家にいるとそれをしないでしょう。劇場では泣けるけど、家で映画を観ているときはそこまで泣かないものです。感情の深淵には届かないんです。」
スティーヴン・スピルバーグも、コロナ禍で大きくダメージを受けた劇場にもまだ希望が満ちていると、そのポテンシャルの高さを語っている。これから先、より劇場の「場」としての価値が高まっていくことだろう。
第1作『アバター』(2009)から13年、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、最先端の技術をもって圧巻の映像体験を更にブラッシュアップさせた。全世界での興収が2023年1月23日時点で推定20億2,400万ドルを達成し、IMAXでの興収はIMAX史上2位の成績を記録。2023年(第95回)アカデミー賞の作品賞にもノミネートされ、名作としてのゆるぎない地位をものにした。
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Source:NPR