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スティーヴン・キング、なぜ『シャイニング』続編を書いたのか ─ キューブリック版への思いも、『ドクター・スリープ』公開記念インタビュー

ドクター・スリープ
©2019 Warner Bros. Ent. All Right Reserved

巨匠スティーヴン・キングの傑作小説、『シャイニング』の40年後を描く『ドクター・スリープ』がいよいよ11月29日(金)に公開を迎える。本作はキングの原作小説はもちろん、スタンリー・キューブリックの映画版『シャイニング』(1980)を継承し、両者の世界観を融合させたとして高い評価を得ている一作だ。

そもそもホラー小説の“帝王”として知られるスティーヴン・キングは、なぜ名作として知られる『シャイニング』の続編を執筆しようと考えたのか。今回、『ドクター・スリープ』のテーマや執筆の裏側、そして映画化への思いを語ったインタビューが到着した。


以前、本作で主人公のダニー役を演じているユアン・マクレガーは「『シャイニング』ではアルコールに溺れて自制が効かない人間が描かれましたが、『ドクター・スリープ』のテーマは“再生”です」と語っていた。実際のところ、作者であるキングと『ドクター・スリープ』の間にも、アルコールと自分自身をめぐる関係性の変化があったという。

『ドクター・スリープ』を執筆した当時は長いあいだ断酒をしていて、その視点からダニーのストーリーを書きたかったんです。つまり……いや、自分が別人だったと言うつもりはないんですよ。それだと、この物語を誇張することになってしまうから。ただし、私自身、『シャイニング』を書いた当時とはずいぶん違っているし、人生においても異なったところにいる。それが『ドクター・スリープ』を書くモチベーションのひとつでした。もっと広い視点でダニーを描けると思ったんですよ。」

ただしキングは、あくまでも「酒を飲むとか、飲まないとか、そういう道徳的なメッセージにはしたくなかった」と言い切る。「私が目指したのは、この人物を読者や観客に見せて、何が起こったのかということに基づき、みなさん自身で判断してもらうことでした」。

ドクター・スリープ
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

映画版『ドクター・スリープ』は、原作小説とキューブリック版『シャイニング』の要素を融合させた作品に仕上がった。もっともキング自身は、長らくキューブリックの映画には批判的な立場であり、自らの手で再映像化にも取り組んだほど。今回も「ずっと言っていることですが、キューブリックの映画が氷で終わるのに対し、私の小説は炎で終わるんです」と、両者の隔たりが大きいことを強調した。しかし『ドクター・スリープ』の映画化で両者の世界観に取り組んだマイク・フラナガン監督に、キングは惜しみない賛辞を贈っている。

「(フラナガン監督は)大人になったダニーの物語を、自分自身の寛大な心をもって探究してくれました。だからこそキューブリックの映画をさらに推し進めることができたし、いろいろな“温かさ”が加わっているんです。これは小説の見事な映画化であり、スタンリー・キューブリックの映画『シャイニング』の素晴らしい続編。映画『シャイニング』で起こったこともあれば、小説『シャイニング』では起きなかったこともあるという世界で、この映画を見事にやり遂げています。」

ドクター・スリープ
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

多数のホラー作品を手がけてきたキングだが、大切にしているのは、読者に恐怖とともにエモーションを届けることだという。「感情が動いたという反応をもらうたびにうれしく思います。私は読者に気にかけてほしいし、読者の心を動かしたい。ホラーとは、いわばギターの弦の一本のようなもので、ほかにもいろんなものがあるわけです」。キングが心がけているのは、読者が登場人物と「人間として共感できる人々」として出会えること。結果的に、それが恐怖をより膨らませることになるのだという。

『ドクター・スリープ』の場合、キングは「シャイニング」という特別な力を持つダニーの存在を通して、“勇気”というテーマを伝えたかったという。「絵を描くのが好きなら、描いた絵を隠さず、みんなに見せればいい。文字を書くのが好きなら、勇気を出してみんなに見せればいいんです。予想される最悪の事態は、“好きじゃない”と言われること。でも、それは特別に最悪なことじゃない。尖ったもので目を刺されるよりはマシでしょう」。

映画『ドクター・スリープ』は2019年11月29日(金)全国ロードショー

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THE RIVER編集部
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