『DUNE/デューン』監督、『スター・ウォーズ』と撮影地が被った時の事前対策が入念すぎる

2021年最大級のSF映画『DUNE/デューン 砂の惑星』を手掛けるにあたり、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、何としてでも『スター・ウォーズ』との重複は避けたかったようだ。2019年公開の映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』と撮影地が同じだと知ったヴィルヌーヴ監督が手配した事前対策が入念である。
米The Hollywood Reporterでは『DUNE/デューン』製作の舞台裏が紹介されている。同記事内で、プロダクション・デザイナーを務めたパトリス・ヴァーメットが、撮影開始前のとあるエピソードを披露。主要撮影地の一つとして決定していた中東ヨルダンの砂漠地帯ワディ・ラムが『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の撮影地でもあったことを知ったヴァーメットは、同作に携わっていた知人のポール・イングリスに連絡を取ったという。ワディ・ラムは、『アラビアのロレンス』(1962)をはじめ、『プロメテウス』(2012)『オデッセイ』(2015)でも登場する有名な撮影地だ。
その後、ヴァーメットとヴィルヌーヴ監督は、イングリスを通して『スカイウォーカーの夜明け』チームとの打ち合わせをホテルのバーでセッティング。そこでヴィルヌーヴ監督は、以下のように話したという。
「あなた方のストーリーが知りたいというんじゃないんですよ。けれどお互いのためです。砂漠の全く同じ場所で撮影することは避けたいんです。」
この会合が行われたのは、恐らく『スカイウォーカーの夜明け』公開前のことと思われる。その場にJ・J・エイブラムス監督が同席していたかは定かでないが、どのような雰囲気で打ち合わせが進行したのかは気になるところ。ヴァーメットは当時を「すごく良い感じでしたよ」と振り返っているから、話は難なく済んだのだろう。
ヴィルヌーヴ監督がなぜそこまで『スター・ウォーズ』との重複を避けたかったのかというと、その理由は明らかだ。何しろ、『スター・ウォーズ』シリーズは1960年代に刊行された『DUNE/デューン』の原作小説から多大なる影響を受けているのだから。ヴィルヌーヴ監督は、『DUNE/デューン』が必然的に『スター・ウォーズ』を彷彿とさせてしまうことを知っていたからこそ、可能な限りオリジナルの世界観を死守したかったのだろう。
そんなヴィルヌーヴ監督、上述の事前対策のほか、製作現場ではインターネットから『スター・ウォーズ』のアイデアを借用することを禁止していたという。そして現在は、2023年に公開予定の『DUNE/デューン』続編のプリプロダクション(撮影前準備)が進行中だ。ちょうど今もヴィルヌーヴ監督は『スター・ウォーズ』対策の最中かもしれない。
Source: THR