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『デューン』年内公開めざして「全力疾走」 ─ コロナ禍でスケジュール混乱、監督が影響語る

ドゥニ・ヴィルヌーヴ
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/35397143143/

ティモシー・シャラメ主演、『ブレードランナー 2049』(2017)のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作『デューン(原題:Dune)』が、ついに完成に向けて動き出す。新型コロナウイルスの影響で業界が一時停止してから約半年、いよいよ再撮影の開始が迫っているのだ。もっとも、本作の米国公開予定日は2020年12月18日。厳しいタイムリミットの中、製作チームは「全力疾走」で突き進むという。

このたび、上海国際映画祭にオンラインで登場したヴィルヌーヴ監督は、コロナ禍が『デューン』の製作に与えた影響を語った。本作は2019年7月に本撮影を終えており、編集作業を経て、ブラッシュアップのために再撮影・追加撮影を実施する予定。これは当初から計画されていたものであり、監督は「(製作には)時間が必要だったし、以前は余裕があったんです。当時はパンデミックが起こるなんて思ってもいなかったから」振り返っている「今はスケジュールがメチャクチャになってしまいましたけどね」

既報によれば、『デューン』の再撮影は2020年8月中旬にハンガリー・ブダペストにて行われる。今回、ヴィルヌーヴ監督も「お許しが出たので数週間以内に撮影に戻ります。もっと早く撮るはずだったんですが」と報道を認めた。したがって今後の製作は、再撮影と編集作業、VFX作業が同時並行で進められることになる。想像を絶するハードスケジュールだが、監督は「予定通り完成させるための全力疾走です」と述べて意気込みを新たにした。

むろん『デューン』製作チームは、コロナ禍のさなかもリモートワークで作業を進めてきた。しかし監督にとって、その作業は必ずしも容易なものではなかったようだ。「VFXを監督するのはたやすかったんですが……」と口にしながら、監督は編集作業の難しさを明かしている。

「編集者(ジョー・ウォーカー)と一緒に、お互い離れた場所から編集するのは可能だと思っていたんです。しかし分かったのは、僕にとって編集とは、音楽を一緒に演奏するようなもので、同じ場所にいなければいけないということ。相互作用、人間同士のかかわり、自発性、エネルギーが必要なんです。[中略]ひとりのアーティストとして、自分の映画を別々の場所から編集するのはとてもつらいですね。」

ちなみに、ヴィルヌーヴは「編集者は精神科医でもあります。僕の不安やパニック、恐怖に対処してくれて、喜びを受け入れてくれるんです」とも語っている。その作業は、ただ映画を編集するというだけでなく、ヴィルヌーヴ本人の心理においても非常に大切なものなのだろう。なにせ「もしこういうことが再び起こるなら、編集者を絶対近くに置いておきますよ」とまで言わしめているのだ。「僕にとって、編集は映画づくりで一番大切なプロセスかもしれない。ある意味、映画を書き直すような時間ですから」

SF作家フランク・ハーバートの同名傑作小説を映画化する『デューン』は、ヴィルヌーヴ監督にとって「夢の企画」であり「目標」だったという。過酷な情勢下ではあるものの、できるだけじっくりと製作が継続されることを祈りたい。

映画『デューン(原題:Dune)』は2020年12月18日に米国公開予定

Sources: IndieWire, Collider, The Playlist, Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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