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【ネタバレ解説】『DUNE/デューン』映画に登場しなかった黒幕とは? ─ アトレイデス家を襲った陰謀を解剖

DUNE/デューン 砂の惑星
©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

この記事には、『DUNE/デューン 砂の惑星』のネタバレが含まれています。

 DUNE/デューン 砂の惑星
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『DUNE/デューン 砂の惑星』のヴィランとして観客の目に映った人物は、ステラン・スカルスガルド演じるウラディミール・ハルコンネン男爵だろう。これは紛れもない事実であり、デイヴ・バウティスタが演じたラッバーンを含めハルコンネン家は、先住民フレメンの中に身を置くこととなったポールとレディ・ジェシカ、そしてアトレイデス家をさらに追い詰めていくことになる。

劇中で描かれていた通り、ハルコンネン家の目的は、香料メランジの占有である。このメランジはアラキスに生息する巨大生物サンドワーム(シャイー=フルード)から産出されるスパイスで、抗老化を促進する効能を持つ、いわば実用的なダイヤモンドのようなもの。宇宙全体で最も価値があるものとされている。つまり、『DUNE/デューン』の物語はアトレイデス家とハルコンネン家によるメランジ争奪戦なのだ……と一言でまとめられたら良かったのだが、そうはいかない。この争いの裏には、最高権力をふりかざして宇宙を永遠に支配しようとする黒幕がいるのだ。それが、パート1では登場しなかった宇宙皇帝、シャッダム4世である。

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本編では、アトレイデス家を謀略にかけるために設けられた作戦会議のシーンが登場した。玉座に座するハルコンネン男爵と、教育機関ベネ・ゲセリットの教母ガイウス・ヘレン・モヒアム(シャーロット・ランプリング)が取引する一幕だ。アトレイデス家の知らぬ所で、強力な権力を持つ者同士が結託し、陰謀を働いていたわけだが、これもすべてはシャッダム4世の後ろ盾があって成立しているのものなのである。

では、なぜシャッダム4世はアトレイデス家に対して敵意を抱いているのか。その理由はいたって単純。映画ではオスカー・アイザックが演じたレト公爵の治世で急上昇したアトレイデス家の人気ぶりに、脅威を抱いたためである。しかし、宇宙皇帝として直接アトレイデス家を罠にかけることは不可能だから、アトレイデス家とは長いあいだ確執にあったハルコンネン家を利用したのだ。

ところで、陰謀の片棒を担ぎながらも、ポールとレディ・ジェシカを助けた教母ガイウス・ヘレン・モヒアムの立ち位置が気になった方も多いだろう。どちらかといえば悪役のように映った彼女は、味方でも敵でもない。クイザッツ・ハデラッハと呼ばれる“救世主”を誕生させる目的のためだけに行動する、言うなれば物語の中で最も無私無欲な人物なのだ。

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冒頭で記したように、ヴィルヌーヴ監督は小説に忠実なストーリーテリングを心がけているため、おそらくパート2では原作と同様のラストを迎えることなるだろう。そして、黒幕として挙げたシャッダム4世も姿を見せるはずだ。しかし、実際にポールが剣を交えることになるのは、シャッダム4世ではないということも明記しておかなければならない。実はもうひとり、パート1では登場しなかった悪党がいるのである。

その人物とは、デヴィッド・リンチ版ではミュージシャンのスティングが演じたことで知られるフェイド=ラウサだ。フェイド=ラウサはラッバーンの兄弟であり、ハルコンネン男爵の甥。一族の跡取りとして、ハルコンネン男爵が爵位を継がせようと考えている人物だ。パート1でも登場が最も期待されていたキャラクターの一人であったはずだが、姿を見せることはなかった。以前ヴィルヌーヴ監督は、英Total Filmに「物語を最大限にダイナミックな方法で伝えるにあたって決断しなければいけなかったことがある」「いくつか(のアイデア)をパート2に回さなければいけなかった」と語っていたため、フェイド=ラウサは選択的な判断でパート1には登場しなかったのだろう。

このフェイド=ラウサこそ、ポールにとって最後の試練となるため、パート2での登場と演じる俳優には注目が集まりそうだ。パート1はポールとジェシカがフレメンと共に群居洞(=シエチ)を目指していくところで締めくくられたが、ポールにとってはこのフレメンとの生活期間が重要なものとなってくるだろう。

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また、ヴィルヌーヴ監督は、本編では冒頭と終盤に登場したゼンデイヤ演じるチャニが「次章の主人公(protagonist)になる」と話していたが、その意味を含め、全ては原作小説に記されている。ここではあえて展開予想なるものは行わないので、ご自身の目で確認してみてほしい。

パート2情報もあわせて確認

Source: iL venerdi,Total Film(参照:cheatseat

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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