【ネタバレ】『デューン 砂の惑星 PART2』白黒シーンに込められた意図が深すぎる ─ あのタイミングでなければいけなかったワケ

この記事には、『デューン 砂の惑星 PART2』のネタバレが含まれています。

『デューン 砂の惑星 PART2』白黒演出の裏側、一度撮ったら「後戻りはできない」
『デューン 砂の惑星 PART2』では、宇宙皇帝シャダム4世(クリストファー・ウォーケン)と手を組みアトレイデス家を破滅に導いたハルコンネン家が猛威をふるっていた。砂の惑星アラキスの首都・アラキーンの占領にも成功し、アトレイデス家の生き残りであるポール(ティモシー・シャラメ)には勝ち目がないようにも思われた。
そんなハルコンネン家の猛勢に、かつての本拠地であったジエティ・プライムの民衆も歓喜に沸いていた。同地では、ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)の甥フェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)の生誕祭が大々的に開かれ、アトレイデス家の捕虜3人と戦わせる剣闘会が行われた。
本作のメインヴィランでもあるフェイド=ラウサの初登場シーンにもなった生誕祭のシークエンスになると画面は色を失い、モノクロで展開された。この演出は、フェイドの偵察に来ていたベネ・ゲセリットのレディ・マーゴット(レア・セドゥ)がフェイドを誘惑する場面まで続いたが、その後舞台が再びアラキスに戻ると、色は再び取り戻された。
思えば、画面が白黒となったのは舞台がジエティ・プライムの時のみ。まさにこの“ジエティ・プライム”こそ、ドゥニ・ヴィルヌーヴの目のつけどころだった。米Moviefoneにて、演出の意図を聞かれた監督は「あのアイデアは原作の本から思い浮かびました」と語り、以下のように続けた。
「小説版の素晴らしいところは、人類に対する生態系の影響を研究しているものだという点です。(『デューン』の)世界の人々は宗教や技術、生存の術、文化を生態系から作り出していきました。環境こそが創造主なのです。もしフレメンについて知りたいというのであれば、砂漠に行けば彼ら先住民のことがわかる。
すごく気に入ったアイデアだったんですが、原作では情報が少ないジエティ・プライムではこんなことを試したんです。あの世界は自然とは切り離されたプラスチックの世界。だから私は、彼らの精神を洞察する力を太陽の光が与えてくれないかな、と考えたんです。もしも太陽の光が色を与えるのではなく、色を殺して、とても気味の悪い白黒の世界を作り出していたら面白いだろうなって。そしたら、そこの人々が現実や政治システム、あのような未開の残虐文化をどう認識しているかについて情報を与えられると思いました。」
ヴィルヌーヴ監督による抽象的なアイデアを映像化する上で欠かせなかったのが、撮影監督のグレイグ・フレイザーの存在だ。監督とフレイザーは「まるで他の世界からやってきたエイリアンのような白黒」、「映画館で見たことがないような太陽光」を再現しようとしたという。そこでフレイザーが提案したのが、赤外線カメラで撮影すること。ヴィルヌーヴは「すごく気に入りました」と振り返る一方、大きなリスクもあったようだ。
「映画をそのように撮ることにしたのですが、唯一この方法で撮るともう後戻りはできませんでした。私は、“これだけは認識しておかなければ。これで撮るということは、後から色を加えることはできないということですよ”と(製作陣に)言いました。」
ヴィルヌーヴやフレイザーの決断を、プロデューサーのメアリー・ペアレントは「怖じ気付くことなく」受け入れたそうだ。「彼女はそのアイデアを100%支持してくれました」とヴィルヌーヴは振り返った。
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Source:Moviefone