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ドウェイン・ジョンソン、毎日4時間の特殊メイクでマーク・ケアーに完全変身 ─ A24伝記映画『The Smashing Machine』で新境地開拓「とても怖かった」

The Smashing Machine(原題)
(L - R) Emily Blunt, Dwayne Johnson / Credit: Ken Hirama

A24製作の伝記映画『The Smashing Machine(原題)』で新境地に挑んだドウェイン・ジョンソンが、伝説のレスラーであるマーク・ケアーを演じるため、毎日3~4時間におよぶ特殊メイクで“変身”していたことがわかった。米Vanity Fairにて語っている。

本作はMMA(総合格闘技)伝説の戦士、“スマッシング・マシン”ことマーク・ケアーの半生を描く。1990年代後半から2000年代前半に活動の絶頂期を迎え、日本では「霊長類ヒト科最強の男」と恐れられる活躍をみせたが、薬物依存に苦しみ、恋人との関係にも葛藤していた……。

リング上での圧倒的な強さと、肉体・精神がどんどん不安定になっていく脆さ。ドウェインはこの人物を「もっとも美しい矛盾」と呼ぶ。「穏やかで優しく、親切。しかし、かつては地球上で最も危険な男だった」と。この役柄を演じるため、特殊メイクで“ザ・ロック”のイメージを拭い去り、おなじみのせりふ回しも封印した。

「鏡の前に3~4時間座って、すべてが変わっていくのを見ていました。(メイクの)パーツは13~14種類あって、さりげないけれど、非常に効果的だったと思います。セットに着くころには、僕はマーク・ケアーになっていて、彼の歩き方や話し方、人生観までを感じることができました。」

恋人のドーン役は『ジャングル・クルーズ』(2021)で共演したエミリー・ブラント。従来のドウェインが、「すべての答えを持ち、すべてを解決できる無敵のヒーローというイメージに押し込められてきた」と指摘し、「彼自身、自分に求められているのはそれだけだと思っていたのかも」と語る。

しかし、エミリーは撮影初日からドウェインが「別の次元にいた」ことを明かしている。「(ドウェイン本人が)完全に消え去ったような、不気味な没入感でした。彼が自分のイメージや、ザ・ロックであることの義務を手放し、この役柄のために自分自身を壊していることが本当にすばらしかった」。

The Smashing Machine(原題)

もともと、この企画を監督のベニー・サフディに持ち込んだのはドウェインだった。サフディ兄弟として手がけた『アンカット・ダイヤモンド』(2019)を観たドウェインがマーク・カーの伝記企画を兄弟に持ち込んだが、コロナ禍ゆえに企画は埋もれ、兄弟も別の道を進むことになった。しかし数年後、ドウェインの熱意に打たれたベニーが企画を立ち上げ直したのだ。

「生々しくてリアルな作品、自分を切り開く機会を熱望していた」というドウェイン。しかし撮影前には、長らく感じたことのない恐怖があったという。「本当にできるのか、と思いました。こういうものを探求するのをあまりに恐れていたから、自分にはこのような機会が巡ってこなかったんだと気づいたんです」。

ドウェインは「親友」のエミリーがいたからこそ演じきることができたのだと語っている。また、監督のベニーは“ゲリラ撮影風”の演出を採用。格闘シーンではカメラをリングに上げず、口論シーンでもカメラや照明を完全に隠した。同じシーンを何度も撮り直すこともせず、とことんリアリティを追求したという。

「これまでの経験すべてに向き合う必要がありました。カメラの前でも、そうでなくても経験のないことでした」とドウェインはいう。

「僕はセラピーを受けるタイプではないけれど、必要なことは受け入れます。とても怖かったけれど、同時に大きな充実感と解放感がありました。[中略]ジョージ・ストレイトの“Where Have I Been All My Life?(私はいったいどこにいたのか?)”という曲を思い出しました。僕が恐れていたものは、実は最大の安らぎを与えてくれるものだった。長年の経験すべてを探求できる安全な場所が、僕にもあったということです。」

映画『The Smashing Machine(原題)』は2025年10月3日に米国公開。日本配給はハピネットファントム・スタジオ。

Source: Vanity Fair

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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