『アベンジャーズ/エンドゲーム』アカデミー賞冷遇にスカーレット・ヨハンソンが5年越し怒り「どうしてノミネートされないのか」

ハリウッドにおいて、スーパーヒーロー映画は現在でも賞レースでの冷遇を余儀なくされている。興行収入の歴代記録を更新し、コミック映画の最高峰と評された『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でさえ、アカデミー賞では視覚効果賞のノミネートにとどまった。このとき、賞に輝いたのは『1917 命をかけた伝令』(2019)だ。
映画賞レースが展開されているさなか、『マリッジ・ストーリー』(2019)のプロモーション中だったブラック・ウィドウ役のスカーレット・ヨハンソンは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の過小評価ぶりに苛立っていたという。米Vanity Fairでは、5年越しにその怒りを明らかにした。
「“どうしてこの映画がアカデミー賞(作品賞)にノミネートされなかったの?”と思いました。うまくいくはずのない、不可能な映画が、一本の作品として本当にうまくいった。しかも、(興行的に)史上もっとも成功した映画のひとつなんですよ。」
スーパーヒーロー映画のみならず、アカデミー賞では興行性の高いブロックバスター映画はあまり評価されない傾向にある。コミック原作の映画ならばなおさらだ。監督・プロデューサーとしても活動するヨハンソンにとって、興行性が評価に影響を与えることは受け入れがたいのだろう。
もちろん、ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ役を演じるなかで経験した出来事もその考え方には影響を与えているはずだ。のちに『アベンジャーズ/エンドゲーム』につながるシリーズ第1作『アベンジャーズ』(2012)の撮影当時、ヨハンソンは「私たち(出演者)の誰も、そのポテンシャルを理解していなかった」という。
「『アイアンマン』(2008)は大ヒットし、『アイアンマン2』(2010)も大成功を収めました。『マイティ・ソー』(2011)は、同じMCUでも『アイアンマン』とはまるでトーンが異なり、彼(ソー)はまったくの別世界から現れたよう。もちろん、キャプテン・アメリカには独自のアイデンティティがあり、そこにハルクとホークアイが加わって……大混乱のように感じていました。」
撮影現場では、スーパーヒーローのコスチュームに身を包んだキャスト一同が「自分たちは何をしているんだろう?」と感じたこともあったという。「成功するかどうかまったくわからなかった。ケヴィン・ファイギ(マーベル・スタジオ社長)と、ジョス・ウェドン(監督・脚本)はうまくいくと思っていたけれど、キャストは彼らを盲目的に信じるしかなかったんです」と振り返る。
その不安が払拭されたのが、いまやおなじみの、グランドセントラル駅前にアベンジャーズの全員が集まり、カメラが360度から全員を捉えるショットを撮影したときだった。「今でも覚えています。全員が“これは成功するかも”と思えるほどパワフルで、本当にかっこよかったから」。
すなわちヨハンソンらは、“うまくいかなさそう”なチームアップ映画が成功する瞬間を何度も体験し、また見てきたのだ。その集大成であり、世界中で絶賛された──そしてヨハンソンにとっては最後のチームアップとなった──『アベンジャーズ/エンドゲーム』の冷遇には、今でも言葉にせざるをえないほどの悔しさがあったにちがいない。
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