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『アベンジャーズ/エンドゲーム』新予告編を隅々まで読み解く ─ MCUの始まりと終わり、増え続ける謎について

アベンジャーズ/エンドゲーム
MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータイメージ

2019年3月14日、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の集大成となる映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の新予告編が公開された。突然の公開に全世界のファンが驚かされたが、それ以上の充実感をもたらしたのは映像の内容だった。

本記事では、新たな情報と謎がたっぷりと詰め込まれた約2分半の映像の内容をじっくりと分析していく。

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アントマン&ワスプ』のネタバレが含まれています。

「始まり」と「終わり」

今回の予告編は、“すべてのはじまり”となった『アイアンマン』(2008)の回想から始まる。そこに重なるトニー・スターク/アイアンマンの声は、以前公開された『エンドゲーム』映像と同じく、地球にいるペッパー・ポッツへとメッセージを送っているようだ。

「まるで大昔のことみたいだ、あの洞窟から抜け出して道を切り開き、アイアンマンになったことが。そして君を愛していることに気づいたことが。もうサプライズはないと言ったが、僕は、あれが最後になることを心から願っていた」。

続いて映し出されるのは、キャプテン・アメリカのオリジンが描かれた『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)。まだ痩せっぽちだったスティーブ・ロジャースは、顔のない兵士の姿に自分自身を重ねるのだった。そこに聞こえてくるのは、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)で、年老いたペギー・カーターがスティーブに語りかけた言葉だ。 

「世界は変わった、誰も元のようには戻れない。できるのはベストを尽くすことだけ。時には、やり直すためにベストを尽くすの。」

しかし、この言葉が示しているものは当時とは変わってしまった。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)でサノスは6種類のインフィニティ・ストーンを手中に収め、全宇宙の生命を半減させたのだ。自由の女神の足下には、大量の船が流れ着き、打ち棄てられている。傷ついたスティーブは目を伏せる。

『インフィニティ・ウォー』に登場しなかったクリント・バートン/ホークアイには、愛する妻と子どもたちがいる。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)でラフト刑務所を脱獄したクリントは、司法取引によって自宅に戻っていた。クリントはティーンエイジャーとなった娘(らしき少女)が弓を射るのを見つめ、笑顔でハイタッチをする。この少女は、コミックに登場する“二代目ホークアイ”ケイト・ビショップとなんらかの関係があるのだろうか。

ともあれ、現在のホークアイは日本の地で雨に濡れながら佇んでいた。ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウは、再会したクリントと手を握り合う。

一方のソーには、『マイティ・ソー』(2011)における父オーディンとの記憶がある。『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)で父と故郷アスガルドを、『インフィニティ・ウォー』ではアスガルドの民と弟ロキを失ったソーは、ワカンダにおいても人々が消えていくのを目の当たりにしたのだ。ファルコン、スカーレット・ウィッチ、バッキー・バーンズ……。「みんなが死んでいくのを、俺は見た」。

塵となったバッキーのいた場所にそっと手を触れるスティーブの姿に、彼自身の声が重なる。

「僕はみんなに、先へ進むべきだと言ってきた。そうする人たちもいる。だけど、僕たちは違う。」

スティーブの言葉を聞いているように見えるナターシャのヘアスタイルは、『インフィニティ・ウォー』のそれとは大きく違う。かつてのトレードマークであったブロンドのロングヘアが復活しているのだが、これは以前から噂されている「タイムトラベル説」を裏付けるものか、それとも……。

なお、未だにハルクとしての姿を見せないブルース・バナーは、今回の予告編では、この直後に一瞬映し出されるのみとなっている。ストーリーにおいて重要な役割を担っていることは明らかなだけに、すべては本編のお楽しみというわけだろう。

「やろう、すべてを賭けて」

『アントマン&ワスプ』(2018)で量子世界に閉じ込められたスコット・ラング/アントマンは、なんらかの方法で元の世界に戻ってくることができたようだ。しかし、そこに広がっていたのは人々が消えてしまった世界。捜索願を見つめるスコットの様子を見るに、妻や娘たちもいなくなってしまったのだろう。

なお米国メディアやファンの間では、この場面でスコットの右腕の動作に注目する声もある。スコットがなにかを持っている、あるいは引いて歩いているように見えるというのだ。それが正しいとすれば、もしや『アントマン&ワスプ』で小さくなっていたハンク・ピム博士のラボだろうか?

「たとえ小さなチャンスでも、やるべきなんだ。ここにいないみんなのために。」

ナターシャの言葉が聞こえるなか、東京タワーやレインボーブリッジを背景にクインジェットが飛ぶ。ブラック・ウィドウとホークアイが再び並んで立ち(ブラック・ウィドウはブロンドヘアである)、水しぶきをあげながらホークアイが狭い通路を走れば、その後ろでは爆発が起こる。ロケット・ラクーンは、ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシンとチームアップ。ウォーマシンのアーマーが新しくなっている背後には、きっとトニーの存在があるに違いない。

「やろう、すべてを賭けて。」

スティーブが宣言する。ホークアイとアントマンがアベンジャーズの基地に、ソーがストームブレイカーを手にして立っている。ネビュラが絶叫して何者かに立ち向かえば、クリントは久々に弓矢を構え、ナターシャは銃弾を的に打ち込む。キャプテン・アメリカは戦場で盾を締め直し、アントマンは炎の上がる中を飛んでいく。聞こえてくるのは、クリント、ナターシャ、トニーの「すべてを賭けて」という言葉だ。

夕陽の差し込むアベンジャーズ基地を、白と赤のスーツを身にまとったヒーローたちが歩いていく。スティーブを先頭に、トニー、ナターシャ、スコット、ネビュラ、クリント、ローディの7人だ。このスーツにどんな機能が秘められているのかは諸説あるが、真相は不明だ。

タイトルロゴのあとには、アベンジャーズ基地をキャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベルが訪れている様子が映し出される。ソーがキャロルを真横を通してストームブレイカーを引き寄せる様子を見ても、キャロルは動じずに目を細めるのみ。キャロルをじっと見つめ、ソーは「こいつ、いいな」と笑顔を見せるのだった。

予告編映像、加工されている可能性

ここで、前回の映像と今回の予告編で大きく異なるポイントを指摘しておかなければならない。夕方のアベンジャーズ基地をヒーローたちが歩いている場面について、前回の特別映像ではロケットの姿もあったが、歩いている人数は同じく7人だったのだ。映像を見比べると、それぞれの立ち位置が大きく異なっていることもわかる

すなわち前回と今回、どちらかの(あるいは両方の)映像には、すでになんらかの加工が施されているとみて間違いなさそうだ。『インフィニティ・ウォー』の予告編において、ワカンダをヒーローたちが走っている場面がまるごとフェイクだったことを鑑みれば、トニー&ネビュラが地球に戻っていることすら素直に受け止めていいのかわからない…!

前回の映像についてはこちら

いくつもの謎

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の新予告編では、これまでと同様、ストーリーのポイントはほとんど明かされていない。トニー・スタークがいかにして地球に戻るのか(そもそも本当に戻ってくるのか)、『インフィニティ・ウォー』でほとんど姿を見せなかったハルクはどうなるのか、ホークアイが東京にいる理由はなにか、そしてアベンジャーズに残されているらしい“逆襲の計画”とはなにか。敵役であるサノスがとうとう全く登場していないことも大きな謎だろう。

また、かねてよりファンの間で噂されているタイムトラベル説、新アーマーの機能、そして『アントマン&ワスプ』以降のキーワードとなっている「量子世界」についても新情報はなかった。さて、これらの要素はいかに編み合わせられることになるのか。そして、11年間にわたる物語の結末とは……。

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)全国ロードショー

『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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