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『E.T.』地上波放送、1991年に『極道の妻たち』に視聴率敗れていた ─ 豪雨で「チャンネル主導権」に影響?

E.T.と極妻の視聴率対決
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スティーブン・スピルバーグ監督の不朽の名作『E.T.』(1982)が、2020年10月2日に日本テレビ「金曜ロードショー」でオンエアされる。地上波放送はこれで5回目だ。

この度の放送は、視聴者の観たい映画を放送するリクエスト企画として選ばれたもの。16日予定の『プラダを着た悪魔』(2006)と共に決定していた。

実は1991年10月11日に『E.T.』が「金ロー」で地上波初放送となった際、異例の放送権料と共にオンエアされたにも関わらず、別の映画放送との視聴率対決に敗れていたという記録がある。読売新聞の「ヨミダスパーソナル」を使って当時の記事を調べると、『視聴率 E.T.が「極道の妻」に敗れる 空前の放送権料でTV初登場したが…』との見出しが見つかる。1991年10月17日の東京版夕刊だ。

この記事によると、1991年の日本テレビ『E.T.』地上波放送の視聴率は23.5%。裏番組でぶつかったフジテレビ『極道の妻(おんな)たち・最後の戦い』(1990)は、それを上回る25.9%だったということだ。

どうやら当時、日本テレビは『E.T.』地上波初放送権を「推定28億円」という高額で獲得していたようだから、負けられない戦いであったはず。ここで日本テレビの務台猛雄・広報局長(当時)の分析として残されているコメントが興味深い。この放送日が「悪天候」だったため、「サラリーマン層が早く帰宅し、子供たちにかわってチャンネルの主導権を握ったのが裏目に出た」というのだ。実際に、この放送日の天気記録を遡って調べると、東京では降水量96mmの大豪雨だったことがわかる。つまり、雨に濡れながら早めに帰宅したお父さんたちが、『E.T.』よりも『極妻』や他局番組を選んだのではないかということだ。

ちなみに、「ビデオへの録画率」は『E.T.』の方が高かったという。もしかすると、当時録画したVHSを繰り返し観たという記憶をお持ちの方も多いのでは。

一方、『極妻』を放送したフジテレビ側の村上光一編成局長(当時)は、「うちのがバリバリの新作で、若い層や女性たちに人気のある作品だったのに対し、(E・T・)は劇場公開から時がたち過ぎ、SFXの進歩などで多少色あせた部分もあったのでは」と分析している。

「チャンネル主導権」や「バリバリの〜」とのワードも懐かしいこの夕刊記事は、「レンタルビデオや衛星放送なども普及し、家庭での映画鑑賞の形態が多様化する中、テレビでの映画放送は一筋縄ではいかない時代に入ったようだ」と結んでいる。それからおよそ30年後の未来ではネット配信も主流になり、更に娯楽や働き方も多様化した。ところで、いくらSFXが進歩しても、『E.T.』の愛くるしい魅力が色あせることはないはずだ。

初放送から29年。果たして、2020年の『E.T.』はどれほどの視聴率になるのだろうか。少なくとも、放送日の天気予報は全国的に概ね晴れである。

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Source:『視聴率 E.T.が「極道の妻」に敗れる 空前の放送権料でTV初登場したが…』読売新聞 東京夕刊 1991年10月17日(ヨミダスパーソナルにて閲覧),goo天気

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THE RIVER編集部THE RIVER

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