アンソニー・ホプキンス&オリヴィア・コールマン共演、『ファーザー』日本公開決定 ─ 誰もが経験する老いの喪失と親子の愛を描く

アカデミー賞にも輝いたふたりの名優、アンソニー・ホプキンス&オリヴィア・コールマンが豪華共演を果たした映画『The Father(原題)』が邦題、『ファーザー』として2021年5月に日本公開されることが決定した。
本作は、世界30カ国以上で上演された傑作舞台の映画化。年齢と共に誰もが経験する喪失と親子の愛を、記憶や時間が混迷していく父の視点で描く、これまでにない作品だ。迷宮に足を踏み入れていくような戸惑いと、愛する家族が自身を忘れてしまう切なさ、人間味から滲み出るユーモアなど、様々な感情を重層的に呼び起こしながら、最後には観客を思わぬ感動の境地へと連れていく。誰にとっても他人事ではない、老いることへの不安や、関係性が変わっても逃れることの出来ない親子の愛情を描いた極上の感動作だ。
2020年12月31日に83歳を迎えた名優、アンソニー・ホプキンスが自身と同名、同年齢、同誕生日の認知症の父親を演じ、アカデミー賞主演男優賞も有力視される本作。監督が当て書きしたという役で、本人は「自分の父をそのまま演じた」と語るその演技は、サンダンス映画祭で初披露目されるや、「圧倒的実力で早くも2021年の賞レースに躍り出た。彼を凌駕する俳優はいないだろう」(The Guardian)「彼の代表作の1つとして歴史に残るだろう」(The Hollywood Reporter)なと喝采を浴びている。父を介護する娘を繊細に演じた、『女王陛下のお気に入り』(2017)などのオリヴィア・コールマンの演技も高く評価され彼女もまた、アカデミー賞助演女優賞が有力視されているのだ。
本記事時点で、アカデミー賞前哨戦となる賞レースでは、ボストン映画批評家協会賞とフロリダ映画批評家協会賞で、アンソニー・ホプキンスが主演男優賞を受賞している他、4つの受賞、41の候補に選出を果たしており、Rotten Tomatoesでは100%の満足度を記録している。ふたりの名優による圧倒的な演技と、これまでにない映画体験に心揺さぶられること間違いないだろう。
この物語を手掛けたのは、「 現代において最も心躍る劇作家」とも謳われる劇作家・小説家、フロリアン・ゼレール。原作である舞台は、フランスの演劇界最高位、モリエール賞で脚本賞を受賞し、パリ、ロンドン、ニューヨークなど世界30カ国以上で上演。日本では2019年に「Le Père 父」の題名で、橋爪功、若村麻由美出演で東京芸術劇場他にて上演され大きな話題に。今回の映画化にあたっては、フロリアン・ゼレール自身が長編初監督作として監督を担当し、『危険な関係』(1988)『つぐない』(2007)などアカデミー賞受賞歴を持つ脚本家、クリストファー・ハンプトンが共同脚本を務めた。
映画『ファーザー』、2021年5月よりTOHOシネマズ シャンテ他にて公開。