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「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ファルコンの物語、人種やアイデンティティがカギに ─ 『ブラックパンサー』の影響さらに発展

Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/48469219356/ Remixed by THE RIVER

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」の配信開始が近づいている。本作は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)以後を舞台に、ファルコン/サム・ウィルソンとウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズの新たな冒険を描くストーリー。すなわちMCUとしては『ブラックパンサー』(2018)以来の、黒人ヒーローに焦点を当てた作品となる。

脚本・製作総指揮のマルコム・スペルマンは、サムの人種やアイデンティティをめぐる問題が物語の鍵であることを米TV Lineにて明かした。そこには黒人ヒーローの葛藤や成長を描くことで、『ブラックパンサー』と同じく、若い黒人コミュニティにポジティブな影響をもたらしたいとの願いがある。

「黒人のスーパーヒーローが自分の甥っ子に直接的な影響を与えたことが、自分の中にすごく残っているんです。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は、ライアン・クーグラー(『ブラックパンサー』監督)やチャドウィック・ボーズマンが残してくれたものを良い形で発展させているはず。こういう黒人のアイコン的存在は、黒人の子どもたちだけでなく、白人の子どもたちが学ぶためにも必要だと僕は信じています。僕たちは大きく、勇敢な存在なのだということを。」

「Empire 成功の代償」(2015-)の脚本・製作、「真相 ~Truth Be Told~」(2019-)の製作などマルチに活躍するマルコムだが、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」はキャリア初といっていい大作シリーズだ。脚本家として活動を始めてから約15年間、マルコムは仕事に恵まれない日々を味わったという。「黒人の主人公はダメだ、海外に売れない、とずっと言われていました」。しかし、ようやく時代は変わりつつある。

黒人の物語のサイズに限界はない、という信念を何よりも大事にしてきました。黒人たちの物語は、誰の物語とも肩を並べられるほど大きい。そのことを『Empire 成功の代償』や『ブラックパンサー』で学びましたし、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』ではお見せするつもりです。もはや議論の余地はありません。15年間、黒人には小さくてニッチな仕事しかできないと聞かされてきましたが、今では黒人のフィルムメーカーが黒人のまま、あらゆる局面にアピールできるプロジェクトに関わっている。心から励まされていますし、この道を選んで良かったと思います。」

ちなみにコミックの大ファンだというマルコムには、あわや「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」への就任を逃すところだったというエピソードもある。懸命な努力を経て、マーベル・スタジオに脚本のアイデアを提案する機会を得たマルコムだったが、慢性的な偏頭痛に悩まされ、提出したシナリオの出来はいまひとつ。ケヴィン・ファイギ社長との面会もうまくいかなかったという。しかし、『ブラックパンサー』のプロデューサーであるネイト・ムーアがマルコムのアイデアを認識しており、こっそりと推薦したことが実を結んだのだ。

「彼(ネイト)は僕のやりたいことを知ってくれていたんです。僕は人種の問題を物語にしっかりと組み込みたくて、彼もそれが正しいと考えてくれたのだと思います。」

ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」2021年3月19日(金)日米同時配信。

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Source: TV Line

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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