【ネタバレ考察】『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』にカメオ登場の『ハリー・ポッター』キャラ、時代設定が合わない理由を考証

Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights ©J.K.R.
大ヒット公開中の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018)に、とある『ハリー・ポッター』シリーズのキャラクターがサプライズ出演した。しかし、本作に登場したことによって、これまで明かされていたキャラクター設定との大きな矛盾が発生。J.K.ローリングによるミスなのではないかとファンの間で大混乱を巻き起こしている。
本記事では、この矛盾について多方面から分析していきたい。
この記事には、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のネタバレ内容が含まれています。

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』にカメオ登場した『ハリポタ』シリーズのキャラクター”とは、ミネルバ・マクゴナガル先生。『ハリ・ポッター』シリーズでは、ホグワーツ魔法魔術学校の副校長としてハリーたちを見守った、ファン人気の高いキャラクターである。
She’s tough, resilient, witty and wise … Join us in championing Minerva McGonagall on #InternationalWomensDay: https://t.co/dQxGYWbCGY pic.twitter.com/WI9cFriS0U
— Pottermore (@pottermore) 2017年3月8日
『ファンタビ』シリーズ2作目『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』では、魔法法執行部部長トラバース突然の訪問を受けたダンブルドアが生徒を任せる人物として、マクゴナガルと呼ばれる女性教師がスクリーン上に登場。また、リタ・レストレンジとニュート・スキャマンダーが登場する学生時代の回想シーンでも姿を見せていた。
そんな人気キャラクターに発生している矛盾とは、生年月日の問題。『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の時代には、『ハリポタ』で知られるマクゴナガル先生はまだ生まれていないはずなのである。
マクゴナガル先生の誕生日
ここで、マクゴナガル先生の生年月日が明らかになった経緯について整理しよう。
J.K.ローリングが開設した公式ウェブサイトPottermoreには、マクゴナガル先生の誕生日は“10月4日”とのみ記されており、何年生まれかは明かされていない。しかし、『ハリー・ポッター』シリーズ5作目『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』でのマクゴナガル先生の発言から、誕生年を導き出すことは可能だ。
同著書では、その年の12月で39年間ホグワーツ魔法魔術学校で教授を務めたことになる、とマクゴナガル先生がアンブリッジ先生に語るシーンがある。1991年に入学したハリーが『不死鳥の騎士団』では5年生であることから、マクゴナガル先生がその発言をしたのは1995年。ここから、マクゴナガル先生がホグワーツ魔法魔術学校で勤め始めたのは1956年12月ということが分かる。
またPottermoreには、ホグワーツ卒業後、教授として戻るまで魔法省に2年間務めていたと記されている。そのため、マクゴナガル先生がホグワーツの生徒となったのは1947年であり、ホグワーツへは通常11歳で入学することから、1935年10月4日生まれだろうと結論付けることができる。
しかし、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の舞台設定は1927年。つまり、マクゴナガル先生が生まれる8年前を舞台にしているのである。なぜマクゴナガル先生が本作に登場できたのか、ファンは大混乱だ。
逆転時計説
この時系列における矛盾を解決するために、マクゴナガル先生が逆転時計(タイムターナー)を使用したのではないかとの説が存在する。
逆転時計は『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で登場した魔法道具。その名の通り、使用者を過去に戻すことができるものだ。ハーマイオニーが全科目履修の為に使用していたものだったが、物語後半ではバックビークやシリウス救出のために重要な役割を果たした。
この逆転時計をハーマイオニーに渡したのが、マクゴナガル先生だったのである。ハーマイオニーのために魔法省と交渉を重ね苦労の末に借りられたそうだが、以前も逆転時計を使っていた縁があったから入手できたと考えても不思議ではない。
だが一つ留意せねばならないのは、逆転時計が非常にリスクの高い魔法道具であるということである。Pottermoreによると、利用者や”時間”そのものに深刻なダメージを与えないのは、約5時間以内のタイムトラベルのみ。それ以上になると、利用者が一気に歳をとってしまったり、生まれるはずの人物がこの世からいなくなってしまうなどの被害が発生するのだ。なぜ、マクゴナガル先生は大きな危険を冒して自分が生まれる8年も前に現れなければならなかったのか。(それも劇中のマクゴナガル先生は、わざわざ逆転時計を使用したにしては、ずいぶん日常的な仕事をしていた。)そう考えると、この説は少し難しいかもしれない。
In celebration of Professor McGonagall’s birthday, share some of your favourite quotes by her http://t.co/q9JvoidHt7 pic.twitter.com/IHu7Fp5U2q
— Pottermore (@pottermore) 2015年10月4日
本当に”あの”マクゴナガル先生?
このように逆転時計使用説には疑問が残ることから、ファンの中には『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』に登場したマクゴナガルという名の人物が、本当にあの『ハリポタ』シリーズのマクゴナガル先生と同一人物なのだろうかと疑う声も。それでは、本作に登場した若いマクゴナガル先生の正体について考察していこう。
なお本セクションでは、『ハリポタ』シリーズに登場したミネルバ・マクゴナガルを「マクゴナガル先生」、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』に登場したマクゴナガルを「若いマクゴナガル」と表記していく。
「若いマクゴナガル」の名前
まず、若いマクゴナガルについて。同キャラクターは、劇中で苗字でしか呼ばれないため、マクゴナガル先生と同性の別人なのではと考える声も多い。
だが、本作の脚本を書籍にしたJ.K.ローリング著の『Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald – The Original Screenplay』では、同キャラクターを”Young Minerva Mcgonagall”(若いミネルバ・マクゴナガル)と明記しているのだ。そのため、若いマクゴナガルの名前もマクゴナガル先生と同じく、ミネルバ・マクゴナガルという氏名を持っていることになる。
マクゴナガル先生の親戚説
次に有力説として浮上しているのが、若いマクゴナガルはマクゴナガル先生の親戚という説である。しかし、こちらも可能性としてはかなり低いと言わざるを得ない。
Pottermoreによると、マクゴナガル先生は魔女イソベル・ロスとマグル(人間)の父ロバート・マクゴナガルの間に生まれた長女。マクゴナガル先生の名前ミネルバは、イソベルの母、つまりマクゴナガル先生の祖母の名前を取ったものである。そのため、若いマクゴナガルはその祖母なのではないかと推測する人も多いが、イソベルの旧姓はロスであるため、祖母の氏名はミネルバ・マクゴナガルではなくミネルバ・ロスであると思われる。
一方、マクゴナガルの姓を持つロバートの家系はマグルである上、ロバートは魔法世界について全く知らず育ってきたので、父方に魔女がいたことは考えにくい。
やっぱり本物のマクゴナガル先生?
以上の点を踏まえて考えると、若いマクゴナガルがマクゴナガル先生と同一人物である確率はかなり高いと思われる。もちろん、若いマクゴナガルが全くの別人であるという説は捨てきれないが、その名をあえて同姓同名のミネルバ・マクゴナガルにして、ファンの混乱を招くような真似をするかについては、かなり疑問が残るだろう。
真相を知るのはJ.K.ローリングのみ
以上、これまでの有力説を考察してみたが、どの説もイマイチしっくりこないのが現状である。
J.K.ローリングのミスではないかとする声も多く挙がっているが、綿密に計画された物語を構成することで知られるJ.K.ローリングが、このような初歩的なミスをしたとは考えにくい。そのため、J.K.ローリングがマクゴナガル先生の出自について単純に変更を加えた、あるいは、マクゴナガル先生についてまだ明かされていない事実があり、ファンが導き出していた誕生月が違った可能性も無きにしも非ずだ。いずれにせよ、ファンが納得する答えが、J・K・ローリングの手によっていち早く明かされることを願いたい。
映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』は2018年11月23日(金・祝)より公開中。
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/
Sources: Pottermore (1, 2, 3), Cosmopolitan, Time, Amazon