マーベル映画「予習必須にはしたくないが、予習を楽しむファンも多い」とケヴィン・ファイギ ─ コアファンと新規ファン、両取りを目指す

すっかり長寿シリーズとなったばかりでなく、作品と作品が絡み合い、そこにドラマシリーズも登場することとなったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。熱心なファンは作品の考察なども楽しんでドップリと浸かっているが、一方でカジュアルなファンも存在するわけで、当然ながら新規ファンも獲得していかなくてはならない。
熱心なオタクファンと新規層、この二つのセグメントにアプローチするには、それぞれ違った方法論が存在しそうなものだ。マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギは、そのバランスをどのように取ろうとしているのだろうか?米Entertainment Weeklyでファイギは、「(MCUの)始まりの時点から、我々は自分たちの方法論を確立させようと試みてきました」と極意を語っている。
「(コミック)出版の方のマーベルにもメソッドがあったわけですが、マーベル・スタジオ・メソッドというものがあるのなら、それは“両方やろう”ということです。
私はこの話を何年もしていますが、金曜の夜に映画館に行ったり、行かなかったり、ストリーミングシリーズを見たり、見なかったり、そういうことがあってもいい。そこで、もしもシリーズを追いかけたいということになったら、たくさん展開されているので色々な発見がありますよと。」
既に大々的なユニバース展開が行われているので、いわば“ハマれる沼はたっぷりありますよ”という状態だ。だからと言って、「“一見さんお断り”みたいには見られたくないし、鑑賞前に予習が必要なものにはしたくありません」とファイギは話している。
「一方で、予習を好んでやる方もたくさんいるんだと気づきました。多くの方が予習や継続性、接続性に楽しみを見出しています。とはいえ、常に(熱心なファン向けと初心者向けの)両方のバランスを取ろうとしています。」
ファイギいわく、ディズニープラス配信のドラマ「シー・ハルク:ザ・アトーニー」は「“法廷コメディをやってみよう”という実験」だった。「もしもアリー・マクビール(『アリー my Love』の主人公)がスーパーヒーローだったら?超高額なCGキャラクターを各エピソードの中心に据えて、法廷シットコムをどうやるのか?」と基本的なコンセプトを紹介すると、「他の多くの企画とは全然違うトーンでしたが、あれは完全に意図的なものでした」と明かしている。

マーベル・スタジオ作品はそれぞれで異なる作風を尊重している。例に挙がった「シー・ハルク」と、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)が同じシリーズの作品だとはちょっと信じがたいほどだ。
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