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【ネタバレ無しレビュー】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は『エンドゲーム』飛び越える面白さ ─ 3つの主題、鮮やかにまとめ上げる

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)第23作で、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)のその後を描く『スパイダーマン』映画最新作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が2019年6月28日より世界最速公開となる。

シリーズ前作『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)から引き続きジョン・ワッツ監督がユーモアたっぷりに描いた本作には、方向性の全く異なる、それぞれが極めて重大な3つの主題が任されている。この記事では、『ファー・フロム・ホーム』が3つの主題をいかに描き上げたのか、ネタバレなしでレビューする。


この記事には、『アベンジャーズ/エンドゲーム』までのネタバレが含まれています。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に関しては、事前に公式解禁されている情報や予告編映像の内容のほかにネタバレはございません。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に求められた3要素

まず1つは、歴史的大作となった『アベンジャーズ/エンドゲーム』の「その後」を描くということ。偉大なスーパー・ヒーローが神々しい戦いを繰り広げた巨大絵巻から一変、最近まで(そして今もある程度は)見習いヒーローだったスパイダーマンたった1人の映画にその後片付けをさせるとは、通常ならばあまりにも無謀である。

2つめは、「マルチバース」の概念を初めて導入するというゲームチェンジャーの役割を担う点。世界は、『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』の出来事、つまりサノスの「指パッチン」によって、平行世界との接点が生じてしまった。『ファー・フロム・ホーム』で新たに登場する脅威”エレメンタルズ”とは、別の地球のブラックホールで生まれたクリーチャーで、新ヒーローのミステリオが彼らを追ってこの世界に現れる。

「マルチバース」によって、MCUは「別世界からやって来た」を合言葉に、どんなヒーローでも登場させられることになる。一方で、見境なく取り扱っては世界観を崩壊させてしまう恐れもあり、ストーリーテリング上は諸刃の剣だ。『ファー・フロム・ホーム』がどのようにしてこの画期的概念に触れるのかも”大いなる責任”がつきまとう。




そして3つめ。何より忘れてはならないのは、これが『スパイダーマン』の単独映画であるということだ。大きな喪失を経て、スパイダーマン/ピーター・パーカーの成長劇もしっかり描かなくてはならない。

前作『ホームカミング』でピーター・パーカーは、自分がまだ未熟であるという致命的事実に気付かぬまま、己の実力を証明するチャンスを伺ってウズウズしていた。師匠トニー・スタークからはヒーローとしての責任を教わり、ヴィランだったバルチャーからは大人の恐ろしさを、そしてヒーローとしての覚悟を知るきっかけを与えられた。

様々な出来事を経て、本作のピーターはスーパーヒーローとして求められる理想像と現実の自分とのギャップに疲れ果てている。そんな心中とは裏腹に、世界には新たな脅威が迫り、ピーターにはヒーローとして大きなステップアップが求められることになる。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
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これらの複雑な主題に対処しながら1本の夏休み映画として爽快に仕上げるなど、並大抵の作品ならば重責に押し潰され、まともに立つことすらできないだろう。ところが『ファー・フロム・ホーム』は堂々と描ききり、それどころか軽やかにスイングまで見せてくれたかのようだ。一体、どのように?

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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