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MCU参戦のハリソン・フォード、「時代の変化に参加しないのは愚かだ」 ─ 「過去の素晴らしさを話しても仕方ない、今をより良くするしかない」

キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド
(C) 2024 MARVEL.

説明不要のトップスター、ハリソン・フォードが、映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に参戦する。演じるのはサディアス・ロス/レッドハルク役で、全身モーションキャプチャーの演技にも挑戦した。

マルチバース・サーガの“アース616”や、“アンカー”という概念には「なんのことかさっぱり」と困惑したフォードだが、プロジェクトには手応えと喜びを感じている模様。米GQでは、MCUの設定について「マーベル・ユニバースには週末パスで来ただけで、まだ新米の船乗りなんだ。帰り道を教えてほしい」と話しつつ、変わりゆく業界に対応することの重要性を語った。

「僕は、自分たちが80~90年代に作ったような映画とは異なる映画の魅力も理解しています。一般的なことは何も言えないけれど、それが我々の置かれた状況であり、物事は変化し、変容しながら続いていくもの。その変化を残念がり、参加しないのは愚かなことです。少なくとも僕は、優れた体験を観客に与えている、この業界の新しい部分に参加し、そのことを楽しんでいます。」

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作品を選ぶ基準は、脚本のクオリティか、ともに仕事をするチームの顔ぶれだという。「ジャンルは関係ないし、テレビか映画かも関係ない。脚本やストーリー、キャラクター、そして観客や自分自身の感情的な体験を大切にしています」。

事実、フォードはMCUへの参戦だけでなく、『ペット2』(2019)では初の声優業にチャレンジし、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)では“デジタル若返り”を体験、「1923」(2022-)や「シュリンキング:悩めるセラピスト」(2023-)ではテレビシリーズに進出、かつ配信プラットフォームとの協働に取り組んだ。「じっとしているべきかとも思うけれど、仕事が大好きだから」というように、芸歴60年の大ベテランとは思えないほど、その活動はつねに意欲的だ。

キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』© 2024 MARVEL.

もっとも、かつて自身が主演した『推定無罪』(1990)のような法廷スリラーやサスペンスは──同作がドラマシリーズとしてリメイクされたことからも明らかなように──長編映画の世界から姿を消した。こうした業界の変化は「残念だ」といい、90年代と現在の違いをこう語っている。

「(90年代は)私たちの文化においても、映画ビジネスにおいても、まるで時代が違いました。明らかな時代精神があり、それを映画が捉えていた。映画と文化は、双方が密接につながりあっていたんです。[中略]今は人類史でも特に奇妙な時代だと思います。これを乗り越え、人々が一方的に話すのではなく、お互いに話し合えるようになることを願っています。国際問題や政治問題、また現在のとんでもない混乱の中で、道を切り開いていけることを。過去の素晴らしさについて話していても仕方がなくて、今をより良くしていくことしかないんです。」

このように話すフォードは、“現代は映画スターがいなくなった、もう映画スターが生まれることはないのかもしれない”という言説も「くだらない」と一蹴する。「映画スターがいるかいないかは問題じゃない。素晴らしい俳優たちは日々現れているし、彼らが映画スターになることが重要というわけではないんです。映画がスターを必要とするなら、きっとスターは出てくるでしょう」と。

そして、ときに“最後の映画スター”と形容される自分自身についてはこう言い切った。「僕には映画スターとはなにかがさっぱりわからない。僕は俳優で、物語を語っていて、そのために協力するチームの一員です。ストーリーテラーのアシスタント、それが僕なんですよ」

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は2025年2月14日(金)日米同時公開。

Source: GQ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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