【ネタバレ】『フリー・ガイ』オドロキの裏側が明らかに

この記事には、『フリー・ガイ』の重大なネタバレが含まれています。必ず本編をご覧になってからお読みください。また、まだ鑑賞されていない方へは、この内容は内緒にしておいてください。
まさかまさかのMCUネタ
『フリー・ガイ』最大のサプライズとなったのは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)からの特別ゲストのカメオ出演だ。ゲーム世界が舞台の『フリー・ガイ』では、劇中に登場するプレイヤー(チャニング・テイタムが演じたリベンジャミン・ボタンを操作してた少年)の部屋の壁に『アベンジャーズ』と『デッドプール』のポスターが貼られていたり、サノスの“指パッチン”が言及されたりと、MCUに関する小ネタが散りばめられていた。
しかし、度肝を抜かれるサプライズが登場するのは劇中クライマックス、ガイVSデュードの対決シーンだ。「決め台詞!」と叫ぶデュードの圧倒的なパワーに追い込まれたガイが取り出したアイテムは、なんとキャプテン・アメリカの盾。それも、『アベンジャーズ』のテーマ曲まで流れるというサービスっぷりだが、お楽しみはこれで終わらない。どこかのレストランでこのライブ配信を見ていたクリス・エヴァンス本人が、「僕の盾?」と驚くのである。エヴァンスはMCUでのキャプテン・アメリカ役を卒業しているので、ファンにとっては感涙モノ、劇場でもどよめきが起こるところだ。さらにその後は、『スター・ウォーズ』のテーマと共にライトセーバーまで登場する。
クリス・エヴァンスの“ご本人登場”ネタ、いったいどうやって実現したのだろう。監督のショーン・レヴィ、そしてエヴァンスとはプライベートでも友人のライアン・レイノルズが、それぞれの視点から経緯を語っている。
『フリー・ガイ』は20世紀スタジオの作品で、『アベンジャーズ』のマーベル・スタジオも、『スター・ウォーズ』のルーカスフィルムも、今ではみなディズニーの傘下。レヴィ監督は、「このアイデアは、ディズニーがフォックスを買収したときに思いついたもので、ライアンと私とで“どうすればこれをメリットとして活かせるか?”と話していました」と米Colliderに語っている。
「そこで、マーベルやルーカスフィルムのネタを映画に取り入れてみてはどうかということになって、ボブ・アイガー(ディズニー会長)やケヴィン・ファイギ(マーベル・スタジオ社長)、キャスリーン・ケネディ(ルーカスフィルム社長)に手紙を書いたんです。
その内容は、“お世話になっております。よろしければ、キャップのシールドやハルクの拳、ライトセーバーを使用させていただきたく、ご検討願えないでしょうか。何卒よろしくお願い申し上げます。ライアン・レイノルズ、ショーン・レヴィ”みたいな感じでした」
「そしたらビックリですよ」と監督は続けている。「なんと返事が戻ってきて、しかもイエスって。“どれが使用できますか?”って確認したら、“全部いいですよ”って」。
マーベルやルーカスフィルムのネタが使えるというだけで彼らにとっては万々歳だったが、ライアン・レイノルズはさらにある事に気付いた。『フリー・ガイ』の主要撮影が行われていたのはイギリスのボストンだが、ちょうどその頃、クリス・エヴァンスも主演ドラマ「ジェイコブを守るため」のためボストンに滞在していたのだ。
「それで彼がクリスに電話をかけて、“カメラの準備をして待ってるから、ほんの10分だけでもいいから、ジョーク代のために来てくれない?”と聞いたんです。そしたらクリスも“いいよ”って。
そうやって実現したんです。彼、ホントに来てくれたんです。我々はあのジョークを撮るために、レストランでカメラを構えて待っていたんですよ。」
一方、ライアン・レイノルズもこの裏舞台を米Comicbook.comにて解説している。レイノルズは、ハリウッドの業界には酷いやつもいるとしながらも、「そこには本物のコミュニティがあって、素晴らしい人たちもたくさんいるんです」と語り、クリス・エヴァンスに声をかけたときのことを、「たまたまクリスがボストンにいたもんで」と振り返る。話によれば、エヴァンスは「5分でいけるよ」といった具合で、突然のオファーに応えてくれたそうだ。さすがキャプテン、何というフットワークの軽さ!それも、レイノルズのことを相当に信頼していたようである。
「彼はどういう撮影なのかも確認しませんでした。ぶっちゃけ、“君の人生で最高に生々しいヌードシーンをやるんだよ”とか言っちゃうこともできたわけですが、でも彼は何も聞かずに現場にやってきたんです。ホントに来てくれたんです。撮影は5分もかからずに済ませたのですが、その間も彼はなんにも要求しませんでした。ただただゲーム愛のためにやってくれたんです。クリスとはもう10年くらいの付き合いですが、最高でしたね。」
ディズニーによる企業買収をメリットとして活かせないかと考えたレヴィ監督とレイノルズの機転、レイノルズ&エヴァンスの友情、そしてエヴァンスが持ち合わせた偶然とフットワークの軽さによって実現した、嬉しいサプライズ。まったくこの映画には、予想“ガイ”の演出があふれていたようだ。
映画『フリー・ガイ』は大ヒット公開中。
Source:Collider,Comicbook.com