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『フォードvsフェラーリ』憎まれ副社長レオ・ビーブ、実際はとても良い人だった ─ 結末には何と言ったのか

フォードvsフェラーリ
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

危険なル・マン24時間耐久レースを舞台に、絶対王者フェラーリに挑む男たちの奇跡の挑戦を、ロマンたっぷりに描きあげた映画フォードvsフェラーリが公開中だ。

大迫力のカーレースも見どころだが、レースにかける男たちの熱いドラマも見逃せない。マット・デイモンが演じる熱血カー・デザイナーのキャロル・シェルビーと、クリスチャン・ベイルが演じる破天荒な天才レーサー、ケン・マイルズは、過酷なレースに命をかけ、日夜現場で汗を流す。一方、フォード社副社長のレオ・ビーブは、彼らの所思などよそに、ご都合主義のビジネス思想で事を進める。『フォードvsフェラーリ』には、「現場vs本社」の大人の戦いもあるのだ。

レオ・ビーブは、決死のレース中でさえ無理難題を押し付け、劇中では「スーツ組」と揶揄される憎まれ役。ところが、実際のビーブは尊敬に値する素晴らしい人物だったとの証言がいくつもある。「このビジネスの世界でたくさんの人とやり取りしてきましたけど、レオ・ビーブほど尊敬できる人はいないですよ」と彼の名誉を挽回するのは、電力会社でビーブと取締役を共にした経歴を持つエド・クラース氏だ。「彼はタフで、それでいて本当に良い人なんです。」この電力会社は、倒産の危機にあったところ、ビーブの就任によって復活を遂げている。

無神経な副社長、実際は素晴らしい人だった

『フォードvsフェラーリ』では、人の気持ちなどおよそ分かっていないような無神経なキャラクターだったビーブだが、エド氏によれば実際のところはそうでもなかったらしい。「私は彼のことを“人間エンジニア”って呼んでますよ」と言うのだ。「彼は、人の良い面の引き出し方、鼓舞の仕方を理解している人です。

『フォードvsフェラーリ』で描かれたル・マン24時間レースは1966年のこと。これ以前の1950年代後半には、ビーブはフォード社を通じて米政府による難民保護プログラムも統括。この働きによって何万人もの難民が住居を得ることができたという。1972年にフォード社を退職し、大学で非常勤講師を務めた後は、ビジネス・スクールの創立に尽力、その学部長に就任した。

元アメフト選手で、引退後にビジネスを起こしたロン・ジャウォースキー氏は、ここでのビーブのセミナーに胸打たれたという。「多くを学びました。レオが言っていたこと、今も心に留めています。“やりたいことを公言しなさい”というものです。単純に聞こえますけど、すごいアドバイスですよ。」ジャウォースキー氏は現在、ゴルフコースやテニスクラブなどを運営する企業を経営。「レオ・ビーブについて1,000人に聞いたら、1,000通りのポジティブな意見が返ってくる」と今も敬意を示している。

ビーブのビジネス・スクールの元生徒であり、その後は記者としてビーブの記事も書いているフランク・コムストック氏も、劇中での描かれ方に懐疑的だ。「私はレオのことをよく知っています。何度もお話して、インタビューもさせてもらいました。(劇中で描かれた)あんなことをする人だとはとても信じられません。資料も確認しましたが、ああいった事実は言及されていないんです。」

この続きには、『フォードvsフェラーリ』のネタバレが含まれています。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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