『ワイルド・スピード』脚本家、製作側は「完結を考えていない」と持論 ─ 大手スタジオの拝金主義を批判か

全11作での完結が伝えられている『ワイルド・スピード』シリーズの将来について、第1作『ワイルド・スピード』(2001)で脚本を務めたゲイリー・スコット・トンプソンが持論を語っている。いわく、制作の米ユニバーサル・ピクチャーズは、「完結させることを考えていない」という。
トンプソンは、1987年に脚本家デビューを飾ったが、キャリアを押し上げた作品こそ、2001年の『ワイルド・スピード』だ。同作の脚本執筆には、『スーサイド・スクワッド』(2016)のデヴィッド・エアーも携わっているが、トンプソンは原案も手がけた、いわば『ワイスピ』生みの親である。
もっとも、スコットが『ワイスピ』に携わったのは第1作のみ。以降、最新作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2021)までは、“キャラクター原案”としてクレジットされている。そんなトンプソンは、完結が発表されているはずの『ワイスピ』が完結しないと考えているようだ。「『ワイスピ』の完結にあなたはどんな結末を想像しましたか?」という米MovieWebからの質問に、トンプソンは以下のように答えている。
「彼ら(ユニバーサル)は、僕が考えていた終わり方とは別のものを見ているでしょう。そもそも、完結させることすら考えていないんじゃないでしょうか。お金を稼ぎすぎているから。前に、僕はユニバーサルの幹部からこんなことを言われましたよ。“私たちにとってのマーベル・ユニバースを生み出してくれてありがとう”って。
彼らはマーベルと競っているんですよ。最近、(大手)スタジオから出てくる作品って、マーベルとかディズニー、ワイスピ、DCコミックスくらいじゃないですか。こういう映画は、作るのに金はかかるけれど、その分稼げる。死ぬまで書き続けるんじゃないでしょうか。」
トンプソンの意見は、ハリウッドの大手スタジオの拝金主義を指摘したものとも捉えられる。これを強調させるかのごとく、『ワイルド・スピード』以降のトンプソンのフィルモグラフィーには、ハリウッドの大手スタジオ製作による作品はない。
懸念ともとれるトンプソンの“完結させることすら考えていない”という指摘は、部分的には的を得ている。2001年から始まった『ワイスピ』映画シリーズは全11作で完結するものの、これとは別にメインサーガからは独立した『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』の続編や、複数のスピンオフ作品が企画されているのだ。
フランチャイズを完結させることが最善の道であるとは限らない。しかし、自分のビジョン通りの結末ではないどころか、それすらを越えて金儲けのために拡大され続けることに、ストーリーを生み出した本人が抱く気持ちは想像に難くない。
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Source:MovieWeb