『ゴーストバスターズ』徹底解説 ─ あらすじ、小ネタからキャスト情報まで完全ガイド

おじさん4人が突如としてニューヨークの街に現れたゴーストたちを全力で退治していく痛快超常現象コメディ『ゴーストバスターズ』。今やレジェンドとなったビル・マーレイやダン・エイクロイドらコメディ俳優たちを主演に迎え、ファッションや音楽、ガジェットに至るまで多岐にわたるジャンルに影響を与えた、80年代ポップカルチャーを代表する映画だ。
本日2022年2月4日からは、シリーズ33年ぶりの正統なる続編『ゴーストバスターズ/アフターライフ』が公開。次世代の若手キャストが現代に『ゴーストバスターズ』旋風を蘇らせる。
本記事では、新作に向けた復習も兼ねて、第1作『ゴーストバスターズ』を徹底解説。あらすじから主要キャスト、小ネタ、吹き替え声優まで、必要最低限の情報をぎゅぎゅっと詰め込んだ。往年のファンの方々は、当時の熱狂にタイムスリップしてみては。
『ゴーストバスターズ』予告編
『ゴーストバスターズ』あらすじ
米ニューヨーク・コロンビア大学で、霊体・超常現象を専門とした研究職に就いていた3人の博士、ピーター・ベンクマン(ビル・マーレイ)、レイモンド・スタンツ(ダン・エイクロイド)、イゴン・スペングラー(ハロルド・レイミス)。ある日、3人は大学の図書館でゴーストの発見に成功する。胸を弾ませながら研究に熱を注こうとした矢先、理事会からそれまでの研究の実用性を疑われ、資金を打ち切られてしまう。大学を自ら“追放”されにいった3人は、銀行からの融資に頼り、ゴースト退治を専門とする業者「ゴーストバスターズ」を設立。オフィスを構え、秘書を雇い、新たなスタートを切るのだった。
開業するや、会社の成長をグンと後押しするかのように街では次々とゴーストが出現。ゴーストたちを一網打尽にかかる3人はマスコミからも注目されるようになる。その多忙ぶりから人手不足に陥ったゴーストバスターズは、がっちり肉体派の男ウィンストン・ゼドモア(アーニー・ハドソン)を新入社員に迎え入れ、活動に拍車をかけていく。
そんな彼らの活動に疑いの目を向けるようになったのが、ニューヨーク市の環境保護局局長ウォルター・ペック(ウィリアム・アザートン)。絶好調のゴーストバスターズに目を光らせ、しまいには営業停止命令を言い渡す。その頃、街には謎の超巨大な霊的エネルギーが立ち込めており、ゴーザという名の破壊神が人類を乗っ取ろうとしていた。ある時、ゴーストバスターズ最初の依頼者となった女性ディナ・バレット(シガニー・ウィーバー)に、門の神ズールが憑依してしまい……。
『ゴーストバスターズ』小ネタ解説
1.誕生のきっかけ
本作の原案・脚本を務めたのは、メインキャストでもあるダン・エイクロイドとハロルド・レイミス。誕生のきっかけは1980年代初頭、エイクロイドが旧友でありすでに仕事を共にしていたアイヴァン・ライトマン監督に一本の電話をかけたことだった。『A History of Ghosts』という書籍を出版した父親の影響もあり、超常現象を強く信じていたエイクロイドは、およそ70ページに渡る草稿を用意して、ライトマン監督に相談したという。この時点でストーリーは“未来の外宇宙”で繰り広げられるものだったが、ライトマン監督が舞台を“現代のニューヨーク”に変更することを要求し、契約したことが全ての始まりとなった。(詳しくはこちらを参照)
2.『ブルース・ブラザーズ』コンビの再タッグ作になるはずだった
原案・脚本のダン・エイクロイドは、1980年の映画『ブルース・ブラザーズ』で絶大な人気を獲得していた。ライトマン監督にアイデアを持ち込んだ時点で、主演はエイクロイド自身と、『ブルース・ブラザーズ』で抜群の相性を発揮したジョン・ベルーシで考えていた。企画もそのまま進行していたが、1982年にベルーシがオーバードーズで急死。これにより、キャストの再検討が行われた。なお、エイクロイドは亡き友人へのトリビュートとして、「スライマー」のボディデザインをベルーシの身体を元に作ったのだそうだ。
3.ディナ役には当初、ジュリア・ロバーツが検討されていた
門の神ズールに憑依されてしまう演奏家の女性ディナ・バレットを演じたのは、『エイリアン』(1979)で知名度を上げていたシガニー・ウィーバー。しかし、同役に最初に検討されていた俳優の1人には、当時まだスクリーンデビューも飾っていなかったジュリア・ロバーツがいたという。以前ライトマン監督は、オーディションを受けに来た10代のロバーツについてこう振り返っていた。「彼女は一際目立っていました。キャスティングディレクターにこう言ったのを覚えています。“彼女はビッグスターになるぞ”って」。
4.ウィンストン役はエディ・マーフィーの為に書かれていた
アーニー・ハドソンが演じた、ゴーストバスターズ後から入社組のウィンストン・ゼドモア。原案・脚本のダン・エイクロイドは当初、この役に「サタデー・ナイト・ライブ」(1975-)で人気を博していたエディ・マーフィーを見据えていた。2016年、これについて言及したアイヴァン・ライトマン監督は、「噂は聞きました」としながら「そのことについて(エイクロイドと)話したことがないから分からないんです」と回顧。マーフィーに対して実際にオファーをしていたのかなど、謎は多い。ちなみにマーフィーは『ゴーストバスターズ』と同年公開の『ビバリーヒルズ・コップ』で時の人となった。
5.アイヴァン・ライトマン監督のカメオ出演
シガニー・ウィーバー演じるディナに憑依してしまう“門の神”ズールの声を演じたのは、ライトマン監督本人。本編を観ると、ズールの声にはエフェクトがかけられており、監督の声を知っていたとしても認知はできない。ちなみに、ライトマン監督は最新作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』にもカメオ出演しているとか……?
Source:THR,Vanity Fair
『ゴーストバスターズ』主な出演者・キャスト
ビル・マーレイ(ピーター・ベンクマン博士役)

1950年、米シカゴ出身。9人兄弟の大家族に生まれる。兄の勧めにより即興劇団「セカンド・シティ」に入団。同劇団に所属していたジョン・ベルーシの紹介で、「サタデー・ナイト・ライブ」に出演し始める。同じ頃、役者としての活動にも本腰を入れるようになり、『オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ』(1978)『アメリカ発 珍作映画情報』(1980)などに出演。『ゴーストバスターズ』で再会することになるアイヴァン・ライトマン監督の映画『ミートボール』(1979)『パラダイス・アーミー』(1981)で主演を務めた。『ゴーストバスターズ』以降、『ゴーストバスターズ2』(1989)『恋はデジャ・ヴ』(1993)『スペース・ジャム』(1996)『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)などに出演し、コメディ俳優としての地位を築き上げる。またソフィア・コッポラ監督やウェス・アンダーソン監督作品の常連キャストとしても知られている。次回作に『アントマン&ワスプ:クアントゥマニア』(2023年7月米公開予定)を控える。
ダン・エイクロイド(レイモンド・スタンツ博士役)

1952年、カナダ・オタワ出身。「サタデーナイト・ライブ」のオリジナルメンバーとして出演し一躍人気者となる。同番組での活躍から映画『ブルース・ブラザース』(1980)の主演につながり、俳優としても知名度を上げていく。その後はコメディアン、俳優として継続的に活動。『ゴーストバスターズ』(1984)『ゴーストバスターズ2』(1989)ではレイモンド・スタンツ博士役として出演および脚本を手掛けた。『ドライビング Miss デイジー』(1989)ではアカデミー賞助演男優賞のノミネート入りを果たしている。2000年代に入っても俳優活動を継続しており、『50回目のファースト・キス』(2004)や『俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員!』(2012)『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』(2014)などに出演してきた。
ハロルド・レイミス(イゴン・スペングラー博士役)
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1944年、ビル・マーレイと同じく米シカゴ出身。ワシントン大学・セントルイス校を卒業後、1973年に脚本家としてキャリアをスタート。ジョン・ベルーシ主演の『アニマル・ハウス』で脚本を務め、1980年にはビル・マーレイ出演の『ボールズ・ボールズ』で監督デビューを果たす。『ゴーストバスターズ』で脚本・出演を務めたことで一躍有名に。『ゴーストバスターズ2』を経たのちに、『恋はデジャ・ブ』で脚本・監督・制作を兼任し、再び成功を掴む。以降も、脚本家・俳優・監督としてマルチな活躍を見せた。2014年、69歳没。
アーニー・ハドソン(ウィンストン・ゼドモア役)

1945年、米ミシガン州出身。高校卒業後にアメリカ海兵隊へ入隊。短い活動期間の後、舞台向けの脚本家に転身。演技を学びに大学へ進学する。1976年、『Leadbelly(原題)』で長編映画デビュー。以降、『メーン・イベント』(1979)『ジャズ・シンガー』(1980)『セカンド・チャンス』(1983)といった映画に出演し、1984年に『ゴーストバスターズ』で世界的な知名度を獲得する。その後も『ゴーストバスターズ2』をはじめ、『デンジャラス・ビューティー2』(2005)『サヨナラの代わりに』(2014)など出演作多数。ドラマでも「デスパレートな妻たち」(2004-2012)や「ワンス・アポン・ア・タイム」(2011-2018)「ARROW/アロー」(2012-2020)といった作品でエピソード出演をしている。2016年には、『ゴーストバスターズ』でカメオ出演を果たした。
シガニー・ウィーバー(ディナ・バレット役)

1949年、米ニューヨーク出身。TVプロデューサーの父親、女優の母親のもと育ち、名門イェール大学で演技を学ぶ。1970年、ドラマ「Somerset(原題)」(1970-1976)で役者デビュー。翌1977年にはウディ・アレン『アニー・ホール』でスクリーンデビューを飾り、1978年の映画『エイリアン』で主演エレン・リプリー役に抜擢される。以降、『エイリアン』『ゴーストバスターズ』シリーズで人気を獲得していきながら、1988年の『愛は霧のかなたに』『ワーキング・ガール』でゴールデングローブ賞ダブル受賞を果たし、1997年には『アイス・ストーム』で英国アカデミー賞助演女優賞を受賞。実力も認められるようになる。ほか主な出演作に『バンテージ・ポイント』(2008)『アバター』(2009)「Marvel ザ・ディフェンダーズ」(2017)など。2016年には『ゴーストバスターズ』でカメオ出演を果たした。最新作に『アバター』続編シリーズやマーガレット・クアリー共演の映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』(2022年5月6日公開)を控える。
リック・モラニス(ルイス・タリー役)

1953年、カナダ・トロント出身。70年代よりディスクジョッキーとしての活動をスタートさせた後、コメディアンを志すようになる。ビル・マーレイやジョン・ベルーシも所属した即興劇団「セカンド・シティ」の制作番組に出演するようになり、1983年に「サタデー・ナイト・ライブ」デビュー。映画俳優としては、1984年に『ストリート・オブ・ファイヤー』と『ゴーストバスターズ』に出演し、知名度を上げる。その後も『ミクロキッズ』シリーズなどで注目を浴びるも、1997年の『ミクロキッズ3』以降は実写作品への出演が見られなくなる。2000年代に入ってからは、『ブラザー・ベア』シリーズといったアニメ作品に参加している。
アニー・ポッツ(ジャニーン・メルニッツ役)
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1952年、米テネシー州ナッシュビル出身。大学で演技を学んだ後、1978年にマーク・ハミルが出演するコメディ『コルヴェット・サマー』で劇場映画デビューを飾る。『ゴーストバスターズ』のジャニーン役で一躍有名に。「浮気なおしゃれミディ」(1986-1993)や「Dangerous Minds(原題)」(1996-1997)など、ドラマ作品にも精力的に出演する。また、『トイ・ストーリー』シリーズのボー・ピープ役の声でもおなじみ。2016年には『ゴーストバスターズ』でカメオ出演を果たした。
ウィリアム・アザートン(ウォルター・ペック役)

1947年、米コネチカット州出身。学生時代より役者を志し、1972年に『センチュリアン』で映画デビュー。翌1973年にはスティーブン・スピルバーグ監督の劇場映画デビュー作『続・激突!/カージャック』に出演する。『ゴーストバスターズ』のウォルター・ペック役で印象を残した後、ブルース・ウィリス主演『ダイ・ハード』シリーズのTVレポーター、リチャード・ソーンバーグ役で名をあげた。その後も、『マッド・シティ』(1997)や『イントゥ・ザ・サン』(2005)などに出演。近年は活動をセーブしている模様。
『ゴーストバスターズ』出演者/吹替声優
キャラクター名 | キャスト | 日本語吹替声優 |
ピーター・ベンクマン博士 | ビル・マーレイ | 安原 義人 |
レイモンド・スタンツ博士 | ダン・エイクロイド | 玄田 哲章 |
イゴン・スペングラー博士 | ハロルド・レイミス | 牛山 茂 |
ウィンストン・ゼドモア | アーニー・ハドソン | 菅原 正志 |
ディナ・バレット | シガニー・ウィーバー | 駒塚 由衣 |
ルイス・タリー | リック・モラニス | 高木 渉 |
ジャニーン・メルニッツ | アニー・ポッツ | 安達 忍 |
ウォルター・ペック | ウィリアム・アザートン | 森田 順平 |
アイヴァン・ライトマン監督

1946年、チェコスロバキア出身。反ユダヤ主義から逃れるべく、カナダに移住した。1968年、22歳の時に短編コメディ『Orientation(原題)』を製作。1971年に『Foxy Lady(原題)』で長編監督デビューを飾る。70年代後半から80年代前半にかけて、ビル・マーレイ主演のコメディ映画『ミートボール』『パラダイス・アーミー』を監督。その後手がけた『ゴーストバスターズ』で監督としての知名度を獲得する。監督業と並行してプロデューサー業にも精を出し、自身の監督作品のほかデヴィッド・クローネンバーグ監督の『デビッド・クローネンバーグのシーバース』(1975)や、ジョン・ベルーシ主演&ハロルド・レイミス脚本の『アニマル・ハウス』(1978)の製作を手掛ける。
以降、監督としては『ゴーストバスターズ2』(1989) や『キンダガートン・コップ』(1990)『ファーザーズ・デイ』(1997)『抱きたいカンケイ』(2011) など、製作では『マイレージ、マイライフ』(2009) 『ゲスト』(2009)『ベイウォッチ』(2017)『ヒッチコック』(2012)などに参加。『ゴーストバスターズ/アフターライフ』では製作を務めている。
新作情報『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

第1作『ゴーストバスターズ』、そして1989年の第2作『ゴーストバスターズ2』に続く約33年ぶりの新作が『ゴーストバスターズ/アフターライフ』。2016年には主人公が女性キャラクターに置き換えられたリブート版『ゴーストバスターズ』が公開されているが、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は正統な続編となる。
舞台はオリジナル2作のニューヨークから移り、アメリカ中西部に位置するオクラホマ州の田舎町。かつて一世を風靡したゴーストバスターズのレガシーを継いでいるとは知らずに生きてきた少女フィービーと兄のトレヴァーらが、30年の時を越えて復活したゴースト相手に立ち向かっていく。
キャストや製作陣など、更なる詳細はこちらの記事を参照してほしい。