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『ゴーストバスターズ』新作監督、オリジナル版に徹底回帰宣言 ─ 「ファンのみなさんに映画をお返しする」

ゴーストバスターズ

2020年夏、『ゴーストバスターズ』が帰ってくる

ビル・マーレイ&ダン・エイクロイドほか出演、アイヴァン・ライトマン監督による『ゴーストバスターズ』シリーズは、1984年に第1作、1989年に第2作が公開された。新作(タイトル未定)は第2作の続編で、現代を舞台とする物語。脚本・監督は、創造主アイヴァン監督の息子である『マイレージ、マイライフ』(2009)『タリーと私の秘密の時間』(2018)のジェイソン・ライトマンだ。

このたびジェイソン監督は、ポッドキャスト「Monday Morning Podcast」にて、『ゴーストバスターズ』新作やオリジナル・シリーズへの思いを語った。そこでの発言は一部で物議を醸したが、その顛末までを本記事ではご紹介しておきたい。

『ゴーストバスターズ』を「ファンのみなさんにお返しする」

かねてよりジェイソン監督は、創造主アイヴァンの息子である自らを「『ゴーストバスターズ』のファン第一号」だと自称してきた。それゆえだろう、新作を手がけるにあたっては、なによりもオリジナル版の存在を強く意識しているようだ。なにしろ監督は、「この映画は『ゴーストバスターズ』へのラブレターになります」とまで述べているのである。

「僕は『ゴーストバスターズ』シリーズが大好きで、このシリーズを観て育ちました。僕は自分のことを、最初の『ゴーストバスターズ』ファンだと思ってるんですよ。(第1作が)公開されたとき、僕は7歳くらいでしたが、この映画が大好きになりました。同じ『ゴーストバスターズ』ファンのみなさんのために映画を作りたいんです。」

もちろん新作の内容は謎に包まれたままだが、2019年1月には早くも速報映像が公開されている。実はこの映像、ジェイソン監督が細部までこだわり抜いて作ったものだったようだ。

「プロトンパック(ゴースト退治用の装置)の音のために(当時の)作業ファイルを使用したり、エルマー・バーンスタインの楽曲に戻ったりしました。“Summer 2020”という文字が出てきますが、そのためだけに、1984年版のポスターを製作するのに使われた本物のビニール製の文字シールを見つけてきたんです。スキャンし直して、プリントし直しているんですよ。
(“Summer 2020”という)字幕は実際に撮影したもので、コンピュータで作ったものではありません。照明とスモークの効果付きで、字幕の実物を撮りました。昔はそういう風に作っていたわけですからね。」

普通に観ているだけでは気づかないこだわりだが、こうした部分にこそ、ジェイソン監督が『ゴーストバスターズ』新作に込めている並々ならぬエネルギーが詰まっているといえるだろう。「あらゆる面でオリジナルの技術に戻そうとしているんです。そうやって、映画をファンのみなさんにお返しするんですよ」

しかしながら、ジェイソン監督による過激なほどの“オリジナル回帰宣言”は、同時に一部のファンから反発を生むこととなってしまった。女性主人公によるリブート版『ゴーストバスターズ』(2016)のファンたちが、「リブート版への間接的な批判ではないか」として発言を問題視。これによってジェイソン監督がバッシングを受けることにもなったのである。

こうした動きを受けて、ジェイソン監督は、自身の発言にそのような意図がなかったことを明らかにしている。

「そういう意味ではなかったんです!ポール(・フェイグ監督)やレスリー(・ジョーンズ)、ケイト(・マッキノン)、メリッサ(・マッカーシー)、クリステン(・ウィグ)、そして2016年の『ゴーストバスターズ』を生み出した彼女たちの勇気には称賛以外のなにものもありません。ユニバースを広げ、最高の映画を作ってくださいました!」

またリブート版のポール・フェイグ監督も、ジェイソン監督をサポートするコメントを発している。

「僕が映画を作れなかったころ、ジェイソンは僕のことを支えてくれました。彼はいつでも本当に紳士的だし、いつでも僕たちの作った『ゴーストバスターズ』のサポーターなのです。『ゴーストバスターズ』ユニバースの、彼なりの解釈を楽しみにしています。大きな愛情と敬意をこめて。」

映画『ゴーストバスターズ』新作(タイトル未定)は2020年7月10日に米国公開予定。撮影は2019年の夏にも開始される見込みだ。

Sources: Monday Morning Podcast, The Playlist, Jason Reitman, Paul Feig

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。