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【ネタバレ】『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』 芹沢博士の◯◯の意味、ラストシーン解説 ─ マイケル・ドハティ監督インタビュー

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

「ゴジラ 怪獣の逆襲」

ところが人類と怪獣の共生がテーマのひとつとなった『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、純粋に対等な共生ではなく、むしろ思わぬ結末を迎える。蘇ったゴジラが怪獣王に君臨し、人類はいよいよ地球の主導権を怪獣に譲り渡すことになるのだ。モナークのメンバーや少女マディソンは、ゴジラの咆哮と、ゴジラに頭を垂れる怪獣たちの姿を飛行艇から眺めるほかない。変貌した世界を人々が見つめるラストシーンは、3部作の第2作という点を踏まえても『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980)を想起させるものだ。

思い切って「これって『帝国の逆襲』ならぬ“怪獣の逆襲”ですよね…?」と聞いてみたところ、監督からは意外にも「指摘されたのは初めてです」との返答が返ってきた。

この映画は『帝国の逆襲』に大きな影響を受けています。エンディングのクリフハンガー[編注:物語を宙ぶらりんにして結末を迎える作劇方法]もそう。人間やヒーローたちからすれば、本当に良いことなのかどうかわからない、非常に不安定な状況へと追い込まれる結末です。」

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

ただしドハティ監督は、すぐさま「けれども僕にとって、この結末はハッピーエンド。とてもポジティブな終わり方だと考えています」と付け加えることを忘れなかった。

「僕にとっては、これこそが“世界はこうあるべき”と思える姿。つまりゴジラを通してですが、自然というものが再び王冠をかぶっている世界です。僕は、人類はふたたび自然に従属する存在にならねばならないと思っていますから。それに、破壊と創造はコインの表裏。人類が“破壊”だと思っているものは、ゴジラにとっては“創造”なのかもしれませんよね。」

2018年12月にも来日していたドハティ監督は、「東京コミコン」のステージ上で、「この映画は“モンスターオペラ”です。『スター・ウォーズ』がスペースオペラであるように」と語っていた。「怪獣は本当に美しいものだと思います。もし怪獣を現実化させるボタンがあれば押しまくりたい」と。いわばドハティ監督は、本作の結末で「怪獣を現実化させるボタンを押しまくったらどうなるか」を見せてくれたのだもいえる。ドハティ監督が創りたかった世界、理想の世界は、ラストシーンでとうとう完成したのだ。

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は2019年5月31日(金)より全国東宝系にて公開中

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式サイト:https://godzilla-movie.jp/

ドハティ監督インタビュー記事第1弾はこちら

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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