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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』怪獣と人類の新設定が判明 ─ 監督「世界は怪獣の所有物、人間のほうが外来種」

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

ハリウッド版『ゴジラ』シリーズの第2作、映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を手がけるマイケル・ドハティ監督は、筋金入りの怪獣映画ファンであり、怪獣に対する深い愛情の持ち主だ。ゴジラやモスラ、ラドン、キングギドラという人気怪獣が顔を揃える本作を生み出すにあたって、マイケル監督は自身のこだわりを前面に押し出した。

それは日本の怪獣映画が描いてきた姿にきちんと寄り添い、怪獣たちを巨大なモンスターではなく古代の神々として描くということ。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の撮影現場では、マイケル監督の提案する作品設定が余すところなく語られていた。

「世界は怪獣たちの所有物、我々のほうが外来種」

マイケル監督は、本作に登場する怪獣たちについて「突然、どこからともなく現れたわけではありません」と語っている。「ずっとこの場所に存在した、私たちが現れる前からいたわけです」。そう、先述した通り、怪獣たちは“古代の神々”なのだ。

「私たちが採用したのは、世界は彼らの所有物なのだというコンセプト。どちらかといえば我々の方が外来種なんです。私たちは、この場所に何者かがずっと存在したことを再発見していく。彼らは古代の神々、最初の神々です。」

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

きちんと押さえておきたいのは、ここでマイケル監督が「古代の生物」ではなく「古代の神々」だといっていることである。ゴジラをはじめとする怪獣たちは“聖なる存在”なのだ。監督は「もうひとつやりたかったのは、より神話的な、ほとんど聖書のような背景を怪獣たちに与えることでした」とも述べている。

「“ゴジラ”と呼ばれているわけですから、ゴジラの背景に“ゴッド(神、God)”を置いています。ある古代文明において、かつて怪獣たちは崇拝される存在だったという発想ですね。昔の作品で特に気に入っているのは、モスラが神様だったこと。それは実際に、とある神話の幕開けになっていたと思います。つまり、モスラが数千年前に存在したのなら、ゴジラも存在しただろう。モスラが古代文明で崇められていたなら、キングコングもそうだっただろうと。ある時期に、人類が別の生物と接触していたとしても筋が通ると思うんです。」

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、前作『GODZILLA ゴジラ』(2014)で始まった「モンスターバース」の第3作。『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)とのクロスオーバーとなる『ゴジラ vs キングコング(邦題未定、原題:Godzilla vs. Kong.)』も2020年には控えている。「この映画ではキングコングにも言及しているんですか?」と問われて、マイケル監督は「はい、彼も(世界には)存在しますから」と答えた。

キングコング:髑髏島の巨神
©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

ゴジラが古代から存在するという本作の設定は、東宝版ゴジラの“古代生物の末裔がビキニ環礁で放射能を浴びて進化した”という設定の間隙を突くものだ。東宝版にはゴジラの基になったという恐竜「ゴジラザウルス」も登場しているが、マイケル監督はこれらの設定と矛盾しない、しかし独自性豊かな解釈をもって怪獣たちを描いているとみられる。

ちなみに解釈の背景にあるのは、「子どもの頃、人類と恐竜が出会っていなかったと知ってガッカリした」という監督自身の経験だ。視覚効果の巨匠、レイ・ハリーハウゼンによる映画で人類と恐竜の共演に親しんでいた監督は、実際の歴史を「悲しい現実」とまで言っている。しかし、マイケル監督は決して折れなかった。

「そんな事実はクソだと思ってます。大昔には私たちも知らない古代の人類が存在して、なんとかして古代の生物と関わり合っていたんだと思っているんです。」

2018年12月の来日時、マイケル監督は本作について「美しく、怖ろしく、そしてエモーショナルなものを作りたかった。私たち人類と自然の繋がり、そしてゴジラや怪獣との繋がりという深いテーマがありました」と語った「怪獣は本当に美しいと思います。もし怪獣を現実化させるボタンがあるなら押しまくりたい」とも。幼少期から培った古代生物への思い、怪獣や怪獣映画への愛情とリスペクト。マイケル・ドハティ監督による渾身の表現を、劇場の大スクリーンでじっくりと味わいたい。

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は2019年5月31日(金)全国ロードショー

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式サイト:https://godzilla-movie.jp/

マイケル・ドハティ監督、来日時レポートはこちら

Source: Collider, Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。