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【レポート】『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が「東京コミコン 2018」上陸 ― 最新映像や初公開アート、怪獣の造形秘話まで丸ごとお届け

東京コミコン2018 ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
©THE RIVER

2018 年11月30日(金)~12月2日(日)開催の「東京コミコン2018」(幕張メッセ)にて、映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のスペシャルステージが開催された。

この日、世界初解禁となる映像やコンセプトアートの公開にあわせてマイケル・ドハティ監督が来日。圧倒的情報量をもって、怪獣映画・ゴジラ映画への想いや製作秘話などを一挙に語ってくれた。THE RIVERではトークの内容を余すところなくお届けしたい。

東京コミコン2018
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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』マイケル・ドハティ監督

「東京コミコン 2018」でのスペシャルステージ開催にあたり、MCとして登場したのはフジテレビアナウンサーの笠井伸輔氏。フジテレビと何の関係もない『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のステージになぜ登場したかといえば、とにかく「ゴジラが大好き」だから。『ゴジラ2000 ミレニアム』(1999)、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)など4本のゴジラ映画に出演した笠井アナが、“ゴジラ映画ファン代表”としてマイケル監督に質問をぶつけてくれた。

なお、マイケル監督が東京コミコンに登場するのは今回が初めて。大勢のポップカルチャー・ファンが詰めかけ、熱気に満ちた会場の様子には「最高です(wonderful)」との感想を語った。

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マイケル監督とゴジラの出会い

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、ギャレス・エドワーズ監督によるハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(2014)の続編だ。新たなゴジラ映画のオファーを受けて、マイケル監督は「すぐに“イエス”とお答えしました」と語る。「ゴジラ映画を作るのはすごく小さい頃からの夢だったんです。大きなオモチャを使って自分のゴジラ映画を作れるなんて、夢が叶ったようでした」

マイケル監督がゴジラという怪獣に出会ったのは3~4歳のころ。当時、ケーブルテレビで土曜日の朝に放送されていたアニメ版「Godzilla(原題)」(1978-1980)や、アニメに続いて放送されていたゴジラ映画を欠かさず観ていたという。人生で初めて観たゴジラ映画は、記念すべきシリーズ第1作『ゴジラ』(1954)。当時まだ幼かった監督は、初代ゴジラについて「怖くはなかったです。すぐ大好きになったし、すごくいい友達になりました」と語っている。ちなみに一番大好きなゴジラ映画も、同じく『ゴジラ』第1作なのだとか。

そんな監督に、笠井アナは「私は“モスゴジ”(『モスラ対ゴジラ』1964)が好きなんですが…」と一言。すると監督は「“モスゴジ”も好きですよ。いろんな理由があって、全部の映画が好きなので」と応じた。

ここで会場では、先日公開された『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』日本版予告編が上映されている。

上映が終わるや、笠井アナは「アメイジング!ワンダフル!今すぐ続きを見せてくれ!」と興奮。ドビュッシー「月の光」がフィーチャーされた本映像について、監督は「大好きですよ。音楽が本編の雰囲気をしっかりとらえているんです」と述べた。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は「モンスターオペラ」

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』について、監督は「この映画は“モンスターオペラ”です。『スター・ウォーズ』がスペースオペラであるように」と語っている。

作品の新たなキーワードとなった“モンスターオペラ”という言葉について、監督は「美しく、怖ろしく、そしてエモーショナルなものを作りたかったんです。私たち人類と自然の繋がり、そしてゴジラや怪獣との繋がりという深いテーマがありました」と熱弁。
マイケル監督の怪獣に対する思い入れたるや、「怪獣は本当に美しいものだと思います。もし怪獣を現実化させるボタンがあれば押しまくりたいくらい」。笠井アナが「地球が滅びますよ、ほんとに」と苦笑いすると、監督は肩をすくめてみせた。

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むろん『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』には、日本の怪獣映画へのリスペクトが込められている。監督は、「ゴジラ映画の音楽が大好きなので、この映画にはクラシックなゴジラやモスラのテーマを使いました」とさらりと明かした。故・伊福部昭によるゴジラのテーマ、モスラのテーマが劇中でどのように登場するのかは大きなポイントとなりそうだ。

マイケル監督によると、本作には過去に製作されたあらゆるゴジラ映画からの引用が詰まっているとのこと。ビジュアル・サウンドの両面に仕掛けられたオマージュの数々は「劇場で2, 3回観なければ、すべてをキャッチすることはできない」ほどだという。

芹沢博士役、渡辺謙のこだわり

日本のゴジラ映画との繋がりを色濃く示すのが、渡辺謙が演じる芹沢猪四郎博士だ。その役名は1954年版『ゴジラ』に登場する芹沢四郎博士と、同作を手がけた本多猪四郎監督から採られている。
前作に続いて出演した渡辺との共同作業を、監督は「渡辺さんが映画をより良いものにしてくれました。映画に気品を与えてくれましたし、とても協力的でスマート。芹沢という役柄に強い信念をお持ちでしたね」と振り返っている。

なかでも渡辺がこだわったのは、「ゴジラ」という名前を日本語の発音で呼ぶこと。監督はその発音をとても気に入っており、「彼が『ゴジラ』と口にする場面だけで一本の映画を作りたい」と笑った。
なお、本編では日本語の「ゴジラ」という発音と、英語の“Godzilla”という発音が両方使用されており、科学的な正式名称は「ゴジラ」、ニックネームは“Godzilla”という設定。この使い分けはモスラについても同じだという。

ゴジラ、モスラ、キングギドラ、ラドンのコンセプトアート公開

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』には、予告編でもその姿が確認できるように、ゴジラ以外にもモスラ、キングギドラ、ラドンという人気怪獣が揃い踏みする。今回のイベントでは、本編に登場する4体の写真やコンセプトアートが特別に公開された。

ゴジラ、前作からどう変わった?

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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、先述の通り『GODZILLA ゴジラ』の続編となる。マイケル監督は「ギャレス監督のゴジラが大好きなんですが、ほんの少しだけ変更を加えました」といい、「1954年版の背びれを(ギャレス版に)付けました。ゴジラの背びれは王冠のようなものなので、大きく、美しい方がいいと思ったんです」と述べている。オーダーをデザイナーに伝える際には、自ら前作のゴジラに1954年版の背びれを合成した写真を作成したとか。前作と比較すると、足も少しだけ大きくなっているそうだ。

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ちなみに本ステージには、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』仕様のフィギュアが登場。その出来栄えに、マイケル監督は「最高です。とても美しいし、僕の解釈したゴジラが初めて実物になったので」と感動を隠さなかった。

モスラ、羽根の眼の意味とは

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マイケル監督は、モスラという超有名怪獣を新たに甦らせることについて「一番大きな挑戦でした」と語る。デザインにあたっては実際の蛾を研究したほか、モスラの登場する過去映像をすべて見直したという。「女神の美しさがあり、力強さもあり、獰猛さもあるかもしれない、そういう怪獣を目指しました。キングギドラやラドンと渡り合える、美しく力強いモスラにしたかったんです」

モスラの羽根に描かれている眼のような模様はゴジラの眼をイメージしたもの。実際の蝶や蛾が、捕食者に対抗するため眼のような模様を自らに取り入れていることが参考にされているという。「ゴジラとモスラの関係を見せたかった。モスラは怪獣の女王なので、羽根の眼とゴジラの眼が火花を散らすんです」。
ちなみにイベントで公開されたコンセプトアートは製作初期のもので、そのデザインは本編のモスラとは異なっている。監督は「完成版はもっと良いですよ」と自信をにじませた。

火山から目覚めたラドン

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マイケル監督は、これまでラドンに対して強い愛情を語ってきた。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で、ラドンは火山で冬眠しているところを発見される設定となっている。

モスラと同じく、今回公開されたアートは制作途中のものだが、こちらは完成版に近いデザインで、翼の表現がやや異なるとのこと。ラドンは火山の中で進化を遂げてきた設定のため、皮膚は炎に耐えうる溶岩のような属性をもち、色も赤みを帯びている

キングギドラ、個性の異なる3つの頭部

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このたび公開されたゴジラとキングギドラが戦っているアートは、本編のストーリーボード(絵コンテ)に着色を施したものだ。キングギドラのデザインにあたっては、ほかの怪獣と同じく過去の映像をすべて研究し直し、あらゆるデザインに共通する要素を見出していったという。キングギドラの場合、それは黄金の鱗や3つの頭部だった。

ただし本作のキングギドラは、「それぞれの頭部が3兄弟のように異なる個性をもっている」のが特徴だ。中央の頭が一番賢く、左右の頭は弟分のような存在でそれほど賢くはないという設定で、それぞれの頭部を、異なる3人の俳優がモーションキャプチャーで演じたという。スーツアクターによる怪獣とは厳密には異なるが、きちんと人間の演技から怪獣の演技が作られているわけだ。

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さらにマイケル監督は、怪獣の鳴き声にも強いこだわりをもって取り組んだ。本作に登場する怪獣の鳴き声には、オリジナルの音源に、蛇やトカゲ、クモといった生物の音声を合成することで独自のアップデートが施されているという。「慣れ親しんだ鳴き声を想起させるものになったと自負しています」と監督は自信を語った。

ちなみにゴジラ・モスラ・ラドン・キングギドラという顔合わせは、東宝の名作映画『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)とまったく同じ。ただしマイケル監督は同作を特別に意識したのではなく、「ゴジラ映画の新章を作るなら、東宝怪獣映画の至宝である4体を登場させたかった」のだとか。

新予告編、まもなく登場! 最新映像が特別公開

今回のイベントでは、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の新予告編から一部映像が特別に公開された。
世界初解禁となった今回の映像では、ミリー・ボビー・ブラウン演じる少女マディソン・ラッセルが、通信機を通じて「誰かいませんか?」「聞こえますか?」と懸命に呼びかける。その様子とともに映し出されるのは、死骸らしきものが大量に浮かんだ海面や、研究所のような空間に見える怪獣の頭部。やがてマディソンの声は誰かに届くが、その途端、耳をつんざく轟音が彼女に襲いかかって……。

肝心な部分がことごとく伏せられた最新映像の上映直後、笠井アナは「なんという出し惜しみ。監督、こういうのを日本語で『出し惜しみ』って言うの!」と発言して会場の喝采を受けていた。監督によると最新の予告編は来週(2018年12月2日以降)公開されるという。新たな予告編ではどんな映像が見られるのだろうか。

イベントの締めくくりとして、マイケル監督は「この場に立てて光栄です。自分のゴジラ映画を作るという小さい頃からの夢が叶ったこと、ゴジラが生まれた日本にお届けできることを嬉しく思います」とコメント。フォトセッションではゴジラのフィギュアを手に、「(アカデミー賞の)オスカー像よりもこっちの方がいいですね」と笑顔を見せた。

東京コミコン2018
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ギャラリー

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は2019年5月31日(金)全国ロードショー

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式サイト:https://godzilla-movie.jp/

「東京コミコン2018」開催概要

東京コミコン

会期:
2018年11月30日(金)12:00~19:00
2018年12月1日(土)10:00~19:00
2018年12月2日(日)10:00~18:00

会場:幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール

チケット情報

前売入場券

※チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスの3社で発売
発売:2018年9月1日(土)10:00~2018年11月29日(木)まで
11月30日(金):一般2,800円(税込)中高生2,200円(税込)
12月1日(土)、2日(日):一般3,200円(税込)中高生2,200円(税込)
詳細につきましては、オフィシャルサイトにて後日発表となります。
※英語でのご案内、海外在住の方はこちらのサイトをご利用いただけます。
Tickets for English Speaking persons and non-residents are available at:http://hollycontokyo.com/

当日入場券

※チケットぴあで発売
発売:2018年11月30日(金)0:00~
一般3,500円(税込)中高生2,500円(税込)
詳細につきましては、オフィシャルサイトにて後日発表となります。

「東京コミコン 2018」公式サイト:http://tokyocomiccon.jp/

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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