『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』あの「メリー・ポピンズ」のセリフ、脚本に当初書かれていなかった
注意

この記事には、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のネタバレが含まれています。

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映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』は、前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)の流れを汲みつつも、親子や姉妹、家族といった方向にさらに軸足を置いた“ホームドラマ”だ。ジェームズ・ガン監督は、マーベル・シネマティック・ユニバース作品らしからぬ暴力とユーモアを存分に織り込みながら、卓越した音楽センスの力を借りて、見事なストーリーテリングを実現している。

そんな物語の中で、ことさら大きな意味を持つことになるのがピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)とヨンドゥ(マイケル・ルーカー)の関係性だ。映画のクライマックスで再会する二人は、アイーシャ(エリザベス・デビッキ)率いるソヴリン軍を撃破したあと、間一髪でチームのもとへ舞い降りる。
得意とする口笛の矢を使って降りてくるヨンドゥに、ピーターは「You look like Mary Poppins.(メリー・ポピンズみたいだ)」と一言。「Is he cool?(いい男か?)」とヨンドゥが尋ねると、ピーターは「Hell yeah, he’s cool.(ああ、いい男だ)」と答える。それを聞いたヨンドゥは、「I’m Mary Poppins, y’all!(俺はメリー・ポピンズだ!)」と叫ぶのだった。

この指折りの名ゼリフは、なんと当初の脚本には書かれていなかったものだという。では本作の脚本・監督を務めたジェームズ・ガンは、なぜこのセリフを発想し、本編に組み込むことにしたのか……。米ハリウッド・レポーター誌の取材で、その経緯が明らかになっている。

“笑えて深い”名ゼリフが生まれた理由

もともとガン監督は、ヨンドゥが矢を使って降りてくるシーンを完成版よりもずっと「カッコいい」場面として想定していたという。しかしその目算は、脚本を映像に立ち上げようとした時点で狂ってしまったのだとか。

「シーンを視覚化していたら、考えていたほどカッコよく見えないことに気づいたんだ。そこでピーター・クイルにメリー・ポピンズのセリフを言わせることにしたんだよ。でもヨンドゥはメリーもポピンズも当然知らないし、リー・マーヴィンみたいな感じかと思ったのかもね。そこで彼は(メリー・ポピンズだと)認めるんだよ。」

リー・マーヴィンは、『特攻大作戦』(1967)や『北国の帝王』(1973)など1950~1980年代に活躍した強面のアクション俳優だ。むろんヨンドゥはマーヴィンのことも知らないはずだが、きっとメリー・ポピンズを“いかにも男らしい、強いヤツ”だと解釈したというわけだろう。観客はメリー・ポピンズとのギャップに笑わされるわけだが、ここにはもうひとつの含意もある。

1964年『メリー・ポピンズ』でジュリー・アンドリュースが演じた主人公メリー・ポピンズは、空の上で暮らしている“魔法使いの乳母”。ある日、ナニー(乳母)募集の広告を見てバンクス家を訪れると、仕事や活動に熱心な両親にかわって二人の子供たちに愛情を注ぐのだ。しかし子供たちが実の両親以上に自分を慕いはじめると突き放し、その後は家族の絆を目の当たりにして、役目を終えて去っていくのである。
ヨンドゥと重なるのは、“本物の親ではないが、本物の親のように子供を愛した”こと、そして最後には自らを犠牲にして姿を消すことだ。もちろんヨンドゥ自身は、まったくそんなことも知らないわけだが。

もしもヨンドゥが降りてくる様子が監督のイメージ通りにカッコよかったとしたら、「俺はメリー・ポピンズだ!」という、笑いとテーマ性を両立した名ゼリフはなかったということだろう。だとしたら、これこそ映画製作の奇跡と呼ぶべきではないだろうか。

ちなみにガン監督がどの段階でセリフを追加したのかは不明だが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のブルーレイに収録されている「NGシーン集」には、ルーカーが「俺はメリー・ポピンズだ!」を何度も試している様子が収められている。ということは、このセリフはもしかすると撮影中に急遽用意されたものだったのかもしれない……。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のブルーレイ&DVD(MovieNEX)は現在発売中

Source: http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/james-gunn-guardians-3-marvels-cosmic-plans-1027046
http://screenrant.com/guardians-galaxy-2-yondu-mary-poppins-line-origin/
写真:ゼータ イメージ

 

About the author

稲垣 貴俊(Takatoshi Inagaki)。THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくしてお伝えできればと思っております。

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