駄作ではない!?『失敗作』扱いされる2011年映画『グリーン・ランタン』を全力で再評価する
設定とストーリーのミスマッチ
ここまで良いところを挙げてきましたが、最後に評価が低い理由についても考えてみます。この映画が気に入っている私でも、いくつか引っかかる点があります。特にグリーン・ランタンのコミック的で派手な設定(リングの創造力、緑のコスチュームを着た宇宙人、「怒り」を原動力とするラスボスなど)と後半以降の真面目なストーリーが微妙に噛み合っておらず、チグハグな印象を与えます。
前半のコメディ寄りな展開はハル・ジョーダンの軽い性格と相まって楽しい雰囲気なのですが、中盤以降はハル・ジョーダンの弱点に焦点を当て、彼がどのように成長し本物のヒーローになっていくのかを描いており、前半とのズレが生じているのです。コメディ一辺倒でもそれはそれでヒーロー映画としては物足りなさがあるので、バランスが難しいところではあります。それでもグリーン・ランタンの設定を考えると、少々シリアスに寄せすぎた印象です。語り口が安定せずフラフラしてしまったために、全体的な空気感が損なわれてしまったのはもったいないところです。
あれやこれやと描きたい要素を詰め込み、前半と後半でバランスが悪くなってしまった結果、全体を俯瞰すると盛り上がる場面に欠けて見えるのは否めません。私はハル・ジョーダンがヒーローとして覚悟を決め、戦いに身を投じる場面だけで十分に燃えるのですが、特にロジックを重視して作品を評価する人は、展開に未熟さを覚えるでしょう。ここもまた評価の分かれ目になっていると思います。
これだけネタにされるのも、ある意味では注目と期待の裏返しかもしれません。DCEUでも2020年に『グリーン・ランタン・コア』としてリブートされるそうです。一体どうなるのか想像もつきませんが、非常に楽しみです。そしてDCEUが盛り上がりを見せる中で『グリーン・ランタン』が再評価される日が来ることを祈っています。