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【ネタバレ】『ゴジラvsコング』メカゴジラの造形に『ターミネーター』『トランスフォーマー』の影響あった

ゴジラvsコング
© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

この記事には、映画『ゴジラvsコング』のネタバレが含まれています。

ゴジラvsコング
© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

ハリウッド版メカゴジラ、降臨

ゴジラvsコング
© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

『ゴジラvsコング』において、ゴジラとコングの激闘ののち、地球をさらなる危機にさらすのは人間にほかならなかった。エイペックス社が秘密裏に開発していたのは、対ゴジラ用の超大型ロボット「メカゴジラ」。前作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)のラストに登場したキングギドラの首が開発に使用されているのだが、戦いのさなか、キングギドラのエネルギーは人間の意志を超えて暴走を始める……。

メカゴジラの操縦にあたったのは、芹沢猪四郎博士の息子であり、エイペックス社の研究員である芹沢蓮(小栗旬)。アダム・ウィンガード監督は、昭和期のゴジラ映画において、メカゴジラが宇宙人(ブラックホール第3惑星人)との関係性の中で描かれていたことを面白いと思わなかったそう。「人間がメカゴジラを操縦するのなら日本人の俳優でなければいけない」と考え、芹沢蓮=小栗旬にその役目を託したことを明かしている

© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

『ターミネーター』

ハリウッド版のメカゴジラを描くにあたって、製作陣は試行錯誤を繰り返してきた。コンセプト・アーティストのジャレッド・クリシェフスキー氏は、自身のInstagramにて、制作過程のものも含む多数のコンセプトアートと資料を公開している。まず驚くべきは、『ゴジラvsコング』のメカゴジラが、『ターミネーター』シリーズのT-800を参考に生み出されたということだ。T-800のような恐ろしさ、不気味だがどこか人間にも似た骨格、マシンの冷たさからインスピレーションを得て描かれたのだという。

クリシェフスキー氏によると、本作のメカゴジラは「過去のどんなメカゴジラとも違う」デザインを要求されたそう。ゴジラを忠実にロボット化したもの、むしろゴジラとは真逆の特徴に仕立てたものなど、複数のデザインがあったというが、ひとつの課題は「独特の腕にしてほしい」というオーダーだったようだ。爪が自在に動くというアイデア、指に丸ノコが仕込まれているというデザインはクリシェフスキー氏が提案したものだという。

『トランスフォーマー』

アダム・ウィンガード監督は、メカゴジラのデザインを考える上で『トランスフォーマー』を参考にしたことを明かしている。しかし、一方のクリシェフスキー氏は、最初のコンセプトアートに対して「トランスフォーマーにしないように」とのコメントを受けたのだそう。牙を抜き、手の形を変え、ゴジラの背びれから遠いデザインの背部にするなど、“シルエットだけでもゴジラとメカゴジラを見分けられる”デザインを求めたのが、今回のメカゴジラだったのである。

しかし、『トランスフォーマー』を参考にしながらも「トランスフォーマーにしないように」とは、いったいどういう判断だったのか。実は、ウィンガード監督が意識した『トランスフォーマー』とは、1986年製作のアニメ映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』。子どもの頃から、同作に登場するトランスフォーマーのシンプルなデザインに惹かれ、本作のメカゴジラも「インパクトがありながらもシンプルな見た目にしたい」との思いでデザインにあたったという。

ちなみに監督は、マイケル・ベイによる実写映画版『トランスフォーマー』シリーズにはさほど感心していないようで、同シリーズのデザインには「ただのメタルだし、墜落した飛行機みたい。そういうものにはしたくなかった」述べている。「複雑すぎるし、パーツが動きすぎるし、僕は惹きつけられなかった。アイコニックだと思えるところがどこにもない」とまで言っているのだから、これは非常に厳しいご意見である。

ゴジラvsコング
© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

細部の作り込み

ウィンガード監督がシンプルなデザインを心がけた一方で、CGチームはメカゴジラの造形に細部までこだわったことを明かしている。VFXスーパーバイザーのブライアン・ヒロタ氏は、「ほとんど映画の中では見えませんが、ジョイント部に近づいて見ると、いくつものパーツが動くことで肘や脚が動いているんです」と強調した。認められたデザインの範疇で、メカゴジラが動くために必要な機能を織り込んでいるというのだ。また、見えない位置にも武器が仕込まれているそう。CGチームの狙いは、ゴジラやコングにも真っ向から勝負を挑み、そして十分に勝利できるほど積極的かつ攻撃的なメカゴジラを作り上げることにあったのである。

メカゴジラ コンセプトアート&設計図

クリシェフスキー氏のInstagramには、ほかにも多数のコンセプトアートが掲載されている。ここではいくつかの種類に区切りつつ、その緻密な制作ぶりを見ていくことにしよう。

メカゴジラの設計図

クリシェフスキー氏によると、メカゴジラの内部構造は、本来ならばストーリーの重要な部分を担う予定だったとのこと。しかし、完成版の映画ではその要素が削除されてしまったという。

初期アイデア

メカゴジラのデザインが完成するまでには、コンセプトアーティストによる涙ぐましい挑戦がある。クリシェフスキー氏が公開しているのは、物語を知らないうちに作成したという「全体像ver1.0」、同じくストーリーを知らないまま「もしも軍がメカゴジラを作ったら」という想像のもとで描かれた“デザート・ストーム・メカゴジラ”、そして製作陣からの反応も悪くなかったというデザインだ。

コンセプトアート

Source: ScreenRant, Inverse, Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。