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ゲーマー見逃し厳禁!全編FPS視点の新感覚アクション『ハードコア』を観る前に、復習したい3つのポイント

近年、『コール・オブ・デューティー』や『バトルフィールド』などのいわゆるFPS(ファースト・パーソン・シューター)ゲームが日本でも認知されてきている。これは、海外では古くから愛されている一般的なゲームジャンルのひとつだ。そんなFPSゲームさながらの臨場感を彷彿とさせる、全編を主観視点で撮影した、“驚異の映像体験”をもたらす新感覚アクション映画が誕生した。その名も『ハードコア』だ。

2017年4月1日、いよいよ本作が日本に上陸する。そこで今回は、映画ファンでありFPSゲーマーでもある筆者が、本作の注目ポイントを3つにまとめてご紹介していきたい。

①はじまりはYouTube、一本の動画が口コミで話題に

そもそもの始まりは、2011年に公開された一本の動画だった。YouTubeに投稿されたその映像は、SNS等で世界中に拡散され、多くの再生回数を記録する。その映像とは、ロシアのインディーロックバンド、Biting Elbows(バイティング・エルボーズ)が発表した楽曲『The Stampede』のミュージック・ビデオ。全編を主観視点で撮影するという、その大胆不敵な映像表現に、多くの人が衝撃を受けた。

このミュージック・ビデオを監督したのは、ほかでもないBiting Elbowsのボーカリスト、イリヤ・ナイシュラー氏だ。謎のワープ装置を盗み出し、オフィスからの脱出を試みるという単純な逃亡劇を描いており、2008年発売のFPSゲーム『ミラーズ・エッジ』を連想させるような、縦横無尽に飛び回るクールなパルクールアクションからは目が離せない。

さらに、2013年にはミュージック・ビデオの第2弾として『Bad Motherfucker』が公開され、瞬く間に1.2億回という驚異の再生回数を叩き出した。スケール感や迫力、バイオレンス度が前作よりも大幅にパワーアップしたこの作品も、再び世界中に拡散され、前作以上に多くの注目を集めている。

この『Bad Motherfucker』が公開された2日後、映画『ウォンテッド』(’08)やリメイク版『ベン・ハー』(’16)などで知られる、ティムール・ベクマンベトフ監督が、ナイシュラー氏にFacebookを通じてコンタクトを取った。ミュージック・ビデオを見て長編映画化を熱望したべクマンベトフ監督は、ナイシュラー氏とロサンゼルスで会合し、映画化に向けて合意を果たす。

その後、クラウドファンディング・サービスの「Indiegogo(インディゴーゴー)」にて映画の制作資金が募られ、目標額を超える25万4,954ドル(2017年3月26日執筆時のレートで約2800万円)を見事調達した。こうして、映画『ハードコア』は誕生したのである。

②世界初、全編GoPro撮影による革新的な映像表現

http://www.imdb.com/title/tt3072482/mediaviewer/rm978788096
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なんといっても本作の最大の見どころは、全編をFPS(ファースト・パーソン・シューター)視点で撮影した、臨場感に溢れる映像表現だ。しかし主観視点のショットは、たとえばザ・ロックことドウェイン・ジョンソン主演の『DOOM』(’05)では、終盤の見せ場に取り入れられるなど、基本的に映像のアクセントとして組み込まれる場合が殆ど。また、「POV方式」とよばれる主観視点のカメラワークが採られることもあるが、こちらは『クローバーフィールド/HAKAISHA』(’08)のように、ビデオカメラ越しの記録映像など、擬似ドキュメンタリー風の作品で用いられることが多い。

しかし本作『ハードコア』は、全編をFPSゲームのように大胆な一人称視点で撮影しており、まさに自分自身が映画の主人公のような感覚に襲われる、驚きの映像表現を提供している。『クローバーフィールド/HAKAISHA』のような、記録映像を観ている感覚とは程遠い、まさに映画とのシンクロを実現している新感覚のアクション映画なのだ。

http://www.imdb.com/title/tt3072482/mediaviewer/rm2335696128
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さらに『ハードコア』では、世界中で圧倒的なシェアを誇る小型のアクションカメラ“GoPro”が撮影機材として使用されたというから驚きだ。全編がGoProで撮影されたアクション映画は、まぎれもなく本作が世界初。果たして、“映画”と“FPS”の組み合わせはどのような化学反応を生むのだろうか。

③実力派が顔をそろえた、抜かりないキャスティング

全編一人称視点という挑戦的な本作だが、この手の「一歩先を行く映画」は、どうしてもイロモノ扱いを受けてしまうのもまた事実。確かに本作には、どことなくB級感が漂っているが、そのイメージでとどまってしまうのは非常にもったいない。なぜなら本作には、経験豊富な実力派キャストが揃っており、その演技が作品に高い説得力を持たせているからだ。キャスト陣は間違いなく“A級”なのである。

その一人が、デンゼル・ワシントンが主演を務めた『イコライザー』(’14)や、名作『荒野の七人』(’60)をリメイクした『マグニフィセント・セブン』(’16)など、多くの話題作に出演するハリウッド随一の注目若手女優、ヘイリー・ベネット。日本でも徐々に人気を高めつつある彼女が、主人公の妻・エステルを演じている。予告編ではミニスカートに白衣という色っぽい姿や、胸元をあらわにした大胆なベッドシーンを披露。その官能的なオーラに惹きつけられること間違いナシだ。

http://www.imdb.com/title/tt3072482/mediaviewer/rm669135616
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そのほかにも、ニール・ブロムカンプ監督による『第9地区』(’08)で主人公・ヴィカスを演じた南アフリカ出身の俳優、シャールト・コプリーや、マーベル映画『インクレディブル・ハルク』(’08)でエミル・ブロンスキー/アボミネーションを熱演したティム・ロスなど、お馴染みの俳優が脇を固めている。そしてもちろん、ほかならぬ主人公は、我々“観客自身”なのだ。

http://www.imdb.com/title/tt3072482/mediaviewer/rm2637686016
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全世界のFPSファンを標的にした映画『ハードコア』は、2017年4月1日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー

Sources: http://hardcore-eiga.com/
https://www.famitsu.com/news/201703/24129064.html

http://www.crank-in.net/movie/news/49027
Eyecatch Image: http://www.mediastinger.com/hardcore-henry-2016-after-the-credits/
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Writer

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Hayato Otsuki

1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。