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『スカイスクレイパー』公開記念!高所恐怖症がリアルに震える、高いところが怖い映画10選

スカイスクレイパー
© Universal Pictures

読者のみなさんはご存知だろうか?高いところから落ちたら人は死ぬ。

そんな当たり前のことを思い出させてくれた『スカイスクレイパー』(2018)は、ドウェイン・ジョンソンが高層ビルでひたすら無茶をやり続ける映画である。よじ登る、飛び移る、ぶら下がる、吹っ飛ばされるなど、人間が高所でやりたくないと思うことは、ほぼコンプしているのがすさまじい。筆者のように高所恐怖症の人間には、とてもじゃないが真似できない。(高所恐怖症でなくても、あんなアクションできるわけないのだが)

スカイスクレイパー
© Universal Pictures

そこで、高所恐怖症の立場からリアルに怖い「高所映画」を10本選んでみた。あくまでも「怖い」が先立つ映画なので、『ドロップ・ゾーン』(1994)のように、興奮が先立つような映画は除外している。

さあ、高所恐怖症の人は絶対見ちゃいけませんよ!絶対ですよ!絶対って言いましたよ!見ちゃっても知りませんからね!絶対に… 。

※映画の並びは年代が古い順です。

『ロイドの要心無用』(1923

まずは、サイレント喜劇の名作から。ハロルド・ロイド扮するさえない田舎者が都会で奮闘する姿がおかしく描かれている。それでも、クライマックス、ロイドが時計台からぶら下がるアクションシーンは、たまらなく恐怖。ジャッキー・チェンや宮崎駿、マーティン・スコセッシさえも自作でオマージュをこめるほど、超のつく有名場面となった。さまざまな映画で繰り返されるお約束は、本作が原点だったのである。 

『めまい』(1958

映画史上最高傑作に挙げる人も多い一本は、主人公が高所恐怖症。それゆえに、愛する女性の飛び降り自殺を救うことができず、後悔の念に悩まされてしまう。全編を通して現実と妄想の境界が曖昧になるような、サイケデリックな映像美が特徴的だ。鑑賞中は高所恐怖症でなくても、まるで足元がぐらつくような不思議な感覚に襲われるだろう。 

『不時着』(1964

『フライト』(2012)『ハドソン川の奇跡』(2016)など、飛行機の不時着を題材にした映画には傑作が多い。そこで、多くの映画で雛形とされている作品をここでは紹介しよう。生存者わずかの航空機不時着事件が起こり、航空会社は原因の究明に追われる。そして、機長が意図的に事故を起こした可能性が浮上するのだった。もしも航空機に搭乗中、操縦者が乗客を道連れにしようと企んでしまったら…。高所恐怖症は想像力豊かな人種であり、だからこそ不安の種が尽きないのである。 

『タワーリング・インフェルノ』(1974

『スカイスクレイパー』も大きな影響を受けた、高層ビルが舞台のパニック映画である。サンフランシスコに建設された138階建てのビルで火災が発生し、配線工事の不注意から鎮火がなされず、やがて炎は広がっていく。罪のない人々がビルから放り出されていく姿はトラウマ必至。『ハイライズ』(2016)などもそうだが、欧米では「高層ビル」に「バベルの塔」を重ね合わせ、「人類の傲慢」を象徴することが多い。 

『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984)』

最初と最後に超弩級の高所アクションが待ち受けている、シリーズ第2作。序盤、飛行機内のてんやわんやも捨てがたいのだが、やはりクライマックスの断崖絶壁がひたすら怖い。宙ぶらりんになった吊り橋につかまっているだけでも昇天ものなのに、下には人食いワニまで控えているのだ。ただ、何より怖いのは2時間の上映中、まったく試練の手を緩めないスティーヴン・スピルバーグ監督のドSぶりである。ちなみに、『フック』(1991)や『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)など、スピルバーグは高所恐怖症泣かせの監督でもある。

『リーサル・ウェポン』(1987

飛び降り未遂者を見つけたら、警察に連絡すれば安心…とは限らない。警察がヤバい奴だったらどうするのか?というわけで、本作ではメル・ギブソン演じるリッグス刑事が駆けつけてきたから大変だ。自殺願望を抑えられないリッグスは、凶悪犯に銃を突きつけられても物怖じしない男である。もちろん、飛び降り自殺など屁とも思わず、相手と一緒にビルからダイブするという、規格外の行動に。死を恐れない男ほど怖いものはない。 

『グレムリン2/新・種・誕・生』(1990

エレベーターが落下事故を起こしたら、中に入っている人はどうすれば助かるか考えたことはないだろうか?地面に落ちる瞬間、ジャンプすれば助かるんじゃないかと筆者は思っていた。でも、実際にはプレッシャーがすごくてジャンプする余裕もないみたい。結局助かる術はないってこと。恐ろしい、恐ろしい。本作ではそんな状況で登場人物が生き延びるんだけど、超グロいうえに特殊すぎて、とても真似できるものではない。

『崖っぷちの男』(2012

ここまでタイトルが内容を表している映画も珍しい。サム・ワーシントン演じる主人公が、ただただビルで「崖っぷち」状態になっているという物語である。そんな映画が面白いのかというと、めちゃくちゃ面白い。主人公は無実の罪を着せられて自殺をしようとしている。まさに人生も崖っぷち。つまり、主人公が少しでもメンブレしちゃうと地上にまっさかさまなのだ。二重のスリルが観客を強く引きつける。

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011

MI』シリーズは全シリーズ通して高所でのアクションが恒例になっているが、個人的にもっとも怖かったのがこれ。なんと、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントが高層ビルの側面に貼りついて移動するのである。いつも思うのだが、トム・クルーズって『MI』シリーズのプロデューサーなんだよな…。自ら苦しい方向、危ない方向に自らを追い詰めるという所業、どこまでも常人離れしている。

『ザ・ウォーク』(2015

フランスの曲芸師、フィリップ・プティがワールドトレードセンターのツインタワー間にワイヤーを張り、綱渡りをした実話を映画化。「命綱はつけない」とハードルを極限まで上げるフィリップに、我々高所恐怖症は「何考えてるの!」と心の中で叫ばずにはいられなかった。最新の映像技術を使った高所シーンは、IMAXで鑑賞すると卒倒ものである。ていうか、綱渡りを終えようとしたフィリップがターンするところで卒倒。


スカイスクレイパー
© Universal Pictures

3DIMAXなどの上映形態により、ますます高所映画の迫力は増している。これからも世界中で、高所恐怖症の観客を震え上がらせる作品が量産されていくに違いない。頼むからほどほどにしてくれ!たぶん見ちゃうから!

映画『スカイスクレーパー』公式サイト:http://skyscraper-movie.jp/

Writer

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石塚 就一就一 石塚

京都在住、農業兼映画ライター。他、映画芸術誌、SPOTTED701誌などで執筆経験アリ。京都で映画のイベントに関わりつつ、執筆業と京野菜作りに勤しんでいます。